3P 寄り道イベントは未知数
翌日、彩からメッセージが届いた。
『今日の放課後、一緒に帰りませんか?』
特に用事もない為『いいよ』と返事をした。
-放課後-
「先輩~。帰りましょ~」
「ああ」
荷物を持ち、廊下へと出た。
「先輩は甘いものとか好きですか?」
「まぁ、嫌いではないな」
「なら、クレープ食べに行きません?」
「いいよ」
「やった。早速行きましょ!」
-クレープ屋-
クレープ屋につくと人が数人の学生並んでいた。まぁ放課後なら普通か。
俺たちは列に並びメニューを見ていた。
「先輩は何にします?」
「うーん。そうだな、俺はこのクリームブリュレってやつにしようかな」
「あっ、それ凄く美味しいですよ!私もそれにしようかなー」
「一口やるから別のやつにしたらどうだ?」
「へっ!そ、そうですか。じゃあ私はこの抹茶いちごにし、します」
「そうか」
ものの数分で順番がき、注文をしてクレープが出来るまで待つ。
因みに2つで1250円だった。クレープって結構するんだな。
「お待たせしました。クレープブリュレと抹茶いちごです」
「ありがとうございます。はい、彩ちゃん」
「あ、ありがとうございます」
近くのベンチに座り、食べる事に。
上に乗っているカラメルを貰ったスプーンでパリパリと割り、一口頬張る。
「ん!旨いな」
「そ、そうでしょ!ここはそれが一番の売りなんですよ」
「そうなのかー。流石だな」
「......」
「ほら、彩ちゃん」
俺はクレープ彩ちゃんに近づけた。
「あ、えっと...」
「いらないのか?」
「い、いえ。頂きます」
ハムッ。
「...美味しい、です」
「そっか。彩ちゃんのも一口頂戴?」
「ちょ、ちょっと待ってください」
そう言って彩は自分のクレープを何口か食べ、俺に近づけてきた。
「ありがとう」
ハムッ。
「ん。抹茶が効いてて旨いね」
「そ、そうですか」
何で先輩は平気なの!もしかしてこういうの初めてじゃないとか?
いやいや、あり得ない。この先輩に限って絶対にあり得ない。
じゃあ、単純に鈍感で心理を理解してないだけ?
それって凄く重症なんじゃ....
じー。
「先輩、どうしたんですか?」
「口にクリーム付いてるぞ」
「えっ?」
手鏡で確認すると確かにクリームが付いていた。
急いでハンカチで拭き取り、私は。
「先輩、そういうのはそっと取るのがラブコメの常識ですよ」
「そうなのか?悪いな、あまりラブコメを読まないものだから」
「ま、まぁいいですけど」
それからショッピングモールに行ったり、カフェに寄って色々話したりと楽しい放課後を過ごした。
てか、クレープ食べたのにまだ食べるんだ。
「それじゃあ、お疲れ様です先輩」
「気をつけてな」
「はい!」
彩と別れて家に帰っている途中、携帯が鳴った。
画面には「担当さん」と。
『もしもし』
『担当の茂野です。原稿についてお電話させていただきました。今お時間よろしいですか?』
『すみません。今少し外出してまして、家に着いたら折り返しでもいいですか?』
『それでしたら、いつもの場所での打ち合わせでどうですか?少しややこしい事もあるので』
『分かりました。失礼します』
ややこしい事ってなんだろう。
そんな事を思いながら、打ち合わせ場所のカフェへと向かった。
■■■
カフェ「ブルー」
「あっ、こっちです。先生」
「こんばんは、茂野さん」
「こんばんは、先生。すみませんね、こんな時間に」
「いえ」
何かに気づいたのかニヤリと笑いこちらを見てきた。
「もしかしてデート中でした?」
「そうだったらどうします?」
「少し妬いちゃいますね。私という存在がありながら」
「いやいや、何言ってるんですか」
「先生は私のものなんですよ!」
「あー。疲れてるんですね。さっさと打ち合わせしましょう」
「そうですね。早く終わらして私を持ち帰ってください!」
駄目だ。今日は完全に疲れきってる。この状態になると絡みがめんどくさいんだよな。
「そ、それで原稿はどうでした?」
「はい、この間打ち合わせした所も直ってるのでこちらの原稿でオッケーです。発売は2ヶ月後を予定しています」
「分かりました。それでさっき電話で言っていたややこしい事って?」
「えっとですね....」
■■■
1時間後、俺はやっと家に帰ってくる事が出来た。
「はぁ。長い放課後だった...」
茂野さんから伝えられたのは絵師さんとの連絡が取れないとの事だった。
それにより一応2ヶ月後となっているが、連絡がつかない場合は....
辞めよう。色々考えたってどうにもならない。
はぁ~。一体どこ行ったんだ『焦がしきゃらめる』先生は。
考えない様にしていても頭から離れない。
くそっ。こんな時は。
俺はパソコンを開き、小説を書き出した。
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