第二話

隣で微睡まどろむあなたの頬にそっと触れる。

「俺って、あなたが思う以上に卑怯者だって知ってた?」

かすかに熱が残るあなたの細い指が重なる。


「俺、嘘ついた。

 あなたが抱きたがってること薄々気付いてた。怖かったんだと思う、逃げてた。

 自分の事を棚上げして『時間を奪う』なんて豪語して、気持ちを抑圧してあなたらしく生きる時間をとうの昔に奪った上に……無理矢理言わせた。

 ごめんなさい」


「それを卑怯というなら僕も大して変わらないよ。結局『自分のため』だったし。

 因みに、2割の出所はそれなのかな」


「正しくは謝罪10割。

 欲しいが100割。

 でも、義務感は全くの0割」


「なかなかにでたらめな割合だね。

 ひとつ言っておく。

 抱きたい衝動を抑える苦しみより愛される喜びが勝っていたから、我慢を強いられたと感じたことは一度もないよ。

 それより2度の体験を経ての感想は?」


「……そ、そこ聞くのかよ!

 そりゃ、もう、ようございましたよ!

 もうこっちでいいや、くらいですよ、うぅ恥ずかしい。」


「そこだよね。

 そういう照れた可愛い顔には蹂躙されたくなるし、ロブショットで裏をかいたドヤ顔は凌辱したくなる」


「狙ったような言い方するなぁ……。

 てか、一般的に逆では?」


「きみと居るとそれだけ欲情の振れ幅が大きくなる」


「わぉ。じゃあ……抱きつ抱かれつの多様性ということで!」


「都合良く使わない。まぁ互いの感情がかち合ったらその時考えよう」


♪~


「さて、お風呂行こうか」


「節度の欠片もない今回も、肩を貸しやがれです」


「何かと煽るきみがイケナイんだよ」

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