第20話 おめでとう2

「えー、なんでパーティしないの? お誕生日なのに! ケーキ食べたかった!」


「……パーティ……? そんな……祝ってもらうようなことじゃないから……」


「ケーキ〜〜」


「ケーキ……」


「ケーキ〜〜」


「……買ってあげるから、今度……」


「ほんと?! やったあ! チョコのやつがいい! お仕事してお金稼いで、絶対ケーキ買ってね」


「お仕事……」


「うん! がんばってね!」


「……分かったよ……」


 樹くんが、そっと私を抱きしめて、声が出るくらい泣いている。樹くんの腕が大きく揺れる。


 そんなに、どこが痛いんだろう? 樹くん、大丈夫かな?


「……あいり……」


「あいり? あいりって、何? あいりが痛いの?」


 樹くんが動かなくなった。


「樹くん?」


 うわあああ! と、急に大きな声を出すから、すごくびっくりした。

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