第13話 リーダー

(ああ、なんて大人げないっ)

 学食を出た後、理恵は頭をかきむしった。

 自己嫌悪に何もかもが嫌になる。

「どうした?  黒田」

 声をかけられ、顔を上げると裕美が立っていた。あいかわらず派手な服装をしている。

「こんにちは」

 慌てて笑顔を作って挨拶するが、うまくいかない。中途半端な笑顔になってしまった。

「黒田は肩に力入りすぎやて。もっと気ィ楽にしたらええやん」

 裕美は両手で理恵の肩を掴んで前後に揺すった。

「裕美さんは主将やっている時、どんなこと考えてましたか?」

「私? うーん、はよ引退したいなぁ思ってた」

 理恵が疑わしそうな顔で裕美を見る。

「ホンマやて。黒田は幸せだよ。同期が2人もいるんだから。私の時は一人だったからさ、弱音も吐けなかった。でも、黒田には橋本と北野がおるやん。なんでも愚痴ったらええ」

「広井さん……」

「あ、なんか柄にもないこと言っちゃったかな。ははは」

 照れくさそうに笑う裕美に理恵は心の底から感謝していた。


つづく

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