第16話 妖精さんは意外とスペックが高い
さて、そろそろ学生たちにとっての最初の難関…テストの日が近づいてきやがった。
「…マジか」
そして、この学校ではテスト前に自分の現実を見せつけるかのように小テストがあるのだが…
「愁…お前もか?」
「あぁ、同士よ。お前もか」
そう、50点満点のうち俺は15点。
柊は…9点だった。
「あなた達…やっぱり馬鹿だったのね」
そう言いながら及川さんが近づいてきた。
「そう言う及川さんは何点だった?」
ふふん、と自慢げに見せて来た点はなんと
「45点…だと?」
「当たり前じゃない。毎日コツコツと勉強してればこんなもんよ」
なるほど…最近ずっとゲームや柊と遊びまくってたからな。ぐぅの音も出ない…
「柊…どうするよ?」
「悪いな…俺は雅と勉強する約束をしてるんだ」
な…!?こいつ裏切ったな!?
「神原くん、なんて顔してるのよ」
「まぁ、そう言う事だから。愁…頑張ってくれ」
俺は2人に見捨てられてしまった…
確かに及川さんは成績上位者だし、教え方は上手いが…流石に付き合ってる2人のイチャイチャ時間(爆ぜろ)を邪魔するのは忍びないからな。そして、そんなのを見せられたら俺は余裕で死ねる。
「はぁ…自分で頑張るかな…」
俺は肩を落としながらもう恒例となっている妖精さんのお迎えに向かった。
ガラガラ〜…
「…どもっす」
「あら?目覚ましくん。今日も来たわね」
相変わらず坂口先生は俺の事を目覚ましくんと呼ぶが俺は突っ込む気にはなれなかった。
「…はぁ」
「元気ないわね?何かあったの?」
俺は小テストの点数がやばい事を伝えた。
「あははは!15点って目覚ましくんって意外とおバカさんなのね〜」
盛大に笑われた…
「最近ゴタゴタしてて勉強が疎かになってたんですよ!」
「あはは…ふぅ。笑わせてくれたお礼にいい事を教えてあげるわね」
そういい坂口先生はスヤスヤと寝ている妖精さんを指さした。
「花園さんに教えて貰いなさい」
「…はい?」
ちょっと待て、いつも寝ている妖精さんに教わるだと?流石にそれは…
「いや、大丈夫なんですか?花園さんっていつも寝てるから勉強は…」
「え?目覚ましくん、知らないの?」
「何をです?」
「…まぁ、本人に聞くのが1番ね。早速起こして聞いてみなさい?」
まぁ…確かに本人に聞いた方が早いよな。
「花園さん、起きて。帰る時間だぞ」
「うみゅ…?あ、神原さん…」
妖精さんは目をゴシゴシしながら起き始めた。
「なぁ、1つ聞きたいんだがいいか?」
「…ふぁ。いいですよ?どうしました?」
「あのな、花園さんって勉強できる?」
それを聞いた瞬間妖精さんの目がカッ!と見開きマシンガントークをかましてきた。
「え?神原さん。まさか私がずっと寝ているからおバカさんだと思ってませんか!それは、間違いです!私、こう見えても凄く凄く頭がいいんですからね!…あ、その顔疑ってますね?いいでしょう。証拠を見せますよ!!」
「お、おう」
俺が圧倒されているうちに妖精さんは鞄をあさり今回の小テストの紙を渡してきた。
「嘘…だろ?」
なんと満点だった。目を擦り確認したが…やっぱり満点。
「どうですか!凄いでしょ!」
妖精さんは立派な胸を張りドヤっとしている。
「あぁ、凄いな…。けど、たまたまとか…」
俺がそう言うと妖精さんは「ふふふ…」と不気味に笑い、1年生の頃のテストを見せつせてきた。
「ぜ、全部満点…」
俺は驚愕した…だって、え?おかしくない?
ずっと寝てるんだよね?勉強いつしてるの?
「その顔どうやって満点とってるのかって顔してるわね…」
そういい坂口先生は教えてくれた。
「彼女ね、かなりスペックが高いのよ。1度見たものや聞いたことは絶対に忘れないの。だから、起きているうちに教科書をパラパラと読むだけで全部覚えちゃうのよ」
「そうなのです。私はこう見えてもスペック?が高いのです!」
…いつもはポンコツ妖精さんなのに
「あ!今馬鹿にしましたね!むぅ…」
「してないしてない!で、だ。頭のいい花園さんにお願いがあるんだ」
「ふふん!なんでしょう?」
チョロいな…
「俺に勉強を教えてくれ…」
俺は頭を下げた。
「いいですよ!では、今日から勉強会です!」
「え?今日から…?」
「はい!善は急げ!備えあれば憂いなしです!」
そうして俺は今日から妖精さんに勉強を教わる事になった。
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