第7話 いつか来る日
――直後、レネルはハッとして目を覚ました。
変な夢を見ていたことに気づいたレネルは、窓の外に太陽の輝く眩しい世界が広がっているのを見て喜ぶ。
本当に雪は止んだ。昨晩のことは夢ではなかった。
興奮するレネルは姉のスフレを探すが、毎朝優しく起こしてくれて、温かい食事と共に迎えてくれるスフレの姿が家のどこにもない。
そしてレネルは、先ほどまで寝ていたベッド脇の床が“不自然に濡れていること”、そばにスフレがいつも身に着けていたリボンが残っていことに気付く。
棚の上に、スフレが残したと思われる一通の手紙。
手紙には、一緒に外へ行けなくてごめんねという謝罪。そして、誰よりもレネルを愛しているという言葉が綴られていた。
嫌な予感がしたレネルは家中でスフレを探し、そして家の外へ出る。
そこには――誰の姿もなかった。
毎朝挨拶をしていた隣人たち、道具屋の主人、ルドやリーリカたち学校の仲間も。まるで昨日までのことが夢だったかのように、町人たちの姿がこつぜんと消えていた――。
混乱するレネルは、町の入り口である門の前でカレンを発見する。さらに、開かれていた門の外に見覚えのない美しい女性の姿があった。
「カレン……それに…………まさかっ!」
ようやく見つけた人の姿に安心して駆け寄るレネル。一体何が起こっているのか。スフレたちはどこへ行ったのか。カレンに尋ねる。
するとカレンが答える。
「この町には、もう、あたしたちしかいないの」
意味がわからないレネルに、カレンは町の外へ出るための『冒険者セット』を渡してくれる。レネルがずっと欲しかったものだ。
カレンが言う。
「はい、あげる。これはレネルの物だから。いつか来る“この日”のための物だから。あたしはね、レネルにこれを渡して、すべてを説明するために最後に残された町人なの」
「……カレン? さっきから、何言ってるんだ……」
混乱するレネルが強く説明を求めると、カレンは図書館に隠されていた一冊の本を手に、町の真実を話してくれる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます