第4話「追試対策」
若女さんの追試を突破するため、Gクラスの教室で勉強会が始まった。
「社会のテストは序盤に記号問題、中盤は単語を答える括弧(かっこ)の穴埋め問題が多いからそれらを全部暗記して点数を稼ぐんだ。終盤の文章で答える問題は俺の答えを写して使おう」
「うん。社会のテストは暗記が多いから楽だね」
最初は比較的取り掛かりやすい社会から始める。
目標は数学と社会が70点、化学が30点、たった1点でも下回ることは絶対に許されない。もし一科目でも下回ったら若女さんの留年は確定だ。
「ペガの答え写してもいい?」
「おう、いいぜ」
回答用紙を渡して答えを埋める作業を始める。
それにしても、
若女さんのおっぱいが机の上に乗っかってる!すげぇ!胸が大きいと机の上に乗るって聞いたことあるけどこんな間近で見たのは初めてだ!
若女さんのバストサイズはGカップ。これは本人の口から直接確認できたものだ。なぜ俺がこれを知っているかというと、以前チャラチャラ仲間の女子が若女さんとじゃれ合って、
『華奈ってホントおっぱい大きいよねぇ~(もみもみ)』
『へぁっ!?ちょっ!?男子の前でやめてってば!』
『てか前より
『じ、Gだよ!恥ずかしいからやめてえええええ!!』
というやり取りが目の前であったからだ。
まさか男の俺がいる前でおっぱい揉みしだくなんて思わなかったし、サイズ知れるわ恥ずかしがる若女さんが可愛いわで収穫もでかかったなぁ。巨乳だけに。あの光景は今思い出してもすっげぇ興奮するぜ……
あわよくば今二人きりのこの状況、どうにか若女さんのおっぱいを拝めないものだろうか……
「ペガ、写したよ!テスト返すね」
「! お、おう」
っていかん!何考えてるんだ。若女さんが頑張ってるのにそんないやらしいこと考えるなんて失礼じゃないか!何やってるんだ俺。
「一応確認するから社会のテスト見せてくれ」
「うん」
答えを写した紙を受け取って確認する。
「オッケーだ。あとは何度も見て暗記するだけだな」
「分かった!」
「うし、じゃあ次は数学行くか」
「うん!数学も式と答えを覚えればいいんだね?」
「いや、もしかしたら問題が同じでも順番を変えてくるかもしれない。数学は式と答えを暗記するより問題の解き方を覚えた方がいい」
「うぅ、難しそう……」
「数字や記号を大量に覚えるよりも問題に合った答えの解き方を頭に入れた方が覚えることも少なくて済む。心配すんな。お前が分かるまで教えるから」
「うん、ありがと……」
ひとまず社会は用意できたしあとは若女さんの努力次第ということで、続いて数学を教える。問題の解き方やコツ、それらを若女さんが理解できるまで何度も繰り返す。
「最後の方に出てくる大問7と8は応用問題だ。難しくて正解者も少ないから無視していい。俺も間違えたしな」
「うん。分かった!」
こうして若女さんと一緒に勉強していて思う。若女さんってすごく素直な人だよなぁ。さっきから真面目に勉強に取り組んでるし俺の教えるコツやアドバイスも聞き入れる。つまずいた時は文句も口にすることなく質問してくれるし、俺が教師や塾の先生だったらこういう子は教えがいがあるだろうなぁ。
ふと時間が気になって時計を見る。時刻は午後の三時近く、そろそろ休憩を入れるとしよう。
「よし。若女、一通りやったし休憩入れるぞ」
「ホント!?あぁ~やっと休めるぅ~」
休憩に入った瞬間体を伸ばして椅子に浅く座る体勢になる。同時にカーディガン越しに巨乳が強調されて、すごく、エロい……
「はぁ~あ~、何で学生って勉強しなきゃいけないんだろ」
ふと若女さんが気になる言葉を口にする。
「何だよ急に?」
「だってさぁ!勉強したって働き出したら絶対使わないものとかあんじゃん!因数分解とか元素記号とかさ!」
「お、おう……」
「理科で実験したり国語で昔の文とか読んだり英語で会話したりとかそんなの
勉強する意味、か。
「そんな
「具体的にどんなこと教えてほしいんだ?」
「うーん、『お金持ちになる方法』とか!」
直球すぎる。
けど、確かに若女さんの言うことは全部間違っている訳でもない。俺も将来元素記号とか使うことはないだろうし、そう考えると無駄とも言えるし勉強する意味も疑問に思える。
「ペガはしっかり勉強しててすごいなぁって思うよ」
だが、
「若女、これは俺の考えだが、勉強する理由も勉強する意味も人それぞれあると思うぜ?」
「どういうこと?」
「そうだな。『高校や大学受験のため』だったり『将来の可能性を広げるため』、あとは『問題を解く時に使う考え方を働き出して仕事で使えるようにするため』っていうのもあるな」
「うーん、いまいちピンと来ないなぁ……」
「若女向けに例えたらそうだな……お前、今好きな奴とかいるか?」
「別にいないけど」
「もしこの先お前に好きな奴ができたとする。その相手は歴史が大好きな『歴史オタク』だ。そんな時もし若女が歴史の勉強してればその人と同じ歴史の話題で盛り上がれるし、『歴史について教えて欲しい』って聞きに行けば接する機会を増やすことができる」
「うんうん!それはありそう!同じ趣味の人同士で付き合うことってあるし!」
「お前の考えも間違ってないし否定するつもりもないけど、こういうことに気付ければ勉強に対するイメージも変わるだろうな。上手くいけばお金持ちにだって全然なれる」
「ほえ~、やっぱり勉強って大事なんだね」
「偉そうに言ったけど実際どっちが正しいかなんて分からんさ。後になって『勉強してよかった』、『勉強しなくてよかった』と思えればそいつにとって正解だし、逆に『勉強しておけばよかった』、『勉強しなければよかった』って思うようなら間違い。人それぞれだろうな」
真面目な話をして少し空気が重くなる。そんな中で若女さんが小さく呟く。
「将来、か。私に将来ってあるのかな……?」
気になる言葉を口にしていたが勉強も再開したかったので聞くのは控えておいた。
♡
追試を終えて翌日の放課後、上井天馬の姿で若女さんと合流して職員室に向かう。
追試を受けていない俺は廊下で待機する。緊張の瞬間だ。
昨日追試を終えた直後若女さんの口から『スラスラ埋められたし見直しもしたけど合格できるか心配だ』と聞いた。もちろん解答欄は捨てたところ以外は全て埋めたみたいだけど、もしものことを考えると何だか俺も落ち着かない。
職員室から若女さんが出てくる。
「若女、どうだった?」
追試の結果を確認する。
聞かれた若女さんはニッと笑みを浮かべ、
「じゃーん!三科目とも追試突破しましたーーーっ!」
自慢げに回答用紙を三枚見せてくる。それぞれ数学は78点、化学は46点、社会は91点、三科目とも全て合格点を超えている。
「おおっ!やったじゃん!」
「イェーイ!進級できるぜぇ!」
得意げにピースしたあとうっとりした表情でテストを見つめ出す。
「こんな点数取れるとかあたしって実は天才なのかも?」
「アホか。テストと同じ内容の問題覚えて書いただけだろ」
「う、うるさいわね!追試落ちなかったんだからいいでしょ!」
「普段から勉強してれば追試受けることも無かったのになぁ~」
「う、うるさいうるさい!! (バタバタ)」
若女さんが地団駄を踏む。その動きに合わせておっぱいもぶるんぶるん揺れる。
口を尖らせた若女さんと見つめ合う。そして、
「「ぷっ、あはははははっ!」」
二人同時に笑い出す。
「ま、何はともあれ無事追試突破だな」
「だね!」
よっしゃあ!これで若女さんと離れ離れにならずに済むぜ!
職員室を離れ横に並んで歩く。
いつものように他愛ない会話をしながら廊下を進む。
「ペガ……」
「何だ?」
そんな何気ない日常の中で若女さんがゆっくりと口を開く。
「その、ありがとね。追試手伝ってくれて」
顔を少し俯かせ照れくさそうに言う。
「あたし一人じゃ落ちてたかもしれないから、ペガが手伝ってくれてすごく助かった」
「にっ」と誤魔化すようにはにかんで笑う。俺がしたくて助けたことだけど、こうして感謝されると一緒に頑張った甲斐があったものだ。
「ま、次からはこうならないように気を付けろよ」
「うん」
追試を越え無事二年生に進級できることになった俺達はその喜びと共に高校を後にした。
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