第60話 またまた人型
「リン!」
「まっかせるっす!!」
戦闘は2時間に及びさすがの二人にも疲れが見える。戻ってきたリンの参戦で押され気味であった二人も息を吹き返した。
火力としては二人で十分なため、現在はみちるが休息を取り、次の交代に備える。増援のリンの力は実戦に磨かれ、現在は3つまで鉄球を操ることが出来るようになった。それをいかんなく振るい、数で押し寄せる幽鬼を押し除ける。
「たつな、交代しよう!」
「了解、ちょっと休むね」
インターバルを置いて元気を取り戻したみちるが再び幽鬼を串刺しにしていく。幽鬼の出現頻度は増すばかりで一向に収束を見せない。最早数えきれない数の幽鬼を葬った彼女達だったが終わりの見えない戦闘に言葉には出さないが嫌な考えが鎌首をもたげていた。一方行からしか現れない敵がその考えを余計に強めていく。
「リンちゃん少し休んで!」
「りょーかいっす!」
入れ替わろうと向きを変えた瞬間、リンの足を何かが貫いた。
「リンちゃん!!!!」
たつなが叫び、慌てて近寄る。落ちるリンを抱きとめると目の前に光が迫る。
瞬間、甲高い音を響かせ槍の様な物は光の剣で弾かれた。
「たつな!!」
皆まで言わずともみちると相手を入れ替わり、たつなは幽鬼の群れを爆撃する。みちるは無数の剣を白く輝く翼を持つ幽鬼へ向けて操る。光の剣は先ほどよりもスピードを増して幽鬼めがけて飛ぶ。しかし、幽鬼はそれをいとも簡単に弾いた。
「この!当たれぇえ!!」
駆けてくる。明確な悪意を持って白い翼を持つそいつは空中を走る様にみちるへ近づく。光の槍で無数の光剣を弾き、みちるの首を狙う。あわや、というところでリンの鉄球が人型の腹を打って間合を崩して槍は空を切った。みちるの首にはうっすらと血が滲み、その刹那を物語る。リンに礼も言えないまま両手に持った光剣でみちるは槍を受ける。一撃一撃が途方もなく重く、剣を掴む手は一気に血まみれになっていく。だが、剣を離せば両断されてしまう。リンの援護があっても長くはもたないだろう。
その時、遠くから腹に響くような重い音が聞こえた。
『gygaaaaaaa!!!』
みちるの体が震えるほどの叫びを人型があげた。ズドンズドンと音の聞こえる方を睨み、警戒しているような表情で歯噛みする。そしてみちるを無視してそちらに飛んで行く。
「・・・たす、かった?」
状況が理解できないみちるは音の主に感謝しながらたつなとリンの応援に戻るのだった。
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