第201話
霧深い街道を抜けた先にあったのは、中世時代の古都だった。シュタイファードと呼ばれるこの街は、三貴族のうちの一つであるカルンスタイン家の領都だ。古くからの建築様式で造られた赤いレンガの家屋が多く並んでおり、突飛な派手さはないものの、見る者の気を引き締める荘厳な雰囲気が街全体から放たれていた。街の中央にはひと際大きな建物があり、恐らくはあれこそが、当主カーミラ・カルンスタインの居城なのだろう。
時刻は午前五時を回ったところで、そろそろ朝日が顔を出す頃だ。普通の国であればそれに合わせて人々の活気が徐々に栄えるのだが、この国ではその逆で、日の出の時刻が迫るにつれて人通りが減っているように見えた。吸血鬼たちの活動に合わせて、人間や亜人たちも日中は活動を抑えているのだろうとシオンたちは予想した。
シオンたちは街の西側に位置する区画で手頃そうなホテルを見つけ、今日のところはひとまずそこに宿泊することにした。近代化の進んだ高層建築ではない、これまた古めかしい造りのホテルだった。二階建てで部屋数もそれほど多くはなく、従業員もライカンスロープの夫婦が二人だけだった。
その夫婦はシオンたちを見て少し驚いた様子を見せてきた。訊くところによると、宿泊するのはいつも別の街から仕事で来る決まった常連客ばかりなので、このように一見さんが来ることは非常に珍しいとのことだった。
夫婦は最初の方こそそうして戸惑っていたものの――珍客ゆえの物珍しさからか、次第に色々な話を切り出すようになり、すぐに打ち解け合うことができた。
そして今は、シオンとエレオノーラ、リリアンとヴィンセントの組み合わせでそれぞれ部屋を借り、一息つこうとしていたところである。
「はぁー……」
荷物を床に下ろしたエレオノーラが、倒れるように仰向けにベッドの上で寝ころんだ。
「やけに疲れているな? どうした?」
コートを壁のフックにかけたシオンが訊いた。
エレオノーラは若干頬を赤らめながら、難しい顔になる。
「どうした、って……」
車の中で話したことが、エレオノーラの頭の中で再生される。
就寝、入浴、排泄――この国にいる間は、これらすべての時をシオンと一緒に過ごさなければならないということに、いたたまれなさを感じずにはいられなかった。
「何でもない。変な汗かいたから、アタシ先にシャワー浴び――」
言いかけて、エレオノーラは固まる。これからどうシオンと接すればいいかを悩んでいた矢先に、自分から地雷を踏み抜きに行ってしまった。
エレオノーラは顔を真っ赤にしてベッドから起き上がる。
「あ、あの――」
「そういうことなら、あと一時間待ってくれないか?」
「……え?」
シオンは部屋のカーテンを開け、空模様を伺いながら言った。
「さっき部屋に入る前、リリアンと少し話した。太陽が出ている間なら、さすがに吸血鬼たちも大人しくしているんじゃないかって。日中の時間帯なら、風呂もトイレも一人で入って大丈夫だろう。今は朝の五時過ぎ、あと一時間もすれば完全に日が出る。霧も晴れてきたし、今日は強い日差しになりそうだ」
「ああ、そういうこと。じゃあ……」
緊張の糸が解れ、エレオノーラは心臓の鼓動を落ち着かせた。ホッと息を吐き、それならよかったと――納得しかけたが、すぐに両目をカッと見開いた。
――“このチャンス”をみすみす逃していいものか?
エレオノーラの頭の中に、そんな言葉が強く響いたのだ。
千載一遇の好機が失われるのを直前にして、彼女の胸中に覚悟が出来上がった。
「――いや、やっぱり今入る」
意を決した表情ではっきりと言ったエレオノーラに、シオンは驚きの表情で振り返る。
「あと少し我慢できないのか?」
「で、できない」
「俺と一緒に入ることになるんだぞ?」
「だ、だから、トイレ以外は大丈夫だってさっき車の中でも言ったじゃん」
シオンがエレオノーラのことをどう思っているかはわからない。しかし、エレオノーラ自身が自らの恋心を自覚した以上、お互いの心の距離を一気に縮めることができるこのイベントを前に、引き下がるわけにはいかなかったのだ。
いつも落ち着いていて何を考えているかわからない男だが、さすがに女の裸を間近で長時間見て何も感じないということはないだろう。そうすれば、さすがに何かしらの意識を自分に持つのではと、エレオノーラは期待しているのだ。
「風呂くらい一人でゆっくり入りたいだろ?」
「あ、アンタは何なのさ! アンタが先にオッケーって言ったくせに!」
どうにかして一緒に入浴する方向に持っていこうとするが、気が動転してしまい、無駄に喧嘩腰になってしまう。
そんなエレオノーラを、シオンは怪訝かつ不安そうに見遣っていた。
「一緒に入らなくて済むなら、敢えてそんな無理をすることもないだろ」
「む、無理なんかしてないし! それに、アタシたち夫婦としてこの国に潜入してるんでしょ! だ、だったら、それらしく見えるように振舞わなきゃ!」
「誰も見てないところで夫婦らしく振舞う意味なんかない」
淡々とベストな選択肢と正論を述べるシオンに、エレオノーラは言い淀む。
そうした沈黙の間がエレオノーラの頭を冷静にして欲望にブレーキをかけさせてしまい、彼女は自分の浅ましい下心に羞恥心を覚え、再度顔を赤くさせた。
「と、とにかく、もう体中べとべとで気持ち悪いから、アタシはさっさとすっきりしたいの!」
耐え兼ね、エレオノーラは勢いよくベッドから立ち上がった。
シオンは困惑気味に眉根を寄せていたが――ふと、何かに気付いたような顔になって窓の方を振り返る。
それから五秒の間もなく、シオンはエレオノーラをベッドに押し倒し、覆いかぶさった。
「し、シオン!? あ、あああの、アタシ、は、ははは初めてで何も経験な――」
「頭を下げてろ!」
直後、部屋の窓ガラスが轟音と共に派手に砕け散った。
今の衝撃は恐らく爆発物によるものだ。この部屋だけではなく、他の部屋――街の他の場所でも、同じような轟音が連続して鳴り響いた。
シオンはガラスの破片を払いながらエレオノーラから離れると、割れた窓へ駆け寄った。
「なんだ?」
彼に続き、エレオノーラも外の様子を伺う。やがて聞こえてきたのは、幾つもの銃声だった。
「銃撃?」
「シオン、あれ見て!」
街の広めの道路で、何かしらの二つの勢力が向かい合って対峙していた。その間を飛び交うのは火線の閃光だ。
一方は制服と小銃で武装した街の警察組織のようだが、もう一方はその見た目だけでは何の勢力かは判別できなかった。個々人がバラバラな服装だが、いずれも銃や火炎瓶、果ては手榴弾やバズーカのような物を装備している。
「市警隊と……あともう一つは何だ?」
「テロかな?」
シオンとエレオノーラが見守っていると、警察ではない方の陣営から雄叫びのような怒号と歓声が立て続けに上がった。
「吸血鬼たちから国を取り戻せ!」
「化け物に死を!」
「神に裁かれるといい!」
よく見ると、その陣営の構成員は人間と亜人のようで、吸血鬼は一人もいないようだった。
その一方で、
「貴族の隊員は下がれ! もうすぐ夜が明けてしまう! ここからは人間と亜人の隊員だけで応戦するぞ!」
「テロリスト共が! 貴族の動きが制限される明け方を狙いやがって!」
「これより鎮圧作戦を開始する! 投降勧告に応じない者は射殺しても構わん!」
警察の方には貴族――吸血鬼たちもいるようで、敵対陣営と戦えないことを歯痒そうにしながら、一目散に続々と現場を離れていった。
「ねえ、リリアンの話だと、カルンスタイン家の領地では人間と吸血鬼は仲いいんじゃなかったっけ?」
「ああ。だが、例えそうでなかったとしても、これはもうそんなレベルの話じゃないだろ。暴動だ」
自身の置かれている状況に二人が顔を顰めていると、不意に部屋の扉が強くノックされた。
「おーい、大丈夫かぁ?」
扉越しに聞こえたのはヴィンセントの声だ。
シオンたちが応じるまでもなく、扉が蹴破られる。
「こっちも大分派手に吹き飛んだなぁ。俺らんとこも、窓ガラス全部割れちまってよぉ」
部屋に入ってきたヴィンセントが、中の散らかり具合を見てうんざりしながらそう言った。
その後、ヴィンセントはシオンとエレオノーラを手招きして部屋の外へと誘導した。廊下にはリリアンもいた。
「とにかく避難した方がいいな。ここは騒動の場所に近すぎる。あれに巻き込まれるのは――」
「そこの人たち!」
シオンが避難を提案した直後、廊下の奥から若い男の声がかけられた。
一階へ続く階段のすぐ近くに立っていたのは、声の通りの青年だった。黒髪黒瞳、インテリな眼鏡をかけた、優しそうな青年だった。
「ここは危険です! こちらに避難してください!」
青年は声を張り上げてシオンたちに避難を促す。
シオンたちは一瞬顔を見合わせたあと、急いで青年のいる場所へと駆け出した。
「貴方は?」
「この街で薬師を営んでいる者です。それより、早くこちらへ!」
合流して早々、青年は先頭を走り、階段を駆け下りていった。
シオンたちもその後を追う。
「どこへ向かっている?」
「ホテルの地下室です。そこに僕の病院で間借りしている薬品庫があります。あそこならこの騒ぎをやり過ごせるはずです」
一階へ辿り着いた直後、ホテルの玄関が爆発で吹き飛んだ。黒煙が立ち込め、咽返るような異臭と熱気が充満する。
「うひゃあ、凄いねぇ。お気を付けくださいませ、お嬢様ぁ」
「わかっています」
ヴィンセントとリリアンが、執事とお嬢様というロールをこなしながら、冗談めかしく言い合う。
さらに階段を下りて地下の廊下へ行くと、すでにそこにはホテルのオーナー夫妻もいた。不安げな面持ちで立ち尽くしていたが、青年とシオンたちを見つけると、安堵した顔になる。
「僕たちはお借りしている薬品庫の方へ避難します。お二人もどうか食糧庫の方へ」
青年に言われ、夫婦は頷いたあとに頑丈そうな扉の奥へと避難していった。
それに倣い、青年も対面にあったもうひとつの扉を開ける。
「さあ、こちらへ」
シオンたちが中に入ると、青年も後に続いて勢いよく扉を閉めた。
青年は鍵を閉めた後で、壁際のスイッチを雑に点けていく。
「うわ、すごっ」
そうして照明が明かしたのは、図書館の一角ほどもある広大な空間と、そこに並べられた天井までの高さを持つ無数の棚、そして、そこに敷き詰められた薬品類だった。
「あ、部屋にある物には触れないでください。危険な薬物があったりするので」
エレオノーラが興味深そうに薬瓶の一つを手に取っていたのを青年が止めた。エレオノーラは悪戯がバレた子供のような所作で薬瓶を戻し、姿勢を正した。
「申し遅れました。僕はローランド・デクスターって言います。この街で薬師をやっています」
先ほどまでの張り詰めた表情から一変し、青年――ローランドは穏やかな顔と口調で自己紹介をしてきた。
シオンたち四人は視線だけの会話を一瞬の間で交わしたあと――
「シモン・グリフィスだ。こっちは妻のエリーザ」
「つ、妻です! 大陸横断の新婚旅行中です!」
潜入用の偽名を使って、名乗った。
シオンはシモン、エレオノーラはエリーザ、そして二人の姓は夫婦同姓のグリフィスという偽名だ。
次にリリアンとヴィンセントが、
「リオネラ・オルフィーノと申します。リオネラとお呼びください。こちらは執事のヴィクター。グリフィス夫妻とは遠い親戚の関係になります」
それらしい優雅な所作で自己紹介をした。リリアンはリオネラ、ヴィンセントはヴィクターとこの国では名乗ることにしている。
「執事って……もしかして、いいところのお嬢様ですか?」
ローランドが驚きながら訊いてきたが、リリアンはやんわりと首を横に振った。
「そのような大層なものではございません。父がアウソニアでちょっとした事業を営んでいるだけです。それよりも、外ではいったい何が起きているのでしょうか?」
「ああ、やはりこの国のヒトではなかったんですね。しかもよりにもよって、聖王教の総本山がある国からとは」
ローランドが、知ってはいけないことを知ってしまったような顔になって声を暗くした。このダキア公国では宗教が禁止されているうえ、特定の宗教に入信している者の入国を許していない。国民からしてみれば、大陸最大の宗教である聖王教の総本山がある国から来たと者とあっては、極力接触を避けたい存在なのだろう。
「わたくしたちは聖王教に入信していませんので、どうかご安心ください。そうでなければ、この国に旅行をしてみようなんて思いませんから」
ローランドの心中を察したリリアンが、彼の不安を払拭するための言葉を添えた。
しかし、ローランドは、先ほどとはまた別の意味が込められた、微妙な面持ちになる。
「旅行、ですか。これまたよりにもよってこのタイミングで、という感じですね」
がっくりと項垂れるように溜め息を吐くローランドに、シオンが首を傾げた。
「どういう意味だ?」
「見ての通りですよ。国内の至る所で一般階級の市民が暴徒化し、さっきのようなテロが日常的に起きている状況なんです」
「どうしてそんなことに?」
「貴族の凶悪犯罪が増えてしまったことが発端だと言われています。今日のあれも、先週起きた少女の惨殺事件に対する不満が爆発したものでしょう。ほんの少し前まで、貴族の犯罪は非常に厳しく取り締まられていて、犯罪件数も少なかったんですが、最近は婦女暴行や殺人があっても、地域によってはろくな捜査をされることもなく、闇に葬られる事例が急増してしまっているんです」
ヴィンセントが、ほーん、と間抜けな声を意外そうに上げた。
「吸け――貴族がやりたい放題なその状況に、何か原因でもあるんですかねぇ?」
「あまり貴族を悪く言いたくないんですが――ヴァーニィ家がその原因と言われています」
シオンは眉間に皺を寄せて目つきを鋭くした。
「ヴァーニィ家が何を?」
「詳しいことは僕もわからないんですが、ここ数年の間で、この国における政治的な影響力を急拡大させていると耳にしました。この国の国家元首は“伯爵”と呼ばれており、今はアルカード家のオルト・アルカード様がその地位に就かれているのですが、ヴァーニィ家の当主――ヘンリー・ヴァーニィ様が次期伯爵の座を狙っているとかで……」
「そのヘンリー・ヴァーニィが政治的な影響力を強めていることがさっき言っていたことにどう関係している?」
「ヴァーニィ家は貴族至上主義のお考えで、貴族以外のヒト――人間や亜人の事は、食料の一つとして家畜くらいにしか思っていません。そのため、ヴァーニィ家の影響下では法を無視した貴族の蛮行が横行しており、それに市民たちが反発して……」
「さっきのようなテロまがいの暴動が起きるようになったのか」
認めたくない事実に口籠るローランドに代わってシオンが言った。
「ここはカルンスタイン家の領地だと認識しております。ヴァーニィ家が暴徒化の原因だとすると、この地で騒ぎが起きるのはいささか疑問です。ヴァーニィ家の影響力はすでにカルンスタイン家にまで及んでいるのでしょうか?」
リリアンの質問に、ローランドは渋い顔で呻った。
「まだ直接的な影響は受けていません。一般市民と貴族の関係も基本的には良好です。ですが、カルンスタイン家の当主――カーミラ様が、近々ヘンリー・ヴァーニィ様とご結婚されるのではという噂が流れているんです」
「カルンスタイン家は人間や亜人を非常に大切にすると伺っております。人間や亜人を家畜化しようとするヴァーニィ家とはそりが合わないのでは?」
「そこは、僕には何とも……。ただ、暴動がこの街で起きている原因は間違いなくその噂のせいです。ヴァーニィ家に対する反発的な感情が高まっている中で、カルンスタイン家に結婚の話が持ち掛けられているとなれば、市民は内心穏やかではいられないでしょう」
なるほど、とリリアンを始めとした面々は顔を見合わせながら納得した。
その傍らで――
「僕も、カーミラ様がお優しいヒトだということは充分にわかっているので、正直、にわかに信じられないです……」
ローランドが、ぽつりとそんなことを小声で漏らした。
その声色に込められていたのは失望と落胆、そして、憧れに似た感情だった。
それに気付いたシオンたちが不思議そうにローランドを見遣っていると、
「静かになりましたね。ちょっと上の様子を見てくるので、もう少しここで待ってください。安全だったら外へ出ましょう」
ふと、悪くなった空気を入れ替えるようにローランドがそう言った。そのまま扉を開け、部屋の外へと出ていってしまう。
部屋の中に残ったのがシオンたち四人だけになったところで、ヴィンセントが残りの三人に苦笑しながら向き直った。
「今の話、うちらの姫と関係あるんかね?」
「わかりません。しかし気になるのは、ヴァーニィ家が政治的な影響力を強めているという点です」
リリアンの見解に、シオンが頷いた。
「ああ。こういった国内の一派閥が急速に力をつけ始める時によくあるのは、外部の強い勢力から援助を受けているというケースだ。もしかすると――」
「教会が関係しているかもしれない、ってこと?」
エレオノーラが訊いたが、シオンは肯定も否定もしかねるといった、何とも言えない顔つきになった。
「だがそれも、今のところまったく根拠のない話だ。教会がヴァーニィ家の後援だったとして、そもそもこの国の人間や亜人を家畜化することに、何のメリットがあるのかわからない」
「こうは考えられないでしょうか?」
悩むシオンにリリアンが向き直る。
「残虐非道な吸血鬼の支配に耐え兼ねた人間や亜人は、外へ救いを求めるようになるはずです。吸血鬼からの解放を理由に、教会がこの国を攻め落とす――聖王教の勢力拡大を狙った計画という線です」
「だとして、それこそ教会に何の得があんだぁ?」
「ヴィンセント様の仰る通り、わたくしもまだそこが引っかかっております」
騎士たちの推理を聞いていたエレオノーラが、シオンの顔を覗き込む。
「シオンはどう思う? この件、教会が関係していると思う?」
「わからない。だが、無関係と見切りを付けることも今はできそうにない」
ヴィンセントが肩を竦めた。
「んじゃ、こっからどうする?」
「カーミラ・カルンスタインに話を聞くのはどうだ?」
唐突な案だったが、リリアンはすぐに頷いた。
「わたくしも賛成いたします」
「え、何で?」
エレオノーラが首を傾げて、シオンが口を動かす。
「カーミラ・カルンスタインが貴族以外にも友好的というのは、さっきのローランド・デクスターとかいう男の反応を見てわかった。俺たちが外の人間だと知ればあちらも警戒するだろうが、それを逆手にとって面会にこじつけられないだろうか」
「会ってこの国の世情を詳しく訊こうって魂胆かぁ? 会えたところで見ず知らずの旅人に国内事情のデリケートな部分を話してくれるかねぇ」
「さあな。だが、話を聞いて何の情報も得られないということもないはずだ」
そのシオンの見立てに、他の三人も同意した。
「では、カーミラ・カルンスタインへ会う方法をデクスター氏から聞き出しましょう。じきにまたここへ戻ってこられるはずです」
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