六章 「推理」
空き缶を捨てていた男の話をまとめると、こんなふうなことがわかった。
拾っている人は、女性であること。
前拾っているのを見かけたのは、深夜2時ぐらいだったこと。
空き缶を捨てているのは、早朝の5時〜6時までの間だということ。
これまでに何度かその時間帯以外でも、その人を目撃したことがあること。
私はこれらの話と、今までの情報収集から推理する。
まずは女性であることから、昼間に来ていた男性である老人は除外される。
また、夜に来ていた3人の若者のうち一人は女性であったけど、『女性』というには若すぎるし、3人行動を常にしてそうなので、一人で深夜2時に公園に行くとは考えにくい。
そして、ゴミ収集の男は論外だ。あんな小心者の男が嘘をついてまで、空き缶を捨てさらに拾っているというのは考えられない。
ゴミを捨てていた男の話でひっかかったのが、深夜2時以外にも見かけたことがあるということだ。
つまりは、私も出会っている可能性があるのだ。
もしそうであるならば、深夜2時以外には空き缶を拾っていないと仮定することができる。
私が3日間時間帯を分けてだけど、見ていたのだから。
私がいるときは誰も拾っていなかった。
私は、今まで出会った人をもう一度思い返してみた。
この3日間で公園に来ていた人はそんなに多くなく、限られている。
時間ごとに、どんな人が来ているか表を作ってみた。
すると、私は、ある人に何度も出会っていることに気づいた。
そうして、やっとゴミを拾っている人が誰かわかったのだった。
いつ、誰がしているかわかったので、あとはなぜそれをしているかだ。
もし私が推理した人が空き缶を拾っているとしたら、それはなぜだろうか。
そもそも空き缶を集めるわけとは、一般的になんだろう。
集めた空き缶を売ってお金にしているからか?
しかし、それにしてはこの空き缶の拾い方では効率が悪すぎる。
では、自分がコレクションとして集めているからか?
だがそれも、わざわざ人が捨てた空き缶でコレクションする必要性はない気がする。ほしければ自分で買えばいいのだ。
それらが違うとすれば、他にはどんな理由があるだろうか。いや、全てが違うとは限らない。
そういえば、あの空き缶はいつもある状態のままで落ちていることが多かった。それが当たり前すぎて見落としていた。
私は推理した人と、その周りの人の関係性をもう一度考えてみた。
すると、1つの答えにたどり着いたのだった。
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