第4話 図書館

 次の日。レネルは町の図書館へ向かう。スフレから、図書館で町のことを調べてみてと教えてもらったからだ。

 そんな図書館でレネルを待っていたのは、年下の学友リーリカ。彼女はこの町の本を管理する仕事をしていたが、突然やってきたレネルに驚いて慌て出す。レネルはそんな彼女を不思議に思いつつ、早速調べ物を始めた。


 だがおかしいことに、『町に関する書物』が一冊もなかった。


 そのことをリーリカに訊くと動揺して必死にごまかそうとするが、鍵の掛かった司書部屋に何かを隠していることは明白。リーリカは嘘の苦手な少女だとよく知っていた。

 そこでレネルは、リーリカが飼っている『雪ウサギ』が逃げ出したと嘘をついてリーリカを外に連れ出し、その隙に彼女の持つ鍵を奪って司書部屋へ侵入。内から鍵を掛け、中を物色し始める。


 その部屋にあったのは、『青い雪の本』や『禁忌の魔術書』など、見たこともないボロボロの本ばかり。そしてその中に『アイオライトの町の歴史』の本もあった。


 レネルは早速歴史を調べる。

 すると、町の記述はなぜか十五年前――レネルが生まれた頃にバッタリと途絶えていた。また、町の『三つの掟』が定められたのも15年前。街外れの鐘塔もその頃に建てられており、『レネルを塔に入れてはいけない』と、なんとレネルの名前が直接的に記されていた。

 これは偶然じゃない。やはりこの町には大きな秘密がある。皆はそれを自分に隠している。

 確信したレネルはさらに別の本を探そうとするが、その途中にルドが扉を破壊して乗り込んでくる。


「それ以上調べるのはやめろ!」


 ルドはレネルを殴り飛ばし、二人はまた大ゲンカに。

 そこへスフレやカレン、大人たちも駆けつけて二人のケンカをなんとか止める。リーリカは自分が“失敗”してしまったと大泣きして、大人たちはまた何かの話し合いを始めた。


「なんなんだよ……失敗ってなんだよ。俺に知られたら何か困ることでもあるのかよ! みんな、俺に何を隠してるんだよ!」


 真実を求めるレネルに、しかし誰もが口をつぐむ。

 一体、皆は自分に何を隠しているのか。

 レネルはついに誰のことも信じられなくなって、しばらくの間家に引きこもってしまう――。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る