第24話 私は最低の人間だ①
「ジャーね京香」
「うん!」
あのあと加奈子たちとアニメショップに買い物に行った。体操着だったってことは驚かれたし、嘘ついて喧嘩してなったと言ったら笑われた。もしお兄ちゃんがいなかったら、私加奈子たちも傷つけてしまっていた。冷静さを失ったときまた同じことが起こるのではないかと思ってしまった。記憶がすべて戻ったわけじゃない。まだ、兄の認識があっても何をしたかとかは思えだせないし、日記に書いてあったやつのほとんどがまだ理解できていない。だけど、あの日、いやあの長かったあの時間だけは鮮明にすべて思い出した。あれは中学2年生の時、兄のせいだといろいろ言い訳をしていた時期だ。友達のいなかった、私に声をかけていた人がいたんだ。
2年前中学2年夏、あの日に事件は起こった。
いつも通り何もない日々だったが、兄と再会した時に苦労をわからせるために、毎日日記を書いた。苦痛だったこともたくさんかいた。もちろんテストは全くできなかった。そんな私に声をかけてくれた人がいた。名前は田辺涼花。私の隣に座っていた人だった。
「君っていつも1人だよね。なんでなの?」
涼花は仲のいい人がたくさんいた。それに少し天然なところがあり、デリカシーがないといえばなかった。
「あんまり人に興味ないの」
「でも、それで楽しい?」
「楽しいとかどうでもいい」
「そっか」
そのころの私は涼花のことが嫌いだった。それから涼花は毎日私に質問をしてきた。最終的に、趣味とか好きなこととか聞かれた。でも私は、日記を書くこと以外に毎日やるようなこともないから。答えれなかった。アニメもママが好きだったから逆に嫌いだった。反抗期的な奴。
「ねぇそんな時間つぶししててうれしいの?」
涼花が話してくるのは休み時間とかあまり時間のない時。昼休みになればいつもの友達と話してたし、確実に暇つぶしに利用されてるのだと思った。
「いや、だって、京香いつも1人だし。だから、私やってみたいの」
「何を?」
「学校で一番最初の友達ってやつ。ほら中学って小学校の友達とほとんど一緒でしょ。だから最初の友達にはなることって難しい。でも、半年君は1人で教室にいた。声をかけられても不愛想なふるまいしてたからみんなが避けるようになった。だったら最初の友達になれそうだなって」
「バカなの?」
「0点でも焦らない君よりは頭いいと思うよ」
涼花は純粋だった。毎日笑顔だった。だからこそ負けたと思った。私が避けようとすればするほど涼花は近づいてこようとする。こんなに頑張ってくれたからだろうな。転校してから初めての友達ができたんだ。
「え、これもできないの」
「うん」
その時は涼花に勉強を教えてもらっていた。この時は普通にバカで基本がわかってなかった。
「これはねこうするの」
頑張って教えてくれてるんだけど涼花の説明が遠回しが激しすぎて、よくわからないことが多かった。とはいえ、一生懸命に教えてくれたしなんとか理解しようとしていたら自然と頭に入っていた。
そして、私は涼花が私と仲良くしていた理由がわかってしまった。
夏休みが終わり2学期になったとき、涼花と本当に仲良くなっていた。移動教室があれば、一緒に行ったりしていた。そうしていると、たまに涼花がいなくなることに気づいた。それで、何をしてるのか気になって探しす。そうして涼花がいじめを受けていたのを見つけた。でも、その場では勇気が出なく、立ち去ってしまった。戻ってきた涼花は笑顔になっている。でもあの光景を見たせいで、その笑顔が我慢してるようにしか思えない。でも、耐えているのに言ったらどうなるんだろうとか、考えてしまって、もしかしたら距離を置かれるんじゃないかととか、思ったら怖くて聞けなかった。
それから少し時間がたって、涼花が休むようになった。いじめに耐えれなかったからだと心配して、先生に住所を聞いて、人生で初めて、お兄ちゃんのいない状況で、友達の家に向かった。
「あ、京香来てくれんだ」
「大丈夫?」
「あ、弟がね、少し熱出しちゃって」
涼花の父は亡くなっていて、母も長い期間入院しているらしい。それで、弟のめんどうを涼花が見ていた。
「そうだったんだ。てっきりもう耐えれなかったのかと思った」
「ん?何に?」
「だってほら涼花いじ、いや何でもない」
つい会話が自然すぎて言ってしまった。
「みられてたか。そっちのほうはもう慣れたから」
涼花はたくさん友達いたというの私の思い違いだった。涼花は小学校の時から、いじめを受けていて、本当の友達がいなかったらしい。だから、私に声をかけて、心の底から友達と呼べる人を探していたらしい。状況が違えど私と似ていたんだとわかった。
「つらくないの」
「全然。京香だって、そうじゃない」
私はここで、辛いといってほしかった。でも、涼花は全員に避けられていた私のほうがつらいといっていた。それが何より悔しかった。私では涼花を助けることができないんだって。そう思ってしまった。
「そっか」
「そうだ弟と会っていく?」
「ごめん私体弱くて、簡単に熱とか移っちゃうから帰るね」
体が弱いのは生まれつき。でも、お兄ちゃんのいるときはアドレナリンがでてたのか元気で入れた。これは離れ離れになってから気づいたからお兄ちゃんは知るわけがない。それで昔病院行ったら人の熱とか移って逆に悪化したことがあるから、一応それを伝えた。
「あ、ごめんね」
「いいよ。涼花が元気ならよかった。っじゃ」
私はその時決めた。涼花を少しでも助けようと。
そして次の日、いじめていた人たちのところに行った。
「は?やだ」
私はいじめをやめるように言った。もちろんそれを了承してくれなかった。
「どうしたらやめてくれるの?」
「そうだな。お前が犠牲になればいいぜ」
そう言われるのも覚悟していた。だから先生に伝えていない。結局先生に言ったところで、狙いが涼花から私に代わるだけだから。
「わかった」
そして、私は、呼ばれれば行かないといけなくなった。学校に復帰した涼花にはすぐに感ずかれると思ったけど、何も言われなかった。
だけど、それはつらくなかった。だって、涼花が我慢していた笑顔じゃなくて、何も知らなかったときにみた笑顔と変わりなかったから。
だけど、その笑顔は私を支えから私を蹴落とされるためのものとなっていた。
そして、毎日毎日殴るけるの暴力、恥ずかしい恰好にされて写真撮られたりとひどい仕打ちを受けていた。そしていつか復讐するために、ペン型の隠しカメラで移している。これで証拠にできればいいから。
こんなつらい日々だったとしても、涼花がいつも笑顔でいてくれたから、私は耐えることができた。その笑顔を守るためなら、私は犠牲者になってもいい。そうとも思えた。それほど彼女の笑顔は輝いていたから。
「京香最近付き合い悪いけど私以外の友達できた」
さすがに毎日毎日用事があるっていなくなってたら怪しまれるのはおかしくないか。
「いや、普通に先生に用があるだけ。私バカだから」
何があってもあんな最低な奴を友達とは呼びたくなかった。
「うそでしょ」
その時の涼花は何か怒っていた。
「いやほんとだよ、信じて」
「ジャー先生と何してたの?」
「それは、その」
私もごまかそうと必死で冷静さを失っていた。だから、いざ何をしていたかと聞かれたら、何浮かんでこなかった。
「私も隠してきたから、そのつらさはわかる。だからさ、話してよ。そのほうが、楽なんだよ」
「そんなちゃんと言ってるじゃん」
こんなこと言われたら話していたと思う。だけど、これは涼花のため、身代わりになっているのに、本人に知らるわけにはいかない。その気持ちのほうが強くて、隠した。
「目が泳いでるけど」
「まだ数か月しか仲良くしてないのになんでも分かったように言わないでよ!!」
ついかっとなって少し切れ口調でいってしまった。
「わからないから、知りたいんじゃん。でも、京香がそこまで、いうなら、信じるよ」
私はせっかくできた友達にひどいことを言ってしまった。そして、自然と昔のように距離が開いてしまった。
「京香どした?」
「なんでもない。早く済ませて」
本当なら距離のある人間のために、やることじゃないけど、心のどこかで仲直りをしたいとも思っていたから、やめることができなかった。
「今日はなにしてやろうか。そうだ。これなんてどうだ?」
そしてありとあらゆることをされやっと解放される。普通に帰るのは部活動とほぼ同じになっていた。
そして、席替えがあり、涼花と離れ離れになってからは何も話さくなっていた。もう友達ではない。謝ろうとしても勇気がでない。
「じゃーね京香ちゃん」
その日は少し早く解放してもらえた。久しぶりに早く帰れるそれだけでもうれしかった。
「あ、あのお姉ちゃん知りませんか?」
校門を出ようとしたら小学生の男の子がたっていた。
「どんな人?」
「僕は陸。お姉ちゃんは涼花っていうの。僕、鍵忘れちゃって」
涼花。そう、あの時熱を出したいたこだ。対面はしてないから見られても気づいてない。
「中入って探そうか」
「え、でも行き違いになるかも」
小学生の時にこんなこと覚えるんだ。私絶対理解できてないと思う。今の小学生すご!!っとついおもってしまった。
「そうなったら家まで送ってあげる。それで一緒に謝ってあげるから」
こうやってなんとか涼花と話せるタイミングを作ろうとしていた。謝るのも仲直りのために。
「わかった。ありがとうお姉ちゃん」
とはいえ、涼花と絶賛喧嘩中。探すといっても居場所がわからない。
「ねぇお姉ちゃん好き?」
「もちろん!お母さんが入院してるからお姉ちゃんにたくさん助けてもらってる。それに、最近ね、おもちゃ買ってくれるの!!」
親が入院しているとなると、裕福な家庭になるのは結構難しい。それに母子家庭だとなおさら。涼花のことまったくわからないけど、年齢をもって、バイトでもしてるのかな。
「そうなんだ優しいお姉ちゃんだね」
「うん!」
涼花に似て、いい笑顔だと思った。私にはその笑顔をする方法がわからない。
もう帰ったのかな。部活動もしてないし、弟想いなら帰ってるはず。またはバイトって可能性もあるのか。
「お姉ちゃんだ!!」
陸君は細い道に入っていった。
「陸く!」
私は壁によって、つかさずカメラを向けた。
「あ、陸どうしたの?」
「鍵忘れちゃって。この人お姉ちゃんの友達?」
涼花と一緒にいたのは涼花をいじめ現在進行形で私をいじめている、グループの中心の人だった。
「弟かかわいいな」
いつもなら考えられない。陸君の頭をなでている。
「まったくほら帰るよ。ごめんね」
「あー別にいいぜ。じゃーな少年。あと、涼花、わかってるなしっかり仲直りしろよ」
「わかってる。だから、約束」
「あれは安心しろ」
この2人はグルだった。いじめられてたのは演技じゃなかった。だが、私が身代わりになったのは狙いどうだった。それに仲直りをしたらなにかもらおうとしている。
「陸1人できたの?」
まずい。これを見られるわけにはいなかない。そう思い茂みに隠れた。
「お姉ちゃんが助けてくれたの?そういえばどこか行っちゃったな」
「どんな人だった?」
「よくおぼえてないけど優しい人だったよ」
「っそ」
なんとか私だって特定されるような特徴は話していなかった。
さっき言っていた「その笑顔は私を支えから私を蹴落とされるためのものとなっていた。」というのはこのこと。私は利用されていた。私に接触したのも全部演技。だから、こそ許せなかった。そして、私は、ある決意をしたんだ。
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