第30話 復讐

「はんな、最っ低!!」


 パーンと派手な音がして、ほっぺたに強い痛みが走る。


 いたたまれなくて、何も言わずに教室を出た。


 あ……謝りもせずに出てきてしまった……。


 樹くんのせいかしら。犯罪者が身内にいるから、やってはいけないことをしてしまうのかしら。


 私は15歳になった。もうすぐ、中学校を卒業する。


 横断歩道の信号が赤だ。


 こんな車なんてほとんど通らない横断歩道に信号があることすらイライラする。歩道橋の階段を登る。


 階段を登りきると、向こうから樹くんが歩いて来た。


「あ、やっぱりはんなだ。え、どうしたの? ほっぺた……」

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