第12話 妖精使い
妖精さんの過去話から月日は立ち1ヶ月が過ぎた。
特に変わり映えはしない日々を過ごした…と言いたいところだが俺の学校生活は様変わりした。
「おい!来たぞ。
「クソ!なんであいつが!」
「羨ましい…」
「私にも幸運を分けて欲しいわぁ…」
そう。俺はこの学校で妖精使い。通称フェアリーマスターと呼ばれている。
高校生にもなって物凄く厨二病臭い2つ名がつけられたのだ。
なぜ、こうなったかと言うと妖精さんが盛大にやらかしてくれたのだ。
「神原さん!私珍しくお昼に起きれたので一緒にご飯食べましょう!」
「…は?」
そう。妖精さんが俺のクラスに突撃をかましてきたのだ。
そして、そこからは色々酷かった。
「俺は認めないぞ!妖精さんと友達なんて!」
「そうだ!妖精さんは皆の妖精さんなんだ!」
「俺も一緒に飯食いたい…」
「あぁ。妖精さん…ぺろぺろ」
1人でヤバいやつが居るが…俺の予想どうりなかなかに荒れた。
そして、中には過激な連中も居たが…
「神原に近寄れねぇ!どうなってんだ!?」
「グハッ!誰だよ!ボール投げたの!」
「キャッ!誰よ!ここにバナナの皮を捨てたの!」
「先生来たぞ!誰だよ!呼んだの!?」
そう、俺は何かに守られるように全てを防がれていた。
そして、そのうちついた2つ名が…妖精使いなのだ。
「もぐもぐ、美味しいですね神原さん!」
あぁ、幸せそうな顔しやがって…
「あれ?どうしたんですか?食べないのですか?」
「…食べるよ。食べるけど…釈然としない自分が居る」
そう答えると妖精さんはカラカラと笑った。
「あはは!変な神原さんですねぇ〜」
…はぁ。うん、諦めよう。俺にはどうしようもない。
「なぁ花園さん?」
「んむぅ?ごくん。なんですか?」
「なんでここで俺たち食べてるのかな?」
「そりゃ日当たりがいいからですよ〜光合成です!」
「…そっか。そうだよね」
俺達が今いる場所は中庭だ。そう、人目が沢山ある中庭なのだ。
そして、周りには沢山の人が居る。
「目立ってないか?」
「そう、ですか?たまたま人が多いだけですよ〜」
そうか…流石は妖精さんだよ。
「最近元気だよな」
「そうですね!何故でしょう?」
「分からんな…」
「あ、そういえば今週の土曜日暇ですか?」
「今週の土曜日?暇だけど…?」
「では、一緒に出かけましょう!」
また爆弾発言をした。
「な、なんで俺?」
「だって、私と神原さんはお友達ですからね!私、お友達とお出かけするのが夢だったんです!えへへ」
あぁ。何と屈託のない笑顔なんだ…思わず浄化されそうになるが、周りからは殺気が溢れかえっている。
「…ダメ、ですか?」
「あぁ。いいよ、出かけようか」
俺は全てを諦めた。妖精さんに悲しい顔をさせるとこの後俺は本格的に狙われるからだ。
「あぁ。理不尽だ…」
そして、運命の土曜日を迎えた
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