第14話 この日世界が変わってしまった。
午後になり勉強の時間が迫ってきた。
「お、お邪魔します」
二宮はすごく驚いているようだ。無理もないんだけどな。なんせ俺の隣にいる彼女、つまり京香ちゃんが腕を組んで俺との距離がものすごく近い。
「どうぞ上がってください」
「お客様の前なんだから腕外して」
「いやです。この人に私たちがちゃんとしたカップルだって証明しないとでしょ」
いやそうだとしてもそのあなたの胸が、あたってましてね。なんていうとひかれるから言わないけど。
「帰っていい?」
その怒り笑顔やめてくれ。
「先輩何で汗かいてるんですか」
腕を組んでる隣の君も同じ顔してるから怖いんだよ。なんなの会って早々仲悪いの。おかしくない。おかしくないのなら教えてほしい。
「とりあえずその腕外してくれない?」
「いやです。先輩に先輩は渡しません」
「ほら京香ちゃん、先生には優しくだろ。二宮もこの子少し短気なところあるからさ。お前ならわかるだろ?」
とりあえず部屋に行けばいいのだが、まだ玄関から進んでない。もう1時なるというのに。
「先輩は黙っててください!!」
止めに入ったはずなのに何で俺が怒られてるんだ。
「とりあえず良太は外出て3時のティータイムようのものを買ってきて」
「お前来る前に買って来いよ」
「先輩私甘いものがいいです」
あれ、喧嘩は?切り替え早いな。
「安心して。あなたが帰ってきてる時にはけりつけておくから」
「いいですよ。私も戦闘態勢です」
とりあえずこのままいてもことが進まなそうだし。二宮が俺を外に出したのも秘策がなくて何で思えねーしとりあえず信じて言ってくるか。
甘いものといわれたが、ジャンル聞くのを忘れていた。とりあえず、シュークリーム系1人1つくらいとスナックとチョコケイのおかしでいいか。それで飲み物だ。京香ちゃんは見た目からしておそらく炭酸無理なタイプだよな。あくまで憶測だけど。
それで、二宮は何でもいけそうだな。とりあえずオレンジジュースあたりが妥当だろうな。いや、二宮だぜ。あの真面目な女がジュース飲んでるの想像できるか?できないな。そうなるとお茶?いや、洋菓子だしコーヒーか。あいつブラックいけるかな。喫茶店の時毎回違うの飲んでたからわかんね。
二宮はまだしも、俺、京香ちゃんのこと全然わかんねーだな。少し悔しいな。言い換えれば妹が何好きで何が嫌いなのかわからないってことだ。兄なのになさけねーよな。無理もさせて、まだ死ぬは決まってないが、なにからしらのタイムリミットとも戦って。それに引き換え俺は、ただ、勉強を押し付けていただけだ。そんな俺が、あの子と一緒でいいんだろうか。あの子はただ他の人が嫌いで合わないと思ってるだけで、本当なら俺よりぴったりな男もいるはず。わからねー。テストで点数がとれるようになったとき、もし俺が必要でなくなってその時に互いに本当の意味で好きなら付き合おうと決めた。今の俺は、彼女というより、妹としてあの子といたいと思ってしまっている。いつかは傷つく。だったら早くしたほうが彼女のためになんかじゃないかと。だから、ここまで最善を尽くして悪いが、今回のテストは悲惨なことになってほしい。そうすればこんなこと考えず付き合えなかった。今からでも遅くない。英語だけ赤点にすれば、次回の赤点を回避するまでは付き合うって言えばいい。そうすれば、夏休み考えれる。それで、それでもまとまらなければ、次のテストもぎりぎりダメにしてあと一歩といえば。何を考えてるんだ。俺は、そんなことしたらそもそも約束を果たさない最低な男になってしまう。俺はどの自分になるべきなんだよ。
頭が整理できないまま、家に戻ってきてしまった。とりあえず今は笑顔のままでいないと何があっても心配させるわけにはいかない。
「ただいま。買ってきたぞー」
「あ!!先輩お帰りなさい。見てください!」
京香ちゃんは問題集を見せてきた。そこにはたくさんの丸がついている。俺が教えても全く理解できなくて悩んでいたはずなのに。スペルも完璧に書いてるし、間違えたとしても少しのスペルミスだけ。
「す、すごいじゃんさすが二宮だな」
俺なんていらないじゃねーかよ。こいつのほうが。
「良太がちゃんと必要なところは教えていてくれたからね」
俺では教えれてもここまで出せなかった。
「いやそれでもすげーよ。俺の時なんてスペル覚えてなかったのに」
「読めるんだから。それ通りに書かせただけ。まさかこんなきれいに当てるとは思ってなかったけど」
そうだよ。なんで俺はそれに気づかなかった。彼女は書くことはできなくても読むことはできる。それも英語読みでなく日本語だ。だったらそのまま書かせればよかった。なんで俺は気づかなかったんだよ。
「蓮先輩ほんとすごいです」
「だから、蓮花ね」
「いいづらいので蓮先輩でいいじゃないですか」
それにさっきまであんなに言い合いしてたのにもう仲良くなってる。
「先輩どうしました」
「なんもないけど」
「なんか辛そうですよ。すいません。めんどくさかったですよね」
「いや、昨日寝れなかったら疲れてるだけ。俺少し寝るわ」
今はこの2人を見るのがつらい。なんでもいいから理由をつけてここから離れたい。
「あ、じゃーそこで」
「いやリビングでいよ。邪魔しそうだし」
「え、でも」
「いいから!!」
つい声をあげてしまった。
「ごめん今は1人でゆっくりさせてくれ」
守ると決めたのに彼女を泣き目になせてしまった。さっさとねよ。そうすれば少しは落ち着けると思うし。
全然寝れん。頭の中から考えていることが離れず、それがずっと引っかかっている。今でもどうすればいいのかわかっていない。たかが2人が勉強をしている光景を見ただけなのに何でこんなにもやもやするんだよ。もう3時か。部屋にもどればまた怒りそうだしこのままでいいか。
「あの先輩」
リビングのソファーで寝ているところに京香ちゃんが来た。
「何?」
「寝れました?」
「多少は」
「あの私先輩が怒ってるのって私のせいですよね」
「俺は別に怒ってない」
「じゃー。なんで炭酸がはいってないですか!!」
・・・・なにをいっているこいつ。さっきの話じゃないのかよ。
「気分で買っただけ」
「オレンジジュースお茶。コーヒー。しかもミルク付きとか完璧すぎるのに。私ドクペが好きなですよ」
炭酸好きなうえにドクペ好きとかつうだな。
「悪かったな。何が好きか知らないから誰でも飲みそうなの買ってきた」
「ですよね。私も先輩のこと知りませんもん。だから互いに考えるのやめませか?」
「何を?」
「ごまかさないでください。私も一緒です」
またしょうもないことだろうな。和菓子が食べたかったとか。まんじゅうがなかったとか。
「先輩が最初に言ったこと」
「!!それって」
まさか
「私も少し不安なですよ。勉強もやり方がわかってもし今回うまくいったら1人でできるかやってみたいって。でも、それってあの日言った状況と同じになりますよね。そうしたら互いに好きのままだったら付き合う」
京香ちゃんも考えてたというのか。
「いつ気づいたんだ?」
「帰ってきて。寝るといったときまでですよ。先輩は蓮先輩と私の光景を見て思ってしまったんですよね。このままテストが成功したら好きでいられなくなるかもって」
「そんなこと」
「わかってます。先輩は私を助けないといけないと思ったから好きだった。でも、私たち、いや、私ができる光景をみて何も魅力的ではなかった。それはもう好きではないといっているのと同じだと思います」
多分あっている。あの時感じたのはおそらくそうなのだろう。京香ちゃんに気付かされるとは。
「もしそうだとしたら何をやめるんだよ」
もう答えは少しわかっている。だが、それでもそうじゃないと信じて聞いた。
「もちろん。これからどうするかです。私は赤点を回避します。それで笑顔で先輩に報告します。その後、普通のデートとかして決めましょ。それまでは、私は分かれるとか付き合ったままでいるとか考えることにします」
「でも」
「私、責任取りたくないですし、取ってほしくもないです。だからもし私が、ダメだったら怒ってください。私も先輩がダメだったらたくさん怒るので」
やっぱりこの子なんだ。妹とか彼女とか関係なく、俺は斎藤京香という人が好きなんだ。それは恋心なのか兄妹心なのか。それとも勉強を教える関係としてなのかはわからないけど、とにかく好きだ。そう思ったら自然に京香ちゃんに抱き着いていた。
「せ、せんぱい!!」
「まさか京香ちゃんに俺の思ってること見透かされてさらに、解決までされるなんてな。ありがとう」
もし日記に書いてあった夢のやつが0になったときほんとうに死を意味するのならたくさん思いで作る。そんなの逃げ腰だ。助けるってそうじゃないだろ。一緒にあらがわないとだろ。
「先輩私もたくさんお礼言いたいです。そのためにも私頑張ります」
パシャ
?今なんかカメラの音が。
「いいものもらったありがとう。いいバイト代ってことで」
二宮が俺らにカメラを向けていた。
・・・
「京香ちゃん」
「そうですね。先輩多分意見同じですね」
「あ、やばい」
「逃がすかよ。まてや蓮花!!」
二宮といっていたのに自然に名前で呼んでしまっていた。
「蓮先輩。早く消してください」
「いやだー!!!」
地味に逃げ足速いなあいつ。外に逃げられると探しに行くのめんどいんだけど。
「どうします追いかけますか?」
「めんどくせ」
「ですね。そうだ。先輩少し教えてほしいところありまして、さらに家庭教師いないじゃないですか」
「しょうがないな。まだ休憩時間だから休みながらだお」
「ありがとうございます」
アニメで言うならこれから最終回にむかっていき第2シーズン本来の恋愛編ってところか。そろそろアニメオタクってことも明かしてやるか。
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