第七話

「どちらかと一緒になるの?」


「どちらかか同時かは相手次第かな」


「随分と自由なんだな」


「出会いが少ないからね」


「俺よりも愛せるの?」


「もうそういう重みは重要ではないんだよ。

 束縛が楽しい時期も過ぎてしまった、少し苦しい」


「俺のことは好きではなくなった?」


「他の男が気になるくらいには飽きたかな」



決して交わることのない視線。

凪いだ海のような静かな語り。

密かに浮かべる哀しい笑み。

初告白の時と同じ。

言い聞かせるように話す。


これで確信した。

あなたは嘘をついている。

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