嵐の予感


「ねぇ、帰り道、一緒に帰ってあげなくてよかったの? 」


エリサは心配そうに呟く。


「モンスターに出くわす心配をしているのか? あれだけの実力を目の当たりにしたのに、それはお節介に感じないか?」


「さっきまで疲れて寝てた子なのに? 」


「そんなのは関係ないさ。男は根性さえあればなんとかなる!」


「はぁ………流石カリオス一の脳筋ね」


根性がどうこう語っているレオンを見てエリサが呆れ顔でそう言った。


「………まぁ心配はいらないわ。彼には私が魔力ポーションを上げたし、傷もほとんど治したから。……ただ、心の疲れまでは私には治せないから………」


「レオン最低」


「そんなこと言うんだったらもっと前に言ってくれよ2人共! あとから言ったって同罪だ! エリサはともかく、ナーザはなんにもしていないだろ!」


「私は彼に重力軽減の魔法をかけた。体は寧ろ来た時よりも軽くなってるはず」


「……………………………」


「なんにもしてあげられなかったのは貴方だけね」


「うん」


2人は息を合わせるように次々とレオンに対して辛辣なコメントを吐く。いつものことである。


「……酷い……………俺パーティーのリーダーなのに……………」


そして例に漏れず、彼はまた苦虫を噛み潰したように1人惨めな気持ちになる。


「それにしても、彼何者なのかしらね」


「カリオスに来たのが初めてって言ってたから、まだ有名になっていない理由は分かったけど」


「ブロンズなのは……さすがにおかしい」


「よね? それに彼が使ってたのは……」


と同じ」


「偶然にしては………できすぎてるかもね」


「………あの」


「それにギルドにも入ったことないって」


「あれだけ強かったらギルドに入るのは余裕」


「普通わねぇ〜もしかしてアッチ側のギルドばかり回ってたんじゃない?」


「……………あれ? 聞こえてますか?」


「可哀想」


「私もああいうギルドは本当に嫌い」




「俺もいるから!2人だけで話すのやめてください!」


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