幕間 それはそれとして

第168話

 時刻は、早めの朝食を食べ終えた午前七時頃――シオンたち五人は、ステラの部屋に集まっていた。そこは宿泊中のホテルの中でも最高級とされるスイートルームで、この町に滞在している間はステラの療養部屋としていた。しかし、ホテルの規模に反して無駄に広い間取りと多くの部屋数を持っているため、五人で話し合いがある時は、このようにこの部屋のリビングを即席の会議室として扱っているのである。

 そして今、五人はかつてない問題に直面していた。


「……お前、俺がいない間も勉強していたんじゃないのか?」


 そう言ってシオンがステラに困惑の眼差しを送った。

 ステラは視線を外しながら、どこかバツが悪そうに愛想笑いをする。


「そ、そのつもりなんですが……」


 シオンの手に握られているのは四枚の縦長の紙だった。それらは、語学、数学、社会、理科の問題が三十問ほど書かれたテスト用紙であった。解答欄もすでに埋められている。解答欄を埋めたのは、無論ステラだ。

 しかし、


「どの教科も正答率は三割ほどですね……」


 シオンの横から解答を覗き込んでいたプリシラが、ぼそりと言った。


「ふおおおぉぉぉ……!」


 直後、ステラが妙な奇声を上げながらソファの上に横たわり、身体をくねらせながら悶える。

 そんな奇妙な生き物は放っておいて、シオンはプリシラに厳しい視線を向ける。


「プリシラ、俺がいない間、ステラの勉強はお前が見ていたんだよな?」

「は、はい。そこは抜かりなく。たまにユリウスにも手伝ってもらいましたが」


 刃物の切っ先のような視線が、今度はユリウスに向けられた。


「ユリウス、お前はステラに何を教えていた?」


 ユリウスはもう一つのソファの上に足を組みながら座っていた。シオンに訊かれ、面倒くさそうに明後日の方を見る。


「数学」

「ちゃんと教えたのか?」

「ふむふむ、はいはい、わかりました――こう答えてたから理解したもんだと思っていた」

「こいつの“わかりました”は信じるなって前に言っただろ。お前、手を抜いていたな」


 シオンの苦言に、ユリウスは、はー、と長い溜め息を吐いた。

 不意に、今度はエレオノーラがシオンの横からずいっとテスト用紙を覗いてきた。瞬間、彼女は、うげっ、と声を漏らして酷く顔を顰める。


「ちょっとステラ、アンタ、化学式どころか元素記号すらまともに覚えてないじゃん。なんでCが銅なのさ」


 ステラがソファから顔を上げる。


「え……だって、copperだから……」

「Cは炭素。銅はCu」

「なんでcopperなのにCuなんですか! おかしいじゃないですか!」


 納得がいかないとステラが喚くように声を張り上げる。

 エレオノーラは心底嘆かわしそうに鼻を鳴らした。


「Cuは古代語から」

「こ、古代語……?」


 生まれて初めて聞いた言葉なのか、ステラは眉の間に深い皺を作りながら固まった。

 すかさずプリシラがフォローに入ろうとするが、


「ステラ様、それは以前私がお話しした言語の歴史に関わるところで――」

「待て、待て。話したいことからどんどん脱線してきている。ここで止める」


 シオンが止めた。彼の話したいことは、問題一つひとつに対しての誤答の理由などではなかった。


「とにかく、この教養レベルで大国のトップを相手に外交するのはさすがに危機感を覚える。せめて同じ年代の子供が身に付ける程度の知識はマスターさせたい」


 ユリウスが訝しげな顔をする。


「そんなことやって意味あんのか?」

「ある。外交は舐められたら終わりだ。ログレス王国の学力は大陸内でもかなり高い水準にある。なのに、その国の王女の教養が同年代の平均にも満たしていないとなれば、大恥もいいところだ」

「んなこと相手もいちいち気にしねえだろ、さすがに……」


 やれやれとユリウスが軽く首を横に振るが、シオンはいたって真面目な顔だった

 シオンはテスト用紙をテーブルの上に置き、ステラを見遣った。


「とにかく、外交の日まで徹底的にステラの頭の中に必要最低限の知識を叩き込む」

「た、叩き込むというのは……?」

「教科ごとに講師を一人つけてマンツーマンで集中的に勉強を教える」

「講師って、雇うんですか?」


 胡乱げに首を傾げるステラ――それに対して、シオンは首を横に振った。


「そんなことしないでもいるだろ、ここにちょうど四人」


 そして、ステラを除いた他三人に視線を送る。


「語学はプリシラ、数学はユリウス、社会は俺、理科はエレオノーラだ」


 突然の発表に、シオン以外の全員が目を丸くさせた。


「……マジで?」







一限目 社会

講師 シオン


「俺が教えるのは歴史だ。外交前に、グリンシュタット共和国の成り立ちと、ログレス王国との歴史的な関わりを完全に覚えてもらう。いいな?」


 スイートルームの一室に巨大な黒板を持ち込むことで、ダイニングルームは授業室へと早変わりした。ちなみに黒板はプリシラがシオンの指示でどこからか調達してきたものだ。

 エレオノーラ、ユリウス、プリシラの三人が心配そうに入口付近で見守りながら、シオンとステラによるマンツーマンの授業が始まった。


「は、はい!」


 背筋を伸ばしたステラから元気のいい声が返った。

 それを合図に、シオンが黒板にチョークを走らせる。


「まず、そもそも歴史を学ぶ意味についてだ」

「はい!」

「一般的には過去の出来事を学ぶことで将来同じ過ちを繰り返さないためと言われているが、今回に限ってはそんな悠長な話が目的じゃない」

「はい!」

「グリンシュタットも歴史ある国だ。今の国家体制に至るまで何千、何百年という長い時を経てきた」

「はい」


 シオンが口頭での説明と共に図と文字を黒板に書き記していく。

 授業の始めこそそれに反応するステラの反応は良かったものの、徐々に鈍くなっていった。


「もとは小さな農村から始まり、それから周辺の村や町と数えきれないほどの抗争を繰り返し、併合と合併を――」

「はい……」


 やがてステラは船を漕ぎ始める。

 扉の外から中の様子を伺っていたエレオノーラたちが、半目になりながら前後に揺れるステラを見て、焦った声を漏らす。


「だからこの辺の歴史的な経緯を知っておかないと、ログレス王国から見た一方的な認識で不用意な発言をした瞬間、グリンシュタット人の機嫌を――」

「はい……」


 シオンはステラにまだ気付かず、黒板に向かってさらに図と文字を書き込んでいく。

 ステラの返事はもはや上の空の状態で、シオンの説明のどの部分に反応しているのかすらわからなかった。


「国と国の間にどんな条約や同盟が結ばれ、どういった背景があるのか――また、今もなおどうして友好国として――」

「は……い……」


 ステラの返事の声量がついにチョークの音にも負ける。

 シオンが振り返った。


「はい、はい……」


 ステラは壊れたラジオのように一人で空返事を繰り返していた。

 そんなステラの前に、シオンが無言で立つ。

 それから三分ほどその状態が続いた。傍から見れば、居眠りをする少女の前に、無表情の美青年が仁王立ちでいる異様な光景でしかなかった。

 そして、その異様な静けさに、ステラがようやく気付いて目を覚ます。自身に落ちる影にはっとして、恐る恐る顔を上げた。


「俺の話はそんなに退屈か?」


 シオンの赤い瞳が、圧をかけるようにステラを見下していた。


「ぴぃ!?」


 戦いの最中でも見せることのない不気味な迫力を携えたシオンを目の当たりにし、ステラは小動物のような悲鳴を上げた。


「俺が言ったこと、ちゃんと理解するまで授業終わらせないからな」


 シオンはそれだけ言い残して大人しく黒板の方へ踵を返したが、怒っていることは誰の目から見ても明らかであった。

 戦いの時とはまた違ったシオンの異質な怒りを目の当たりにし、ステラは恐怖に体を震わせ涙目になった。


「ふおおおぉぉぉ……!」







二限目 理科

講師 エレオノーラ


「とりあえず周期表に書いてある元素記号は全部暗記。それ覚えたら次は物理公式の暗記」


 シオンの社会科の授業がどうにか終わり、エレオノーラの理科の授業が始まった。しかし、社会科の授業は午前八時に始まったというのに、すでに時刻は午前十一時を回っている。

 病み上がりとはいえ、さすがにステラも空腹を感じずにはいられず、活力を奪われていた。だがシオンの目がある以上、だらしない姿を見せるわけにはいかない。

 ステラは、自身を無理やり奮い立たせるように、背筋を伸ばして手を挙げた。


「先生! 私、実験がしたいです!」

「面倒くさいから却下」

「そんな……!」


 しかしいきなりエレオノーラに出鼻を挫かれ、ステラが意気消沈する。テーブルに突っ伏したステラを見て、エレオノーラは溜め息を吐いた。


「とにかく、アンタは知識がなさすぎる。勉強さぼってたツケだと思って、ちゃんとやんな」


 ステラがむくりと上体を起こした。


「あの、今更元素記号覚えたところで、外交の時に何か役立つんですか?」

「知らない。アタシだってシオンに頼まれてやってるだけだし」

「じゃあここはひとつ、理科の授業はパスということで……」

「駄目。そんなことしたらアタシがシオンに怒られる」

「そんな……!」

「いいから! ほら、まずはさっさと周期表に書いてある元素記号全部覚える」


 そう言ってエレオノーラがお手製の周期表をステラの眼前に広げた。

 ステラは、あわわ、と声を震わせ、エレオノーラに嘆願の眼差しを向けた。


「や、やっぱりこんなこと外交で使いませんって! やめましょうよ!」

「じゃあ、もし相手の偉い人がこんなこと言ってきたらどうする?」


 突然、エレオノーラがそんな風に切り出してきた。

 ステラは困惑に数秒沈黙したあと、徐に首を傾げる。


「こ、こんなこと……?」

「例えば、いきなりステラに『王都奪還の手伝いをする代わりに炭素、水素、窒素、酸素の輸出量を三対五対三対九で増やしてください』とか言われたら、アンタどうすんの?」


 ステラの顔がさらに顰められた。


「……は?」

「はい、ここで化学に強い人は気付きます。『あ、ニトログリセリンだ。こいつら、爆薬の原料を大量に輸入して何か良からぬことやろうとしているな』って。もしくは、『狭心症の治療薬が不足しているんだろうか。よし、じゃあ足元見て金を搾るだけ搾り取ってやる』って感じで交渉を有利に進めることができる」

「いやそんなこと絶対あり得ないでしょう! そもそも何で化学式の原子の割合がそのまま輸出量の割合になるんですか!」


 あまりにも突拍子もない話に、ステラは思わず声を張り上げた。

 エレオノーラがやれやれと嘆かわしそうに首を横に振る。


「例えばの話。相手が小娘のアンタを揶揄ってそんな馬鹿げたことを言ってくるとも限らないでしょう? 少なくとも元素記号や化学式は嘘つかないんだから、アホみたいなことで騙されないためにもしっかりやんな」

「その発想がもはやアホみたいなんですが……」


 ぼそっと抗議したステラだが、エレオノーラの耳にはばっちり入っていたようで、


「なに、何か文句あんの? アタシがアホだって?」


 エレオノーラは額に小さな青筋を浮かべていた。


「い、いえ、そんなことは……」


 エレオノーラは自分が著名な教会魔術師であることを自覚しているため、妙なところでプライドが高い。ステラはそれを思い出し、すぐに引くことにした。

 だが――


「何かムカつく。さっき言った元素記号と物理公式覚えたら、ここに書いてある有機化合物の化学式全部覚えて」


 エレオノーラの怒りを鎮めることはできなかったようで、突然、ステラの目の前に分厚い資料がドンと置かれた。


「ぴぃ!?」


 シオンの授業の時と同じく、またもやステラの口から小動物の悲鳴のような声が漏れる。


「覚えるまでお昼ご飯抜き」


 ステラは涙目になりながら体を震わせた。


「ふおおおぉぉぉ……!」







三限目 数学

講師 ユリウス


「めんどくせ」


 昼休みを終え、ユリウスの数学の授業が始まった。昼休みといっても、エレオノーラの理科の授業が終わったのは午後四時を過ぎた頃だった。結局、ステラがエレオノーラに泣きつく形で理科の授業は終わることができた。


「ですよね。じゃあこの時間は自習ということで……」


 いかにもやる気のないユリウスだったが、ステラの目にはそれが救いに見えた。微かな期待を胸にユリウスへ媚びるような視線を向けるが、


「シオンに目を付けられてる。あいつにうだうだ言われる方が面倒くせえ。真面目にやるぞ」

「……はい」


 一蹴され、しゅんとなって黙った。

 早速ブルーになっているステラだったが、それには構わず、ユリウスは問題集を片手に手早く黒板にx軸、y軸を書き、さらに二次関数の曲線を描く。


「とりあえず前の復習な。数学は過去問解きまくってりゃあ大体何とかなる。っつーかそれがセオリーだ」

「はあ」

「ちょっと前にやったこの二次関数の問題、もっかいやるぞ」


 ユリウスはそう言って、過去に一度ステラに教えた問題を再度教えた。

 それから、約三十分かけて問題の半分がユリウスによって解説された。ここまでは、ステラも難なく理解できた。


「じゃあ次だ。放物線の係数aが次の範囲を取る時――」

「ちょっと待ってください」

「なんだよ」


 これまで大人しく授業を受けていたステラが突然声を上げ、ユリウスが怪訝に眉を顰めた。


「何で係数aは次の範囲を取るんですか?」

「知るかよ。そういう問題ってだけだ」

「じゃあ、係数aが次の範囲を取らなければ、問題すら起きないってことですよね?」


 ステラの質問に、ユリウスは額に青筋を浮かべた。


「お前、今自分が凄い天才みたいなこと言ったつもりかもしれねえけど、教える側からしたらただのくそめんどくせえガキの屁理屈だからな?」

「屁理屈も理屈です」

「屁理屈を引き合いにするような奴に相手がまともに取り合うと思ったら大間違いだ。物事に対して斜めに構えたところで直面する問題が何か解決すんのか?」

「ぐう……!」


 淡々とユリウスに諭され、ステラが最後の抵抗とばかりに“ぐう”とだけ唸った。


「まずは相手の問いに誠意を持ってちゃんと答えろ。命題に対して、何故それが成り立つのかを認識の相違なくちゃんと伝えるのが証明だ」

「ぬう……」

「証明は物事を論理的に説明しなけりゃならねえ。そのためには数字と事実が必要不可欠だ」

「ぬう……!」

「……お前、俺の言っていること理解してるか?」

「んぬううう……!」


 酷い頭痛を起こしたような顔で唸るステラに、ユリウスが若干引き気味で問いかけた。それきり特に返答はなかったが、ユリウスは授業を進めた。


「じゃあ、早速この問題解いてみろ」

「わかりません!」


 ステラは正直に答えた。だが、あまりの諦めの早さに、ユリウスも心を穏やかにしていられなかったようで、


「……てめぇには緊張感と危機感が足りねえみたいだな。問題の難易度上げてやる」


 そんな不穏なことを言いながら、黒板のグラフ図にチョークで何かを追記した。


「ぴぃ!?」


 先の二つの授業に引き続き、またもステラの口から小動物のような声が漏れた。


「二次関数上に点pと点qを追加する。この二つの点を結ぶ一次関数の傾きをrとする時――」


 ユリウスが話し出したのは、ステラが今までに聞いたことのない問題だった。

 ステラは、頭の神経が焼き切れそうな思いになりながら、涙目になってユリウスの説明を聞いた。


「ふおおおぉぉぉ……!」







四限目 語学

講師 プリシラ



「随分、お疲れですね」


 数学の授業が終わった頃には、時刻は午後九時を過ぎていた。

 最後の授業である語学の講師のプリシラが、ステラに気遣わしげな言葉をかけた。

 ステラはテーブルに上半身を預けたまま、身体をぴくりとも動かさなかった。頭からは微かな湯気を放っている。


「三人とも鬼です……」


 恨み言のように言ったステラを見て、プリシラは小さく笑った。


「シオン様に限っての話ですが、それだけステラ様の事を心配しているということですよ」

「はあ……」


 果たして本当にそうだろうか、病み上がりの人間にここまで厳しく接するのは常識的に考えておかしいのではないだろうか――といった疑問がステラの頭の中で目まぐるしく回る。

 そうやってうんざりしていると、プリシラが優しく微笑みかけてくれた。


「では今日の授業は語学で締めましょう。もう一息です」


 それから一時間ほどかけて授業が進められたが、驚くほどに順調だった。

 プリシラは、基本的にシオン以外の人間には人当たりが悪く冷たい性格だ。だが、ステラに対しては、大国の王族ということもあってか、かなりの敬意を持って接してくれる。

 これ幸いに、授業の方も他の三人と比べると――いや、比べるまでもなく、プリシラは優しかった。

 ゆえにステラも、安心して授業に臨むことができ、教えられたこともすんなりと理解することができた。


「――という感じで、医学や政治で用いられる用語にはグリンシュタットの言葉が――って、どうされました?」


 理解は進んだものの、それゆえに新しい疑問も生まれてしまう。

 ここにきて、ステラは今日初めて受講生らしい振る舞いができていた。


「何というか、語学って、ただ単語や文法だけを勉強しても中々身に付けられないなと思って。その国の歴史や文化、生活を知らないと、コミュニケーションのツールとして言語を使うのは難しそうだなと思いました。なんで海外留学とかが必要とされるのか、何となくわかった気がします」

「その通りです!」


 突然、プリシラが声を張り上げた。あまりの脈絡のなさにステラが怯むが、プリシラは構わず目を輝かせる。


「語学とはただ単純に単語や文法を学べばよいというものではありません。そもそも言語とは、相手との意思疎通を図るための高度なツールなのです。ゆえに言葉ひとつとってもそこには長い歴史と文化があり、語学と歴史は切っても切り離せない関係にあるのです」

「は、はい……」

「そう、例えるなら、今まさにステラ様に語学を教える私と、歴史を教えるシオン様のように!」

「……それは、全然意味わからないです」


 いきなり意味不明なことを言い出したプリシラに、ステラがげんなりとする。

 しかし、プリシラは止まらなかった。


「もしやシオン様は、暗にその関係を示すために自らを歴史担当、私を語学担当に!?」

「多分違うと思いますが……」

「そうとわかれば!」


 暴走したプリシラが、どこからか取り出した無数の分厚い冊子をステラの眼前に並べた。


「ぴぃ!?」


 いつものように、ステラの口から小動物が顔を出す。


「これはグリンシュタットで古くから愛されている純愛をテーマにした戯曲になります! 今日はこれをすべて翻訳しつつ、作品の背景にある当時の男女の――」


 プリシラの中で何かのスイッチが入ったのか、一方的に話が進んでしまった。それまで順調だった語学の授業が、一瞬にして崩壊した瞬間である。

 ステラは頭を抱えて両目を濡らした。


「ふおおおぉぉぉ……!」

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