第四話

「きみを意識して数ヵ月。

 諦めようと逃げて数年。

 周囲の優しさに触れながらも、どっち付かずの灰だらけの世界で空虚うつろな心を誤魔化して生きてきた。

 きみに呼ばれるまで。

 きみは僕に救われたとよく言うけれどそれは寧ろ僕の方。

 きみのお陰で僕らしい生き方を始めることが出来た。

 あの時、僕を見つけてくれてありがとう」


俺の手からプレートを組合わせて何かを形作り胸の前でそっと握ると目を伏せる。

「これからも僕はきみと共にあることを誓うよ」

「……それはあなたに捨てられるまで?」

「死がふたりを別つまで、だよ」


そして、はにかんで続ける。

「これでさっきの返事になるかな?」

差し出す俺の掌に仄かな温もりの十字架が渡る。

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