第3話 伝説の勇者



銀色の髪の毛を捕まれ、

「た……助けて……」

少女は魔物に組み伏されていた。


「ほう……貴様はあの村の生き残りですか……」

背丈3mはあろうか魔物――オークは少女に向かって言う。

オークは人間の腕をムシャリと一口齧って後ろに放り投げる。

すかさず部下の魔物は、きれいな水で満たされたグラスをオークに手渡した。


「そのペンダントは……そうかやっと見つけましたよ! それを渡しなさい!」

「GBBBBBBBBBBBBBB!!!!!」

「GBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBB!!!!!!」


少女の胸元にはペンダント――S字のロザリオ。

部下の魔物はそれを少女の首からもぎ取り、オークへと渡す。

オークは銀色に光るロザリオを手にする。

美しい……。

「これであのお方に……うん……?」

ニヤニヤ顔でグラスを傾ける。その時、


ギャオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!


まるでドラゴンの咆哮のような音が響き渡る。

魔物たちの咀嚼音が止まる。


「何事ですか!?」


ピカ! ビガビガ――――!

オークの手の中のS字ロザリオが輝いた。

オークはロザリオを見る。

だがその鏡面に映るのはオークではなかった。


「ヒャッハアアアーーーーー!!!!!!水だぁあああああああああああああああああああ!!!」


少女は見た!


ギュィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!


グシャアッ!!


オークはそれに頭をグシャグシャに踏み潰されて吹き飛ぶ。

それは勢いそのままに宙を走った!

それは巨大な月に漆黒の影を落とした!


『そのモノ漆黒の鎧を纏い、クロガネの馬に跨るものなり!!!』


S字ロザリオから伝説の勇者が召喚される!

――バイクに乗った! モヒカンだ!

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