第三話
乗らぬの一点張りだった観覧車。
スタッフさんへ見せた愛想の良さを何故置いてきたのかと泣きたくなる程の沈黙と視線が痛い。
ひとつ深い溜息のあと。
「きみねぇ……」
始まった!
「祝福を素直に受けるだけでは足りないのか、この業突く張りが!」
ううぅ、ごめんなさい。
「受け取りなさい、そして速やかに開ける!」
俺が渡した以上に上質そうなケースが両手に収まる。
えっ、これは……?
切込みの位置と大きさが微妙に違うプラチナ色のプレートに見覚えのある石が各々にひとつと日付の刻印。
「未練が残るからペアものは避けてきたけれど、その心配は無いと判断したから買ったんだよ」
まさか……
「あのね、返答がないからと泣きべそかくくらいなら譲りなさいよ、プロポーズ」
━━━不安を必死に隠していたけど。
「さすがです、敵わないです」
「それはこちらの台詞だよ」
色素薄めな綺麗な瞳が優しく俺を捉えて言葉を紡ぐ。
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