第4話 偉大なレジェンダリー

 俺の偉大な諸行が良く分からない親父に、俺は出来るだけ分かりやすく、解説を心がける。


「このレジェンダリーは、日本中で俺を含めて十人も持ってないない。そして俺は、全てのレアアイテムをゲットしている。これは五人もいないだろう。しかもこんな短期間で実現したのは、記録的な凄い事なんだ!」


 ステータス画面を見せて誇らしげに、胸を張って話を続ける。


「ゲームの中では尊敬されているんだ。一番なるのは良いことだろう? いつも親父は言っているじゃないか。どんなことでも人に負けるな! ってさ」

「ふ~う、そうかわかった。おまえが十二万円を掛けて得たものはな」

 俺の成し遂げた偉業を解ってくれたか親父。


「分かったというより、今更やってしまった事に、文句を言ってもしょうがない。おまえも自分のしたことを、悪いと思っていないようだしな」

 この展開は……今回の説教は意外にあっさりと、終わるかもしれないな。

「ラッキー」と思った時に親父が言った。

「一番になったんだな。じゃあ、もうゲームは止めていいな? スマホもいらないな?」


 なに!そう来るか……一生ゲームやるなって? スマホも止める気か。


「親父それは違うぞ!」

「何がどう違うんだ?粒斗」

「連絡出来ないと困るだろう? 今時、スマホ持ってないのは、自分だけじゃなくまわりにも迷惑だよ。スマホは、ゲームをするものではなく、連絡する為のものだ」

「子供が持つスマホでいいだろう」


 まずい、ここで言い負けたら、俺のスマホは安否確認専用になる。

 こんな時に俺はアドリブの弱さを嘆く。もし芸人だったら食っていけない。


「親父……もったいない」

「何がもったいないのだ?」

「今度のバージョンアップで、新しいレジェンダリーが追加される。だから……今までの経験を使って今度は……海賊王を目指すつもりだ!」


 いきなり強烈な衝撃が俺の頭を襲い、クラッとして体勢を崩した。


 親父のチョップが垂直に振り下ろされ、俺の頭を直撃していた。


「いきなり何すんだ! DV親父!!」

 両手で頭を押さえる俺に親父が大きな声を出す。

「大馬鹿者め! おまえというやつは……今度こそ許さんぞ! 粒斗! 担任の先生から連絡があったぞ。学校に行っていないようだな。このままでは留年だと、心配していたぞ!」


 ゲゲ、学校へ行ってないのが、ばれていたか……やばいぞ、この展開。

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