第3話
あー嫌だ。学校なんて行きたくない。この近くで殺人事件があったのに、学校は休みにならないらしい。なんで妹は物騒なことがあったのにあんなに冷静なんだろう。いつも不気味な本ばかり読んでいるからだろうか。
お父さんは仕事に行ったし、妹は学校に行った。私はギリギリまで家にいたいのでだらだらと朝食を食べるとしよう。
「愛菜ちゃんは学校に行かなくていいの?」
瑞希さんが私に聞いてきた。
「大丈夫だよ!」
「間に合えばなんの問題もないのです!」
瑞希さんはお母さんは本当のお母さんではないけど、いつも優しいから私は瑞希さんがお父さんの再婚相手でよかったと思っている。若くて綺麗だし、家事全般できる。そのおかげか私は自分の部屋を掃除する必要がない。
あれが見つからないかは心配だけどきっと大丈夫だろう。
学校に行く準備をしていたらいつの間にか家を出なければいけない時間の5分前になっていた。さすがにゆっくりしすぎたか。急いで服を着替えて、歯を磨き、瑞希さんに挨拶しながら家を出た。
いつも通りギリギリ遅刻せずに学校に着いたので一安心だ。
先生に注意されつつも教室に入った私に向かってたくさんの友達が声をかけてくれる。
「昨日のまじめシャチョーの動画見た?」
「見たよ!まじめんの動画はどんなもでも面白いよね。私もあんな人になりたいよぉ。」
そんな他愛もない話をしていたらチャイムがなり、担任の加藤が入ってきた。
嫌な時間の始まりだ。なんで勉強なんかしなきゃいけないんだろう。勉強しなくたって生きていけるじゃないか。今はYouTuberという選択肢もあるんだからそんなクリエイティブな仕事がしたいなぁ。
そんなことを一日中考えながら先生の面白くもない話を聞いてやっと放課後だ。部活を一年生の頃に辞めた私は、学校が終わったら友達と隣町まで行って食べ歩くのが日課になっている。同じことを毎日繰り返しているのに飽きないのは友達といるからだろう。どうやら今日はファミレスで話をするらしい。
「愛菜は彼氏作らないの?」
「いきなり聞いてきますねぇ橘氏」
「愛菜みたいなスタイルも顔もいい子ならモテるでしょ?この前だって呼び出されてたじゃん。」
「今はいいかなぁ。彼氏と休みの日にデートするのもいいけど私的には友達と過ごしてる方が楽しいし、束縛されたりしたら面倒だからね。」
「モテる女は言うことが違いますねぇ。私もそんなことが言えるほどモテたいですわ。」
「あんただってモテない訳じゃないでしょ?この間まで彼氏いたじゃん。」
「そりゃいたけどさぁ愛菜みたいに男が寄ってくる訳じゃないの。」
「私はその方がいいと思うけどな。」
「私は愛菜みたいにモテないからそんな悠長なこと言ってたら誰にも声かけられなくなっちゃうよ。」
「まだ高2なのに何言ってんの?それに私の妹よりは安心していいと思うよ。」
これに関しては割と本気で言っている。妹は無愛想なので友達はいないし、彼氏なんてもってのほかだ。
「それは沙月ちゃんに失礼だよ。確かにあの子元気ないし友達も少なそうだけど。」
「妹は彼氏とかよりも自分の夢に向かってるって感じだから別にいいんじゃない?」
「あなたたちは姉妹とは思えないほど似てないよね、容姿もそんなに似てないし。」
「一卵性双生児じゃないから!」
思わず食い気味で突っ込んでしまった。性格はおろか容姿だって似たくない。
「あれ?怒っちゃった?」
「怒ってないよ。姉妹っだからってそんなに似なきゃいけない訳じゃないでしょ。」
「そっか、姉妹とはいえ違う人間だしね。」
「うん。そろそろ帰ろっか。あんまりだらだらしてたらうちの頑固親父が黙ってないですから。」
「愛菜のお父さん厳しいもんね。私も勉強しろって言われるけど愛菜ほどではないよ。」
「お父さん交換したいですな。」
「えー。愛菜のお父さんと交換されたら私生きていけないと思うなぁ」
「無視すればいいじゃん?」
「そんなことしたら殺されちゃうよこの前の人みたいに。」
「さすがに殺されることはないでしょ。」
笑いながら言ってみたけど ほんとにそんなこと起こったらそれはそれで面白いかもしれない。
「愛菜ちゃん・・・」
「今日もよろしくね。」
「わかってます。満足して頂けると嬉しいです。」
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