2P 学校イベントはいっぱいある

「それじゃあ、俺は原稿があるから帰るよ」

「ちょ、ちょっと~」

「何?」

「いやいや、なんでそんな簡単にOKしちゃうんですか!さっきは断ったのに」

「作品の為だよ」

「.....それはそれで何かムカつきます」


 えー。だって話の流れ的にそういう事だったじゃん。


「なので、取りあえず連絡先交換してください」

「う、うん」


 どうしてそうなった!本当にキャラの心情を理解するのは大変だ。


 友達の欄に「彩」が追加された。


「まったく!そんなんだから心理描写が書けないんですよ」


 文句を言いながらなケーキを頬張る彩ちゃん。

 俺は少し冷めたコーヒーを飲みほし、会計分のお金を机に置いた。


「それじゃあ、俺は帰るよ」

「こんな可愛い彼女を置いていくんですか?」

「可愛いって。自分で言うものじゃないと思うんだけどな」

「まぁ、今日はいいですよ。お疲れ様でした。先輩」


 案外素直に引き下がるな。

 それならそれで良いんだが。


「それじゃあ、また」

「ええ。また


 ■■■

 俺は徹夜で何とか原稿を完成させ、担当さんに送り学校へと向かった。

 〆切までに間に合って良かった。


「眠いな.....。でも今日は小テストがある。何とか耐えなくては」

「おはよう、賢人」


 薄れそうな意識の中、後ろを振り返ると昨日の生徒双葉祐がこちらに向かって来ていた。


「....ああ。おはよう」


 こいつ何でこんなに話しかけれるんだ?

 ...やめだ。無駄に考えないでおこう。


「てか、俺ら同じクラスなんだな!何で昨日言ってくれなかったんだよ」


 いや、俺も初耳なんだけど。そもそも昨日は原稿で頭がいっぱいだったから誰が居たとか覚えてない。


「いや、俺も知らなかった..」

「そっか。じゃあ仕方ないか」


 仕方ないのか?まぁいいか。


 すると...


「せーんぱい!!!!」


 後ろから背中に飛び乗っかて来たのは彩だった。


「おはようございます。賢人先輩」

「ああ。...おはよう」

「どうしたんですか?目が死んでますよ」

「...気のせいだ」


 双葉が居るのに小説書いてるなんて言えないしな。


「そうですか。それより今日のお昼空いてます?空いてますよね。それじゃあ教室で待っててくださいね。それじゃあ~」


 言いたい事だけ言い、彩は校舎の方へ向かっていった。


 いや、俺の意見聞かないのかよ。


「あれって昨日の子だよな?」

「ああ」

「もしかして彼女か?」

「一応、そうなる」

「どういう事だ?」

「まぁ、色々とな」

「そうか。じゃあ俺達も急ごうぜ」

「そ、そうだな」


 重い足取りで俺は校舎へと向かった。


 -昼休み-


 小テストの点数はギリギリで合格する事が出来た。直前に基準より下だったら補習とか言われたら頑張るしかない。


 さてと、彩ちゃんには教室にいろって言われたし。ここ待ってればくるのか?


「先輩~、行きましょ!」


 廊下には彩ちゃんの姿が。

 俺は財布を持ち、廊下へ出た。


「さぁ、行きましょう」


 腕を掴み、廊下を歩く彩ちゃん。


「ちょ、ちょっと待ってくれない?」

「どうしたんですか?」

「購買で昼飯を買おうかなって」

「ああ。それでしたら必要ないですよ」

「どうして?」

「だって、私先輩の分作ってきましたし」

「へ、へー」


 料理出来るんだ。


「こっちですよ、先輩」

「ここで食うのか?」

「そうですけど、何か?」

「いや、ちょっと寒くないか?」


 連れてこられた場所は校舎とグランドの間にある休憩所?らしき所だ。


「それなら、こうやってくっつけば暖かいですよ」

「それだと、食いにくくないか?」

「...先輩。ここはちょっと動揺する場面ですよ」

「そうか?」

「だから、心理描写下手なんですよ」

「そ、それ関係あるか?」

「ありますよ」

「む....。それより早く食わないか?」

「そうですね。下手なのはいつもですしね」


 おい、一言余計だぞ。


「はい、先輩の分ですよ」


 渡された弁当箱は花柄の物だった。

 まぁ、特にそういうのは気にしないけど。


 蓋を開けると、綺麗におかずたちが入っていた。


「そ、それじゃあ、いただきます」


 まずは卵焼きを。

 お!だし巻きか。緩くなく固くもなく。丁度良い柔らかさで、だしの味もそれ程しつこくない。

 めっちゃ好みな味だ!


「どうです先輩?」

「めっちゃ旨い!」

「それは良かったです!どんどん食べてくださいね」

「ああ」


 俺は次々に弁当の物を口の中へ運んだ。


 旨い。旨い。旨い!


 弁当はあっという間に空っぽになってしまった。


「ふぅー。ご馳走さまでした」

「先輩、デザートです」


 出てきたのは一口サイズにカットされた林檎だった。


「それじゃあ、先輩。あーんです」

「あーん。ん、旨いな」

「........」

「どうした?」

「何でもないです!!」


 どうしてこうも先輩は平気でそういう事をするんですか。

 少しぐらいは恥ずかしがってもいいはずなのに。これじゃあ私だけが恥ずかしいじゃないですか。


「先輩!....全く、こんな所で寝ちゃうなんて」


 気がつけば先輩は私の肩で寝ていた。


「まだまだ課題が山積みですね。


 でも、今日はこれで許してあげますよ。


 カシャ。


「ふふっ」


 少し肌寒い風が火照った体を冷やしっていった。


 ■■■

「...んー。いつの間にか寝てたのか」


 起きるとそこには彩の姿はなく、ちらほら部活をしている生徒が見受けられる。


 部活.....


 俺は慌てて携帯を見た。

 時刻は午後3時を過ぎていた。


「授業、サボってしまった....」


 その後しっかりと先生、親に叱られたのは言うまでもない。

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