第17話 間の悪さは間違いない

 はぁあ、本当になんでこんな時に限って……奴ら……タイミング良すぎる。てか俺の間の悪さだけは、世界でも通用しそうだな。S級だな。


 なぜ女の子を連れてきた時に、鍵なんか変えてあるわけ? あいつら分かっている気がするぞ。まさか!?


「奴ら専用の衛星が存在するのでは!?」

 空を見上げてキョロキョロする俺を、咲恋は不思議そうに見ている。


「どっかに、監視衛星が飛んでいるのでないかと」

「うふふ、それは凄いわね。ところで玄関の扉が開いたよ」


 咲恋が力を入れると、玄関の扉が手前に開いた。

 そのまま家の中に入ったがおかしな感じ。


「う~ん、鍵は変えられていなかったのか? それか最初から開いていた?」

「そんなに、家族を疑ったら駄目だよ」

 咲恋の言葉に、居間に通してから台所へ、飲み物を探しにいく。


「なにがいい? お茶系かジュース系」

 居間のソファーに両足をキチンと揃えて座っている、咲恋が声を掛ける。

「いいよ、気にしないでね。おかまいなく」

 自分の家にお客さんを招く……特に可愛い女の子が来るなんて、まずない、咲恋以外はあり得ない。


「ホント、あり得ん現象だな……」


「うん? 何か言った?」

「な、なんでもない」


 さてどうしよう、事前のシミュレーションがちゃんと出来てない。

 このまま、先の展開を想像すると、どうしてもエロい妄想に進んでしまう。


 アドリブに極端に弱い俺は、まるでロボットのようにギクシャクと、咲恋の前でぎこちない動きを披露している。


 その度に俺を見て、ニコニコしている咲恋。

 ゆるふわポニーテールとスラリと伸びた脚に妄想が進む。

 エロロボットと化した俺が、ギクシャクしながら冷蔵庫をあさる。


「飲み物、えーと、お茶無いなあ。ジュースでいいか……ジュースに強い酒でもいれて……いやいっそ薬を盛って……いかん、幼なじみに何を考えているんだ!」

 離れた居間から咲恋が、台所で妄想する俺に声を掛ける。

「いいよ、飲み物なくても」

 つい本心を呟く俺。


「人の記憶を消せる方法って無いかな……」

「なんか言った?」

 不思議そうな咲恋。


「い、いや、ほら最近は家でいろいろあるので……トラウマにならないように、辛い記憶は消せたらいいなあ……と」

「そうね。確かに辛い事を忘れる事が出来たら、幸せでしょうね」

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