第5話 妖精の事情

『ピンポーン』


あぁ、遂に来てしまったか…


「はーい!今開けまーす!」


何故か家主の俺ではなく妖精さんがパタパタと走り、迎えに行った。

そして、俺も後ろから着いていくと2人の大人の人がいた。


「初めまして、神原君。娘がお世話になったそうで…ありがとう」


多分お父さんなのだろう。

体格はかなりよくスーツを来ているがパツパツだった。うん。ラ〇ウかな?


「まぁ貴方が神原くんね!同じく娘がお世話になりました」


そうぺこりと頭を下げてきた女性はかなり美人だった。多分容姿は妖精さんを大人にしたらこんな感じになるのではないかと言うくらい似ている。


「初めまして、神原愁と言います。立ち話もなんですから中にどうぞ?」


そう言い俺は少し緊張しながらも2人を案内した。


「じゃ、私はお茶を用意してくるね!」


そう言い妖精さんはキッチンに向かっていった。


おい、なんで俺を1人にするんだ?ってかそれは俺の仕事なのでは?

そう考えて居るとラ〇ウに話しかけられた。


「神原君、自己紹介をしていなかったね。私は花園龍吾はなぞの りゅうごという。こちらは妻の美鈴みすずだ。」


「よろしくね〜」


「はい。よろしくお願いします」


そうしてお茶を持ってきた妖精さんは俺の隣に座った。

目の前に花園ファミリー横に妖精さん。何だこの状況?


「それで本題なんだが…」


内容はほとんど妖精さんから聞いてた通りだった。

そして、そんな話を聞いているうちに妖精さんは飽きたのか寝てしまった。


「やはり寝てしまったか…」


やはりとはなんだろうか?


「…気になるかね?」


「えぇ、まあ。流石に心配ですからね」


「まぁ、優しいのね〜…」


「まぁ、無関係では無いからな。話すとしよう」


そうして語られたのは少し信じられない事だった。


「結愛はな睡眠時間がとても長いのだ。そして、それだけならまだいいが急に眠気が襲いかかりどこであろうと寝てしまう。病気かと思ったのだがそれは違うらしい」


「そう、なんですか?」


「あぁ。私達も色々と手を使ってみたのだが全然良くはならなくてな…」


「だから、学校にもそれを話して保健室で勉強をしているのよ…」


なるほど、それなら合点が行く。

だが…


「そうなんですね…しかし何故それを俺に話すんです?言ってはなんですが彼女とは2回しか会ってないんですよ?」


「それはだね…」


「そ、それは?」


「貴方が優しそうだからよ〜」


「え…?」


優しそう?それだけで?


「そうそう。娘はね良い人と悪い人を見分ける力が優れてるのよ。だからこそ結愛は貴方の隣でも安心して眠ることが出来る。見てみなさい?安心した顔してるでしょ?」


そう言われちらっと見てみると確かに安らかに眠っている。


「だからこそ私達は神原君に頼みたいことがある」


「頼み…ですか?」


「あぁ、娘を結愛の面倒を見てくれないだろうか?」


はい?面倒みる?誰が?俺が!?


「ちょ、ちょっと待ってください!流石に危ないですよ!何処の馬の骨ともしれない俺よりももっと信頼できる人に任せないと…」


そう言ったが花園ファミリーは顔を見合わせ笑った。


「そういう所だよ。だからこそ任せたい」


「お願いよ神原くん!」


そう言い2人はテーブルに頭が着くぐらい下げてきた。


さて、どうしようか…こんなに頼まれるとかなり断りづらい。でもなぁ…


「お話は分かりましたけど…花園さん、結愛さんの意思の確認をしてからご判断をお願いします」


「そう、だね。少し焦っていたのかもしれないね」


「そうね…とりあえず、今日のところは帰りましょうか」


そう言い2人は妖精さんを連れて帰っていった。



「ふぅ…疲れた。あ、ご飯食べてないや…」


なんかあったかな〜と思い台所に行くとお皿にラップで蓋をしてあるおにぎりがあった。


「妖精さんの仕業か」


俺はありがたく頂くことにした。

味はとても美味しかった。

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