2-8
マンションからそう遠くない場所に位置する、先月も訪れたあの喫茶店。
そしてそのオープンテラスには、既に先客がいた。
「あ、ちびっこたちじゃない」
雑に椅子に腰かけてやはりと言うべきか携帯ゲーム機を手にしたマソラと。
「……なんであなたたちまで来るんですの」
クロワッサンを口元に運ぼうとしていた手を止め、どこかうんざりした表情を浮かべるリンカ。
そしてその2人の隣のテーブルに座ったタイキは、メニューを取りつつ手を振った。
「女子会の邪魔をする気はねぇから、2人でどうぞよろしくやってくれ。俺は頑張った自分へのご褒美のタダ飯を選ぶのに忙しいんだ」
「……わたくしは、ホテルの朝食があまり口に合わなくて外に出ただけですわよ。ここも上等とは決して言えませんが、あそこよりはマシですので」
言いつつ、クロワッサンに口を付ける。
「で、そんな金持ちを見つけてあたしも追いかけてきたってわけ。ほら、気前よくおごってくれそうじゃない?」
そんなマソラのテーブルには、湯気を立てるホットココアのカップ。
「自分で支払いなさいな。その程度の金銭的余裕はおありでしょう?」
「ケチ。でも最近金欠だし、もうすぐお昼も近いし。ま、これだけにしとこうかしら」
「……このサンドイッチセットで」
そんなやり取りを横目に、近くを通りかかった店員に注文を告げる。
時間帯のせいか自分たち以外の客は誰もいないオープンテラスで、リンカが視線をトオルへと向けた。
「……さて、ちょうどいいですわね。昨日の件、そちらで何か進展はありまして?」
「さっぱりさ。あれ以降、同じ現象には遭遇してないよ」
トオルが首を横に振ると、彼女は懐から紙のようなものを取り出した。
「やはり気になりましたので、こちらで『セントラル』に照会をかけてみましたの」
皆で一斉に覗き込むと、それはこの一帯、要するに関東圏内を示した地図だった。
「昨日と同じように、幽魔が突然現れ、すぐに痕跡すら残さずに跡形もなく消える。そんな現象がここ最近、他の地域でも何件かあったようですわね。それも、1、2件などではなく」
地図を指し示した指の先では、ポツポツと散らばった位置十数か所ほどに丸印が付けられていた。
そしてそれらの丸印を繋ぎ合わせるように、リンカがさらにその上に大まかな円を描く。
その中心部に位置する土地は。
「……これって、ワタシたちが今いるここ?」
「という事ですわね。この現象を引き起こしている何らかの原因が、この近くにある可能性は高い。昨日、そういう結論に至りましたわ」
それから、ちょうど運ばれてきたお代わりの紅茶に口を付けた。
「後ほど正式な通達があると思いますが、現地にいるわたくしとあなたたちもこの件に当たる必要がありそうですわね」
その視線は、クロエとトオルを捉えていた。
「それに関連して。ちょうど休暇を取って私用でこの街を訪れている、とあるサポーターがいますの。急遽その人物が応援要員として合流する手はずですわね」
「……あん?」
サンドイッチの山に手を伸ばしつつ、心の中で首をひねる。
先月までの彼女なら、そんなものは不要だ自分だけでやる、とでも言いそうなはずなのに。
タイキの脳裏に浮かんだそんな疑問符も、いつの間にかかき消されていった。
「数日前に発ったそうなので、そろそろ着いても良さそうなものですが……一向に見当たりませんわね」
「それってアンタの事じゃないの?」
「わたくしは別件の仕事ですわよ」
それから地図をしまうと共に扇子を取り出し、口元に当てた。
「……わたくし、どうしても「あれ」は好きになれませんわ」
「何よ。またアンタみたいな強い高慢ちきが来るっての?」
「実力上の序列は相当上位ですわね。わたくしよりは多少下ですが、それより……」
その人物の事を思い浮かべたのかため息をつき、続ける。
「……一言で言えば、問題児ですわね」
「……ああ、それ、きっと僕の姉さんだ」
同時、トオルが同じようにため息をついて頭に手を当てた。
「……」
ふと、レモネードを手にしていたクロエの動きが止まっている事に気づく。
見ると、ストローを口に付けた体勢のままカタカタと小刻みに震えていた。
三者三様の反応を目にしたタイキは、舌打ち交じりに吐き出す。
「……んだよ、一体どんなゴリラが来るんだ」
「ええと、背たけは僕より少し小さいくらいで……ってそれはいいんだ」
「へぇ。菓子折り持って姉御って挨拶しに行こうかしら」
「……とにかく。この件はその問題児と合流してから改めてになりますわね。今のままでは情報が足りませんもの」
朝食を食べ終えた彼女が、ナプキンで口元を拭った。
「ふーん、頑張ってねー。……あーもう、ずっと話してたら冷めちゃったってのよ」
ぬるくなったホットココアのカップを、リンカに押しやるマソラ。
「ってなわけで、よろしく!」
「……自分でおやりなさいな。そこに電子レンジがあるでしょう」
「アンタ確か能力で温めるとか出来たわよね。やってみせてよ。ちょっとくらいいいでしょ」
「……」
無言でカップに手を伸ばしたリンカが、そのまま指先をココアの中へと突き入れた。
「え、ちょっ……」
次の瞬間、凶悪なまでにトゲトゲした形のホットココアの氷柱が、顔ほどの高さまでそびえ立っていた。
「って、アンタねぇ……」
「……」
力をこんな事に使ったのがよほど不快だったのか、リンカは顔をしかめて自身の手を見つめていた。
「……ええと、姉さんが来てるなら迎えに行っておこうかな。まだ来てなくても、その幽魔の件で見回りもしておきたいし。それにちょっとした野暮用もあるしね」
言いつつ席を立ち上がるトオル。
「……あん?」
「リンカがいれば安心かな。それに何かあったら呼んでくれればすぐに戻るよ」
そう言い残し、彼の姿は大通りの方へと消えていった。
「……それにしてもアンタさ、さっきの話もあるし、昨日もスリ相手に暴力で勝ってたし、こんなアイス作れちゃうし。割とスゴかったのね」
カップに生えた氷柱を舐めながら、マソラが感心したようにつぶやく。
「何を今さら。……いくつか聞き捨てなりませんが」
「よし! 決めた! アンタをあたしのライバルとして認めてあげる!」
「……は?」
指を突きつけられ、目をパチクリとさせる。
「ライバルよライバル。良き競争相手、みたいなヤツ!」
「……何を言っていますの、このバカチンは」
心底意味が分からないように、小さく息を吐いた。
「っていうわけで、ライバル同士どっちが上かを決める必要があるってのよ。どうせアンタまだヒマなんでしょ?」
「……やっぱりド貧乏人の思考回路は一切理解できませんわね」
顔を背けながら、扇子を口元に当てる。
「何よ、お高く留まっちゃって! ……ま、そんな事言ってられるのも今のうちだっての ……あ、こら、逃げるな!」
「……」
無言のまま立ち上がり背を向けようとした彼女は、ふと何かを思い出したかのように足を止めてマソラへと向き直った。
それを勝負を受けたと取った幼なじみは、満足げにうなずいた。
「じゃ、最初の対決内容は……。そうね、決めたっての!」
ポン! と手を叩いてからリンカに指を突き付ける。
「ゲーム対決だとあたしが圧勝でアンタ泣いちゃうから、そろそろお昼だし料理対決でどちらが上かを決める。これでどうよ!」
「……」
心底面倒そうにため息をついたリンカは、諦めたのか肩をすくめた。
「……で、具体的にはどうしますの?」
「今からスーパー行って好きな材料を買って、料理を作るの。で、審査員にどっちのが美味しかったか決めてもらう! 王道だってのよ!」
そう叫んだマソラの視線が順にタイキとクロエを向き、すぐにリンカへと戻った。
「アンタ自分で金持ち金持ち言ってるんだから、どうせ料理なんか出来ないんでしょ? そんなのは下々の仕事だー、とか。ああ、あたしはもちろん得意だってのよ」
「……初耳なんだが」
タイキのうめき声を華麗に無視したマソラは、そのまま鼻を鳴らした。
「だって料理作るゲームでグレート叩き出すの上手だし、あっちのだと調理レシピ全部コンプした上に調理マイスターのアチーブ取ってるし、それから……」
「料理舐めてんじゃねぇぞコラ」
言いつつも、タイキは心の中ではそう不満は無かった。
なにせサンドイッチセットだけでは、全然食べた気はしなかったのだから。
「うっさいわねー。ま、とにかく材料用意しなさいってのよ」
――それから30分後、マンションのクロエの部屋にて。
「……」
スーパーから戻ってきた2人が、食材が詰まったレジ袋をテーブルの上に並べる。
タイキはそんな光景を、腕を組みながら見つめていた。
「さて、金持ちは一体どんなものを買ってきたってのよ……って」
リンカの側に並べられていたのは、ニンジン、牛肉、タマネギ。
そして、1本の小瓶をクロエがつついた。
「……何、これ。ウスターソース?」
「ただの隠し味ですのよ」
……。
一瞬おいて、マソラが自信たっぷりにニヤついた笑みを浮かべた。
「あれ? あれれ? カレー? まさかカレーなんてありきたりなものであたしに勝てると思ってるだなんて、笑っちゃうってのよ」
「……そんなありきたりなものも、お前は作れねぇだろうが」
タイキの言葉を素敵なまでに無視した幼なじみは、手をひらひらさせた。
「あー、これはもうあたしの勝ちねー。ま、せいぜいやれるだけやってみなさいってのよ」
それから、タイキたち3人の目の前で調理を始めるリンカ。
だがマソラとクロエはすぐに見物に飽きたのか、隣の部屋でゲームを始めに向かってしまった。
そんなさなか、タイキはふと彼女の背中に問いかけた。
「そういえば、なんだけどよ」
視界の中ではトントントン、と手際よくタマネギがみじん切りにされていった。
「確かお前、先月の一件のせいでリハビリが必要って言ってたよな?」
先月に身代わりとなって『
「ええ、その通りですわよ。そして、もう終わりましたわ」
「……だろうな」
思い出すのは、昨日彼女がスリを軽くあしらった時の事。
もちろん幽魔との戦いではなかったが、リハビリを終えた彼女ならばそちらも先月同様の圧倒的な実力を見せつけるのだろうと、タイキは思った。
「それにしてもよ、まさか素手とは思わなかった。一瞬で体温奪うとか、えげつない事するのかと」
半ば冗談で放った言葉に返答は返ってこず、その代わりに香ばしい牛肉の匂いが鼻をつついた。
「ところでお前、朝食の目玉焼きを作る時にその炎を使ったりはしねぇのか?」
「……何か非常に侮辱された気がしますが、ノーコメントとしておきます」
ため息をつきながら、鍋をかき混ぜる。
「それと金持ち金持ち言うけどよ、お前どのくらい金持ってるんだ。預金通帳がカンストでもしてんのか」
「……」
すると彼女は、無言で両手を使って指を数本立てた。
「……。将来は調理師じゃなくてお前のところで働く方が老後の貯蓄にも困らない、か……?」
「……急に生々しい話になりましたわね……。でも、覚悟と力があるのなら、どうぞお好きに」
そう言って、お玉で鍋の中身を少しすくって小皿に移した。
「覚悟はともかく、直接戦える力なんてモンは俺にはねぇぞ。お前も知ってんだろ」
「ならあの小動物と同じように、『セントラル』から武器の支給を受けても良くてよ? わたくしは不要ですけれど」
それからその小皿に移したスープを口元に運び、小さくうなずいた。
「……まあ、就職の選択肢として一応考えとくわ」
履歴書にはなんて書くべきなのだろうか、高卒だと不利にならないかなどと思案していたタイキは、何故かリンカが同じように考え込んでいた事には気づかなかった。
そして、その少し後。
「どうぞ。ハッシュドビーフですわ」
2皿の料理が、リビングのテーブルの上に並べられた。
「って、カレーじゃなかったの!? 詐欺だっての!」
「……わたくし、一言もカレーだなんて言ってませんわよ」
「……。ところでよ、これって味付けってどうなってるんだ? ウスターだけだと……」
湯気を立てる料理を見つめながら、ふとつぶやくと。
「戸棚の奥にあったデミグラスソースの缶を使いましたの」
「……そういえば、この前ワタシがハンバーグが食べたいって言ったらトオルが買ってきた」
「それと、こちらはミネストローネですわね。味付けには、全然手を付けられておらず山積みされていたトマトジュースを使わせていただきましたわ」
小腹を満たすにはちょうどいいサイズの、具沢山の赤いスープのカップも2つ載せられた。
「……」
トマトジュースに覚えがあったのか明後日の方を向くクロエの事など視界にも入らず、料理を指しマソラが叫ぶ。
「あっ、ありえないっての! きっと塩と砂糖を取り違えたり、サラダ油と洗剤を間違えたり……」
その言葉を無視し、タイキはスプーンを口に運んだ。
「……うめえ」
お世辞抜きに、そうつぶやく。
2品とも一流シェフの味……とは言えないが、そこらの料理店のものと比べても遜色のないものだと思った。ついでに金欠の身にもありがたかった。
が、隣のクロエはすぐにスプーンを置いた。
「……ワタシ、これ嫌い」
「あん? んな悪いものじゃねぇだろ。むしろ上出来の部類の……」
「付け合わせのニンジンが嫌い。あとトマトも」
「子供か!」
星形にくり抜かれたニンジンをタイキの皿に移し始める彼女に、マソラが手を叩いた。
「ちびっこ分かってるじゃない! こんなのマズいに決まってるってのよ!」
「でも、お肉の方は結構好き……」
「ほら、マズいって! これは引き分けだってのよ!」
「……別に、わたくしは何でも構いませんけれど」
「って、アンタ料理なんて出来たの!? きっと色付けるのに絵の具とか使ってるとばかり……」
「この程度、サポーターの義務教育でしてよ」
「は、はぁ!? アンタ氷とか炎とかだけが取り柄で高慢ちきなんじゃ……」
「戦闘だけではなく、必要な家事は一通り。本来ならネクロマンサーの補助として付き添いますから。わたくしはまっぴらごめんですけど」
タオルで手をぬぐいながら、こともなげに言い放つ。
「んで、お前はどうすんだよ」
そこでマソラの分の食材がどこにも見当たらない事に気づいた。
「ふふん、あたしはもう用意してあるってのよ」
言いつつ、席を立つ。
「忙しくても短時間でお手軽に作れて、しかも美味しい。そういう手軽さも評価してほしいわね」
「……ほう」
それを聞いて、タイキは少し感心した。
ここまで言うのだ、自分の知らないところで幼なじみは料理の練習をしていたのだろう、と。
もし本当に短時間で、リンカの料理には及ばずともそれなりのものが出てきたのならば、味の方には少しだけ目をつぶってやろう、と。
「じゃ、ちょっと待ってて」
台所で幼なじみがお湯を沸かし始め、それからまな板の上で何かを切る音が聞こえてくる。
トントントン、と。
決して手際よくはないが、聞こえてくるのは確かに何かの野菜をカットする音。
「まっ、まさか……」
その現実を認められず、タイキの両手は震え出していた。
「まさか、まさか、アイツがマジで料理をしている、だと……! 俺は夢でも見てるんじゃねぇのか……?」
「……あなた、彼女に一体どういう認識を持っていますの?」
料理内容には特に興味が無さそうなリンカと。
「……楽しみ」
フォークを握りしめたまま、何度も台所に視線を向けているクロエ。
そして、それから数分後。
「出来たってのよ!」
着席したタイキとクロエの前に並べられたのは、2つのカップラーメン。
蓋を取ると、やけに不揃いに切られたネギが浮かんでいた。
「さぁ、食べて感想を!」
「……おう」
言われるがまま、箸でネギごと麺を一つまみ。
「……。……うめえ。カップラーメンが」
「でしょ!?」
「というかなんでネギ刻んだだけで、んな満身創痍なんだよ! 絆創膏だらけじゃねぇか!」
指先はもちろん、なぜか鼻の頭にまで絆創膏を張り付けている幼なじみ。
「当たり前でしょ刃物だなんて物騒なもの使ってるんだから! ……で、そんな事より! ちびっこの感想は!?」
「ワタシとしてはこっちの方が美味しい」
「やっぱり分かってるー!」
「初めて食べたし、ニンジン入ってなかったし」
心底興味深そうに、麺をすするクロエ。
「で、あたしの料理が美味しかったアンタの判定は? どっちが上?」
「……」
タイキは無言で、リンカの片腕を掴んで持ち上げた。
ちょうどその時、背後で点いていたTVからカンカンカーン、とベルの音が鳴った。
「はぁ!? いくら賄賂もらったのよ、見損なったってのよ!」
しばらくプンスカしていたマソラは、明後日の方を向きながら汗をぬぐった。
「ふぅ、これで料理対決は互角のようね」
「一方的に完敗していたと思うんだが」
再びタイキの言葉を無視し、マソラはどこからか数冊の冊子を取り出した。
それは学校で使われている、数学やら英語やらのワークノート。
「じゃあ次の勝負は、勉強対決で行くってのよ!」
その教材の後ろには、天道寺マソラと記入がされている。
「……要するにお前、ゴールデンウィークの宿題が面倒だからコイツにやらせようって魂胆じゃねぇか」
「ふふん、あたしの考えをそう甘く見てもらっちゃ困るってのよ」
「……あん?」
疑問符を浮かべるタイキを尻目に、彼女は皿をキッチンに下げていたところだったリンカに指を突きつけた。
「ほら、アンタはどこの高校に通ってるってのよ!」
「って、確か……」
「……。わたくし、最終学歴は小学校中退、と正直にお伝えすればいいかしら?」
「……なるほど、そういう悪だくみか」
リンカは特段気分を害した様子もなく――ただし心底面倒そうなのは変わらないようだったが――マソラからペンとワークノートを受け取った。
「さぁさぁ、そういうわけで勉強対決の始まりだってのよ! もし分からなかったらあたしが1足す1から教えてあげるから!」
そして。
「……。すげえ、全問正解」
付属の回答と照らし合わせてタイキが採点を終えると、相手は大した興味も無さそうにペンを放り出した。
「……わたくし、一応既に高校3年生程度までのカリキュラムは終えていますの。先ほどの通り、付き添うサポーターが無学では困るでしょう?」
「な、な、な、な……」
「その不出来な脳味噌に、わたくしが勉強を教えて差し上げてもよろしくてよ? 微分積分はいかがでしょう?」
クスリと笑う相手に、マソラも同じく笑みを浮かべた。
「いいじゃない、やっとアンタが1点得点ね!」
だがその目があからさまに泳いでいた事を、タイキは見逃さなかった。
「ところでわたくし、そろそろ飽きてきたので帰りたいのですけれど」
「か、勝ち逃げって1番いけない事だってのよ!」
「ではわたくし降参しますので、この勝負はあなたの完勝という事で終了……」
「ま、待ちなさいよ! ……こうなったら奥の手よ。付いてきなさい!」
そう叫びながら、玄関の扉に視線を向けた。
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