第22話 おめでとう4

 変な時間に起きちゃったせいか、深く眠らないと会えないはずの前髪生え際V字の激しいじじいが現れた。


「神!」


「神じゃよー。また大きくなって〜」


「ねえ! あいりって何? 樹くんが痛いの! 神なら治せるでしょ?」


「治したいのか? お前は」


「……え?」


 そうだ、なんで私は、樹くんの痛みを治したかったんだろう?


 私は、樹くんに復讐するために今を生きているのに。


「んー、なんか、鼻詰まってるからなんか変みたい」


「そうか、じゃあ、まずは鼻をかむことじゃな」


「神、治してよ。鼻かんでも全然スッキリしないの」


「仕方ないのー」


 翌朝起きたら、スッキリ鼻が通っていた。ありがとう、神。いい仕事だ、ほめてつかわす。

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