第32話 復讐3
「今のはんなと大差ない理由だよ。あいりが生まれたから、まどかさんと引き離されたと思った……あいりがいなくなれば、また前みたいにまどかさんに会えると思ったんだ……」
ほんとだ。大差ない。そういえば、当時の樹くんは今の私よりも若かったんだもんな。未熟者だ。
「じゃあ、どうしてまどかさんまで?」
「……亡くなったあいりを見て、まどかさんは半狂乱になった。もうまどかさんは俺のことなんかどうでもいいんだって、衝動的に……」
その代償が、15年経っても変わらない愛情か。もう二度と会うことすら絶対に叶わない。
樹くんが永遠に満たされることのない愛情と共に生きてきたのを私は15年もの間、私の人生をかけて見てきた。
なのに……あまりにも自分が愚かで死にたくなる。
私は自分のしたことを、樹くんのせいだなんて。ずっと樹くんを見てきていたのに、こんな時だけ樹くんのせいにするだなんて。
完全に衝動的だった。
私は、衝動的に歩道橋の柵から身を投げた。
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