終 鏡の誓いへの応援コメント
僭越ながら講評を書かせていただきます。
のちほど☆レビューを書きますので、しばらくお待ちくださいませ。
【講評】
普通「異世界ファンタジー」といえば「中世ヨーロッパ風の剣と魔法のファンタジー」になりそうなところを、心が作る「盾」を主軸とした「和ファンタジー」に落とし込んだ。その姿勢は高く評価できます。
誰かと戦うのではなく、自らの心に「他人との適度な距離をとる」ゆとりを持つ話も独創性があります。
精神的な「盾」の話としてはアニメの『新世紀エヴァンゲリオン』の「A.T.フィールド」という前例があります。そちらの「盾」も他人を拒絶する心が形となったものでした。
しかし本作の主人公・椎名の「盾」は、一度あきらめかけた現実の世界を取り戻す力となりました。
それも異世界での生活や「盾」の修行によるところが大きい。
「盾」の修行の形で「他人との適度な距離をとる」精神が身についた、という因果もはっきりとしています。
本作を中学生が読めば、『エヴァンゲリオン』好きでないのなら、「他人との適度な距離をとる」精神のたいせつさに思い至るでしょう。
ただ大人にはそれが当たり前なので、「小説賞」では戦いにくい点もあります。
椎名が手に入れた心境は、彼女を自立させうるものだった。
周囲を倦んでいた頃より、さっぱりとした心を手に入れられた。
それが彼女が佳境を経て手に入れたものであり、成長なのです。
「主人公最強」の物語が多い中、未熟な主人公が成長する姿は読み手に「こういう物語も面白いかも」と思わせるにはじゅうぶんだったでしょう。
おそらく読み手層を「女子中学生」に設定すれば、より評価されやすかったと思います。
KADOKAWA社のレーベルだとコバルト文庫向けかな。
コバルト文庫向けだとすると、やはり「椎名の一人称視点」が不可欠ですね。
「中学生」に「三人称一元視点」はなかなか受け入れられづらいので。
【物語】
総称すれば「ライトファンタジー」です。
椎名が異世界と現実世界を頻繁に往復していたから、世界が危機に見舞われる。
世界を救ったのは椎名が手に入れた力だった。
とこれだけを書けば、とてもわかりやすい物語です。
だから誰が読んでも楽しめます。
ただし意味深な部分が伏線化してしまい、結果回収されない状態に見えてしまったのは「小説賞」では不利に働いたかもしれません。
これは後述するように「椎名の一人称視点」でリライトすれば解決できる問題です。
【文章】
少し説明が強いかな、と思います。
もう少し椎名の口調を交えて「椎名の語り」を読ませるようにすれば、説明臭さが抜けてしっくり収まるでしょう。
これは「三人称一元視点」を採用している以上は、ある程度あきらめざるをえません。
もし本作を手直しして、再び「小説賞」へ応募したいのなら、「椎名の一人称視点」に切り替えましょう。
「一人称視点」は主人公の語りで物語が進むため、ほとんどのものは説明しなくても表現できます。
とくに椎名が見て触れて感じたものを、地の文でそのまま書けるので、説明を読ませるよりも物語に没頭できます。
あえて難しい「三人称一元視点」にする必要はないのです。
またダッシュ(──)の使い方や、感嘆符(!)・疑問符(?)の処理など、紙の書籍での使い方ができていませんでした。その点もマイナスに働いた可能性があります。
講評は以上となります。
これからを考えるなら、まず「一人称視点」でリライトしましょう。
世の小説の七割ほどが「一人称視点」と言われています。
実際に「売れるから」です。
プロは売れないものを書きませんからね。
上述しましたが、この物語は「女子中学生」にこそ読んでいただきたい。
「中学生」には「三人称一元視点」は難しいのです。
『カクヨムコン』を通過できなかった理由もそこにあるかもしれません。
執筆と手直し、お疲れさまでした。
今回の講評以外のコメントを消して、私の近況ノートで報告いただければ、☆レビューを書きますね。
評価が残ったままだと、正しく評価されづらいので。
このたびは、面白い小説にお招きいただきありがとうございました。
また機会がございましたら、よろしくお願い致しますね。
《二章からの登場人物》への応援コメント
『小説読みます!異ファ編』に参加してくださり、ありがとうごさいます。
楽しく読ませていただきました!これからの執筆も頑張ってください!
作者からの返信
お読みいただき、ありがとうございます。
執筆&推敲がんばります。
七話 鏡界と幻界への応援コメント
なるほど。幻界と現界。立場によってあてる字が変わるのはもっともですね。
大きな違いになりますね!
作者からの返信
コメントありがとうございます。
そうですね。鏡界の人にとってと、我々が住む世界の人々にとっての世界の見え方は逆転していますので、こうした字をあててみました。