第4.5話 女子達の質問攻め
わたし、
これまで何人かの女子に詰め寄られて掃除当番や日直の仕事をお願いされたことは何度もありますけど、こんな状況は初めてです。
とにかくこんな風にクラスの中心になることが初めてなのでドキドキしてしまいます。
「やっぱり初めては痛かった? 血ぃ出た?」
初めての経験というものは誰だって緊張するものです。痛みやケガが伴う可能性があればなおさらです。特に
綺麗にお手入れした肌に傷が付くかという点はとても気になると思います。
「初めての時は(手が)痛かったかな。でも、慣れたらだんだん(綺麗になるのが)気持ちよくて。やっぱりゴム(手袋)を付けないと(草で切れて)血が出ちゃうかな」
「やっぱ(腰)痛いんだー。あたしも自分でする時はたまに気持ち良いかなって思うんだけどさー。これ以上やると(膜が破れて)血が出るかもって思うと恐いんだよね」
「待って
驚きの声を上げたのは
「しなくて平気かなって思ったけどやっぱりダメでした。二回目からはちゃんとしてますよ?」
「すごい。
ゴム手袋を付けないのは
「
「あの大人しそうな陰キャが……人は見た目によらないってマジなんだ」
「いつもどこでやってんの? お互いの部屋?」
「昨日は第一校舎と第二校舎の渡り廊下のあたり。いつもはもうちょっと人通りが多いところだけど」
「マジ!? チャレンジャーじゃん」
「(ごみが)多いところじゃないとやりがいがないし、(ごみ拾いが)終わったあとの爽快感があるよ」
「ごめん。あたし、
「師匠だなんてそんな。わたしは鈍臭いからみんなの役に立てる方法がこれくらいしか思い浮かばなくて」
「……まさか
「ううん。いつもは一人で(ごみ拾い)してて、
「ひ、ひとり!? そっか。普段は一人なんだ。あたしもまだ一人でしか経験ないし。ちょっと親近感。でも、もしかして一人でしてるところを誰かに見られたり?」
「そう……かな。最近はそれが当然みたいになってて、本当はみんなも一緒に(ごみ拾いを)やってくれると嬉しいんだけど。その前に簡単に(ごみを)捨てるのをやめてほしいかな」
「
「本当は注意できたらいいんだけど恐くて……」
「そういうやつって見た目が
内心では
「ちょっ! 泣くことねーじゃん」
「ごめんね。(校内美化に努めてくれることが)嬉しくてつい……ところで
「うんうんうんうん! 自分の部屋以外でそんなことする勇気ねーし。さすがに学校とかじゃちょっと……」
「そうだよね。やっぱりちょっと恥ずかしいよね。でも慣れたら絶対に気持ち良いからいつか
「あ、あたしは遠慮しとくわ。興味はあるけどまだ高校生だし……みたいな」
「
「そういう
「うちは……例の部屋もアリかなって思ってる。高校生のうちにしか経験できないと思うし」
「うっわ! えぐ」
「
「嬉しい! みなさんも興味あったらぜひ声を掛けてください」
鈍臭いわたしが少しでもみんなの役に立って、輪の中に溶け込めたらいいなと思って始めたボランティア活動がこんなにも受け入れてもらえるなんて夢にも思ってみませんでした。
これはきっと
今日中にでもお礼を言いたいのと、正式にボランティア部に入ってもらうために絶対に声を掛けなくては。
でも、今はみんなとお話するのも楽しいです。放課後になったら絶対に
「ねえねえ
「うん。わたしは
「い、
他の部に所属していてすでに大活躍をしているとか?
そうだとしたら、そちらの迷惑にならない程度に活動を抑えてもらっても全然構いません。
「ちなみになんだけどさ、それどっちから誘ったの?」
「きっかけは
おお! とみんながどよめきました。本物の土下座をされたのは初めての経験です。そんな反応になる気持ちはよくわかります。
「やっぱりさ、(挿入が)うまくいかない事もあったりする?」
「その時はわたしも土下座(して部長にお願い)かな」
「土下座で変わるもんなの?」
「最後は気持ちだからね。絶対に伝わるって信じてる」
今、わたしはそれを実感しています。必死な行動は相手の心に届くことを。
それに
「マジで
「もちろん。いつか一緒に(ボランティア活動)やりたいな」
「まさか三人で!? さすがにそれは……」
「もしかして
「まあ、それは何となくわかるけど(男として見るには頼りないから)」
「ふふ。わたし、
「話すのとそういうのはやっぱ別じゃん? 意外な一面を見ることになるっつーか」
「うんうん。わかる。実際にやってみるまでわからない事もたくさんあるからね」
「
「そんなことないよ。わたしなんて(いつもごみ拾いばかりで活動が)マンネリ気味だし。もっと他のことにもチャレンジしたいよ」
「すでに日常と化している!? ああ! 興味あるけどやっぱこえー!」
「ふふ。わたしはいつでも大歓迎だから」
こうして休み時間が来る度に今まであまり交流のなかったクラスメイトのみんなと仲を深めることができました。
そのせいでクラスの掃除をあまりできなかったので、
幸いなことに
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