第21話 おめでとう3

 階段を駆け下りてくる音がする。


「どうしたの、樹?! ……はんな?」


 ママがびっくりしている。パパも来た。


「あいりが痛いんだって、樹くん」


 ママもパパも動かなくなった。あいりって、動かなくなる魔法かな?


「はんな、どうしてここに来たの?」


「はんな、のどがカラカラだったんだった」


「じゃあ、お茶飲んで寝なさい」


「はあい」


 樹くんは、両手を床に付けて泣き続けている。お誕生日なのに、かわいそう……。


「あ! 樹くん!」


 部屋を出ようとしたところで、思い出した。樹くんがこちらを向く。


「お誕生日おめでとう!!」


 言うの、忘れてた。

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