第六話

3年一緒に居ていまさら何故。

あなたの気持ちを判りたいのに諍いばかり。


こんな時に限って、出張で近場に来た彼女からの誘い。何度も断った相手に相談なんて失礼にも程があるが気遣う余裕も無い。

相手が男であることも告げてしまった。


「判らない、全然判らない。別れたいなら回りくどいやり方せずに言えば済むだろ。流石にすがったりしないよ」


「…………面倒臭い人達だね、もし私の想像通りなら意に沿ってお付き合い始めようよ」


「こんな時に何言って…………え、意に沿うって、誰の?」


「一言余計だったかな、単に嫌いになっただけだよ、だから、ね?」


「もしかして……仕向けてる?」


あなたの行動の糸口は掴めても肝心の理由はもやの中。

切り捨てるならば納得出来る理由が欲しい。


彼女と別れた帰り道、あなたから連絡が入るが確認する勇気がない。


ひとつ深呼吸をし、意を決して開いてみれば、酔い潰れた画像とあなたに成り済ました同僚からの

『邪魔だ、速やかに回収しろ』

という指令だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る