第6話

「最近コロナで世間は大変なことになってるよねえ」

「随分と他人事ね。私たちだって症状がないだけでかかってるかもしれないわよ」

「確かにその可能性はあるね。でもさ、ちょっと熱出ただけでコロナかと疑われるって嫌なご時世だよね」

「一は知恵熱出ることあるものね。日常的に熱が出やすい体質の人からすれば迷惑な話でしょうね。まあでも、これだけのパンデミックともなると神経質になって市しまうのも分からなくはないけれど」

「ちょっと前までさ、皆マスクつけて、店に入る度検温と消毒して、並ぶときは距離を保って…なんて誰が想像できただろうね」

「まるで映画の世界ね」

「ありそう、ウイルスが蔓延して人類滅亡の危機みたいな」

「まあ、ピリピリしてしまうのは分かるのだけれど、コロナにかかった人に対して差別のようなことがおこるってのは少し考えなくちゃいけないわね。昔から謎の疫病が流行ると人類はかかったその人を隔離したり、呪いだとか魔女だとか言って火あぶりにしたり、私でも口に出したくないようなひどいことをしたということも分かって入るわ。人間って変わらないのね」

「そう考えるとそうだよね。自分に移ることを恐れて隔離、差別、自分や家族を守る為ってのは分かるけど、差別まで行くとひどいよね」

「古来からの問題よね。解決できなければ隔離、または殺す。…そういえば昔は精神病患者も同じように扱われてたのよね」

「その話聞くとほんとにこの時代に生まれてよかったって思うよ。だって、心の病気は呪いだの、本当は魔女だの言われるわ、隔離されて牢とかに入れられてそれはそれはひどい扱い受けてたんだもんね」

「ええ、現代も精神病患者に完全に理解があるとまでは言わないけれど、前に比べれば随分と落ち着いたものね」

「ほんとだよ。ていうか姉さん、コロナから話がそれてる」

「そうね。悩みどころだけれど、コロナの中でレジ袋が有料化したじゃない?」

「そうだね。それがどうかしたの?」

「私いつも悩むのだけれど、『袋にお入れしましょうか?』って言うべきか言わないべきか」

「あー。そっか。触ることにナイーブになってる今、時間短縮のために入れてほしいっていう人もいれば、触ってほしくないから自分で入れたいっていう人もいるだろうね」

「そうよね。だからこそ、入れてほしい場合は先に言ってくれると助かるわ。気が利かないとか言ってクレーム来ても困るし」

「そうだね」


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