age27

尾行

まただ。最近帰りが遅い。

しかも爽やかないい香りを纏いながら。


有り得ない。

衝動で恋はしないと言ったし自分で云うのもなんだが、な筈だろ。

気になる。気になって仕方がない。

やめておきたいが決行します。


コーヒーショップで完璧な間を置き注文を終え背中合わせの席に座る。後ろに目がついてない限りバレない、はず。

早速耳を側立てる。


『……そう、……良く出来てる……、こちらの表現がいいかな……』

懐かしい。

あの頃を思い出す優しい指導の声。

『……交際中の人は居るの?』

━━━え?

『……気になる娘がフリーか知るには』

━━━むぅ、声が若干甘い。

『わたし、好きな人が……』

━━━。



「そこで何してるの」


「うわ、バレた!」


「挙動不審な尾行、お疲れさま」


「帰りが遅いから気になって。バイトちゃんのレポート添削とともに恋愛助言とは」


「進展しないからもどかしくて、ついね。

 お相手も無駄に苦悩してるし、一気に押し切ればいいんだよ」


「他人の事言えんのかなー」


「で、きみの気になる理由はヤキモチでいい?」


「そんなんでは……有る。

 疑いました、スミマセン」


「ふふふ。さて、お腹空いたから帰ろうか」


「おぃす。あと、さよならのハグは無くてもいいかなと」


「かわいいねぇ。そういう反応、嬉しいよ」


「だから、その言葉は!!」

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