夢に狂った日
卒業から何日も経った。
文芸部三人は、大学生になった今でも交流を続けている。
通っている大学は皆違うし、歩む人生も違う。
だから、色んな発見がある。
例えば、███君。
「最近ジムに通い始めたんだ。筋肉最高!」
写真には肥大した上腕二頭筋が移されている。
筋トレに明け暮れる彼。容易に想像出来る。
「今日も呑むぞ!」
うん。吐かない程度にね。
「俺、ついに初彼女!!」
マジか。高校時代、あんなに彼女が居ないことをネタにしてたのに。
人生、何が起きるかわからないな。
例えば、×××君。
「大学の課題が埋まって大変。いろいろやりたいことはあるんだけどね」
わかるわかる。
「絶賛執筆中。ネタを構築してる」
僕と彼は、同じ小説投稿サイトにて創作を続けている。
勿論、ペンネームは本名ではない。
「色んな人から評価を貰えた。もっと精進しなきゃ」
いいな……。
彼は俺の倍以上のコメントだのいいねだのを貰っている。
羨ましい。
そして、俺。
「何もしない日々が増えた」
「創作はするけど、途中で折れそうだ」
「評価は相変わらず増えないままだ」
やはり、僕に才能なんてない。
自分の個性がわからなくて、必死に問い続けたけど。
結局わからない。
何年も執筆を続けて、努力と経験を積み重ねてはいるけど。
何かが足りない。
自分では理解し得ない、掴むことの出来ない何か。
もっと評価が欲しい。
いいねが欲しい。
もっと。
もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと。
褒めてくれ。
僕に希望をくれ。
たった一つしかない人生の中で、ようやくみつけた夢。
壊したくない。
叶えたい。
諦めたくないんだ。
夢を。
希望を。
僕の、唯一の取り柄を。
僕を、小説家にして。
夢に向かって突っ走る、僕を。
奪わないで……。
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