第77話 隙をつく

「skinシップはぁ、たnoしiわぁ♡うふふー」

 すきんしっぷだなんてとんでもない! かすっただけでも死ぬ気がする。あの羽異常。一枚一枚がリンの鉄球より重いんじゃないかってくらいの破壊力がある。そのせいで周辺の建物が瓦礫に変わっていく。被害が抑えきれない。

「めいわく、かんがえ、ろ!」

 大味な攻撃が多く隙はたっぷりある。それなのに決定打が与えられない。かといって新しい魔法は使いこなせていないから発動したら意識を失う可能性がある。そうなれば死ぬのは私だけではない。まだ、博打は打てない。

 たつなとみちるがいくら速いと言っても雫石からは数十分かかるだろう。先程からリンが小石やらガラクタで狙撃してくれているが焼け石に水、無限に湧いてくるんじゃないかって程の羽の前に撃ち負けている。もっと大量の、ホーリーブレードのような量が必要だ。

「あ・れ! 使わnaいのぉ? 柿ya敷きゅん!」

 きゅんってなんだ。というか使えるならばとっくに使っている。デメリットがでかすぎるせいで使ってないだけだ。ここでぶっ倒れてみろ、リン諸共死んでしまう。一人で死ぬなら百歩譲って良いが、まだだ。二人が来るまでは!

「おとなしく、してろ!」

「お姉さん乱暴なの嫌いだなぁー!アハハ!!」

 いくら打ち込んでも暖簾に腕押し、糠に釘。まったく手ごたえがない。

「それじゃ、お姉さん本気出しちゃおっかなー♡」

 視界が揺れる。いや、時空がゆがむ? とにかく去石の向こう側が陽炎のように揺らめいて見える。そして鼓動するかのように脈を打ち、奴の羽が砕け散り体に張り付いていく。待っている理由も無いので瓦礫を投げつけているのだが、剥がれ落ちた羽が去石の周囲を飛び回り瓦礫が次々粉砕されていく。

「waタしは、doっちdeモイイノyo☆」

 何のことかわからない。ついに頭もバグったようだ。

 しかし速い。お姉ちゃん型よりも速い。それに撫でるように見える一撃が馬鹿みたいに重い。飛んでいた羽は全て落ちたが一つ一つの動作が異常に速く重い。真正面から打ち合っては体が持たず、後退せざるを得ない。だが、不思議とその一撃一撃にこいつの喜び?というか慈しみというかわからんが感じる。

「うらぁっ!」

 だが痛いのは変わらないので振り払うように顎へ一撃入れる。だが止まらない。恍惚とした顔で迫ってくる。辛うじて致命打は避けているがこのままではこっちの体力がじり貧だ。既にリンの攻撃には興味が無いようで撃たれるままにしている。全く痛痒が見られない。

 その時、空から光の剣が降り注ぐ。去石の視線が上を向いた。

 今しかない。

「あらァ?seイ揃いネぇ!会いたかったわぁ☆」

「いを、しめせ!」

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