第14話

「頭山さん」


 細木はチェーンソーを構えた。


「やっぱり、切りましよう」

「いや……だから、そんなことしても……」

「また、生えてくるというのですね。でも、頭山さん以外の人は、木がこんなに大きくなる前に枯れてしまいました」

「え?」

「これを切ったら、また苗木が生えてくるかもしれません。でも、その木はこんなに育つ前に枯れると思うのです。いえ……頭山さんがこんなにやつれた状態では苗木だって生えるかどうか」

「じゃあ、なんで三島は……」

「だから、種を取るためですよ」

「わかりました。では、お願いします」

「はい」


 細木はチェーンソーのスイッチを入れた。

 甲高い機械音が鳴り響く。

 回転する歯が、今に木に触れそうになったその時……


「切っちゃだめですよ」


 チェーンソーの動きが突然止まった。

 二人が振り向くと三島がチェーンソーのコンセントを持って立っていた。

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