第13話 妖精さんとお買い物と不思議な事
そして、運命の土曜日を迎えた。
「よし、忘れ物は無いな」
俺は家の近くのコンビニに来ていた。
何故かと言うとここが集合場所だからだ。
龍吾さんが今回の話を聞いて忙しいのに車を出してくれることになったのだ。
そして、待つこと5分…
「お待たせしました!さぁ!乗ってください!」
妖精さんが車から顔を出し、手招きしてる姿が見えた。
そして、俺は車に乗り目的地のデパートに向かった。
そこは俺が住んでいる街だと最大級の広さと店の数を誇る所で、雑貨屋さんや服屋さん、ゲームセンターから映画館まで完備しているのだ。
「到着しました!さぁ!行きましょう!」
妖精さんは今日は珍しく起きれていた。
龍吾さん曰く起きる為にカフェインを多めに摂取しているらしいのだ。
流石に心配になったが、本人が楽しそうなので俺は下手に水を刺さなくてもいいかと思い妖精さんの後ろを着いて行った。
「さて、どこから行こうか」
「そうですね…まずは服を見たいです!」
「じゃあ、行こうか」
ちなみに、妖精さんの今日のコーデは夏が近いため少し涼しい感じになっている。
水色と白で作られたワンピースに下の靴はオシャレにピンク色のヒールを履いていた。
「さすがは、妖精さん。人の目が凄いな…」
「む!今呼びました?」
「ん?あぁ、楽しそうだなって思ってさ」
「はい!楽しいです!あ、これ可愛いです」
妖精さんはここにあるもの全てが初めて見たとばかりに色々なものに興味を示していた。
しかし、突然動きが止まったので、何事かと思い顔を覗き込むと…
「ね、眠くなってきました…だめです。今日は、起きてないと…いけないのです…」
うつら、うつら、と船を漕ぐように頭が揺れていた。
「お、おい。大丈夫か?」
「だ、大丈夫です…」
だが、言葉と裏腹にだんだんとフラフラし始め倒れそうになった為俺は妖精さんの手を握った。その瞬間…
「…あれ?眠気が…無くなりました…」
何故か急に目が覚めたようだ。
「そうか、良かった」
俺はホッとしながら妖精さんから手を離した。すると…
「あぅ…また眠気が…」
「おっと…」
そして、また手を繋いで妖精さんを支えると
「あれ?…また眠気が無くなりました」
「え?」
これは…どういう事だろう?
まさか…
「なぁ、もしかして手を繋いでると眠気が無くなるのか?」
「…多分。少し実験してみましょう」
俺らはベンチに座り色々と実験をしてみた。
すると分かったことが色々とあった。
1.寝た時は俺が声をかけると起きる
2.同じく俺が触れると起きる
3.俺が触れている間は眠くならない
まだ、俺以外で実験はしていないため詳しいことは分からないが以上3つが分かった。
「流石は神原さんですね…まさか、魔法使いですか?」
「辞めてくれ…ただでさえ似たようなあだ名で呼ばれているんだから…」
俺はこめかみを抑えながら答えた。
だって俺の2つ名妖精使い《フェアリーマスター》が本当のことになりそうだからだ。
「でもでも!神原さんと手を繋げば眠くならないってことは、まだまだお買い物が楽しめるということですよ!」
「ん?まぁ、そうなるな」
すると妖精さんは素晴らしい笑顔を浮かべ言い放った。
「じゃあ!今日は一日中遊び尽くしましょう!」
俺はそれを断る事は出来なかった。
だって妖精さんはとても嬉しそうに。
自分のやりたい事が出来ると言う感動に。
そして、そんな感情をめいいっぱい伝えて来るような顔をしていたからだ。
「しょうがねーな!花園さんのやりたい事全部やってやるか!」
「はい!」
そうして、俺達は改めてショッピングを開始した。
初めとは違く、一緒に仲良く手を繋いだままで…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます