第9話 ラスト3日の勝負
期末テストまで残り3日。体調を崩してしまった京香ちゃんも少し時間はかかってしまったが完全に復活した。それに前よりも少しだが、正答率が上がっている。京香ちゃん自身もあれ以来少しは自分に自信を持つようになったのか、俺がいなくてもしっかりやるようにはなった。メールとかやばいほど来ることもあるけど…。そしてラスト3日にして最後の金曜、土曜、日曜日となり、無理をさせすぎずなおかつ追い込みをかけるために京香ちゃんの家にとまることになった。
「先輩メール無視しましたよね?」
若干怒っていらっしゃるようだ。
「違うよ。スマホ忘れたんだよ」
今日は泊まる準備をしていたら時間ギリギリになってしまいそのまま部屋に置いてきてしまった。
「家とりに行きますか?」
「いやいいよ。どうせ使わないだろうし」
勉強付けになれば触る余裕もないだろうしテーブルの上にスマホ置いてあるからログインは父さんがやってくれそうだから我慢だな。
家に遊びに行くのならなんも考えないがあらためて、泊まると思って家の前に立つとすごく緊張するもんだな。
「先輩何かたまってるんですか?行きますよ」
「お、おう」
京香ちゃんに引っ張られ俺は家に入っていった。
「先輩私の部屋で寝ます?一応別室でもいいんですけど」
俺は妹寝るだけだし、そこまで抵抗はないんだよな。家はいるのには抵抗あったはずなのに。
「京香ちゃんが決めていいよ」
「じゃここでいいですね」
「ジャー布団運ぶの手伝うよ」
「いやここですよ」
京香ちゃんは自分のベットを指さした。
「えーと。つまり」
「もちろん一緒に寝るんですよ!!」
同じ部屋に寝るのには抵抗はないが、一緒に寝るのに関して抵抗があるだろ。普通に考えてブラコンとシスコンの関係でないと一緒に寝ることなんて兄妹だってほとんどないだろ。
「いやそれはさすがに」
「え、いや、なんですか?」
「だいじょうぶ」
泣きがされるのに弱すぎるなおれ。あんな顔見せられても嫌とは言えないだろ。
「よしこれで、寝床の確保はできましたね。ほかに何か必要な者ありますか?」
「あとはいいかな」
「なら夜ご飯できるまでトランプしましょ」
さっそく勉強はする気ないのですね。2日泊まれれば数十時間以上もゆうよできるしたまにはちゃんとした恋愛的行動もしてみるか。
「いいよ」
「完全な運の神経衰弱でいいすか?他だと勝てなそうですし」
神経衰弱は初めは運のなのかもしれないが暗記してないといけない競技なんだけどな。
「いいよ。先行はあげる」
「わかりました」
トランプをばらまくと彼女の眼は変わった。鋭い目をしている。まさか神経衰弱得意なのを悟らせないためにわざとうんといったのか?
「先輩先いいですよ」
先行は先に打つこともあり、うまいやつなら先行選ぶはずだが、後攻が得意なのだろうか。
当たり前だが、俺の一回目は同じカードでなかった。
「なるほどなるほど」
まだ一回目なのに何か見えたのかな。
「まずはこれとこれですね」
すごく落ち着いている。まるで、俺の引く手がみえてわざと外してやった。彼女からはその感じがする。
「じゃー」
また外れた。そして、一回目にひいたのと同じ数字のAがでてしまった。これで彼女に1まいあげることになる。
「先輩早いですね。先行ってそうやって勝手に引いてくれるからやりやすいんですよね」
やはり狙っていたのか。
「これです!!」
……
「あ、あれ」
きれいに外した。それにさっき京香ちゃんが引いたKを引いてくれた。
「っま、待ってください。先輩混ぜました?」
いやいやいや。きれいに隣引いてたじゃないですか。
「っまもらうね」
まずは二組獲得した。
「やりますね先輩」
完全に俺のサポートしてくれた人が言える言葉じゃないんだけどな。強く見せてるだけだったか。
「これとこれかな」
さっき違い何も考えない2枚めくった。すると今まで出てない数字で組ができた。
「で、でき、…これが実力です」
今すごくうれしそうな顔してたよな。
「次はこれとこれかな」
またそろった。
「っちょ。まじ!!」
「先輩忘れたんですか?私なんで国語点数がよかったのか」
「あれだろ記号だけ当たったやつ」
「あれって、理解してたわけでないの知ってますよね?」
たしかに京香ちゃんまったく理解していない状態であったっている。つまりかんがいいというわけだ。だけど神経衰弱はそもそも全部同じ状態だし。感がいいとかで済まされるもんではないはず。
「私前からなぜか記号は当たるんですよね。それはかんがいいんでなくて、あきらめて適当にやっているから。これははたしてテストだけなのでしょうか?」
あきらめて適当にやったら当たっていた。これを今の状況に置き換えてみよう。京香ちゃんは強気だった。それは前すごく調子がよかったからだろう。だが、実際はきれいにはずし、俺に2枚とられた。そのあと適当にめくったら2回とも当たっていた。
これをテストに置き換えるとしたら、テストを受けるとき自信がある。けど実際問題を見たらまったくわからず記号だけを適当にやった。そうしたらほとんど当たっている。何か似ているようで似てないよな。
「先輩ならもう気づきましたよね?その証明がこれです!!」
3連続の奇跡はなく違うカードを引いた。
「あ、あれ。おかしいな。今までならここでできるはずなんだけど」
これは完全に俺の勝利だ。今までならといっていたってことは京香ちゃんが俺に教わらない無知な時ならできるって話だ。彼女はいろんな勉強をしてきた。そこのなかで、確率などの勉強もしている。つまり、
「確率を知ればここで外れるかもと少しは思ってしまう」
「たしかにそうですね。引くときに普通なら外れると思ってしまいました。じゃーもう私は記号を完璧に取れないかもですね」
「とるために勉強した。そのおかげで考えてしまうことはいいことだよ。それに今までと違って選択肢があれば理解したうえでわかる。なら大丈夫だよ」
「でも負けません。私このゲーム得意なので」
たかが神経衰弱なはずなのになぜこんなに燃えているのだ彼女は。
それからは互いに取って取られてを繰り返し始めた。俺は記憶力でだが、京香ちゃんは暗記というより片方を俺と同じカードにして出ることを信じてひいている。こうすることで、自分から新しいカードを見せるのが1枚になる。記憶力で勝てないならいい行動だと思う。現にとった組の数が同じになっている。
「次取ったら京香ちゃんの勝ちだね」
残ったのは2組。もしここでとられた場合2回目で最後をひかれてしまう。
「えーとまずこれ」
残ったのはハートとクローバーのj。ダイヤとハートのQ。そして彼女の引いた1枚目はハートのj。残すクローバーのjとダイヤのQはまだひかれていない。つまり2分の1.確率的にはまだかつ希望がある。
「まずこれはさっき見たから違う」
あっている。最初にハートのQを見抜いた。
「こっち!!」
引いたのはダイヤのQ。これで俺の勝ちだ。
「もうやめましょ。私の降参です」
もうあきらめてしまった。こんなにギリギリの試合をしたのは多分初めて。負けを認め降参したほうが往生際のよい行動だと思ってるんだろうな。しょうがないか。
「いや俺の負けなんだわ」
「え、なんでですか?」
「京香ちゃん今何組だっけ」
一つ一つ組を数えてもらった。
「12組です」
トランプは52枚でその半分の26組できる残るは2組で俺も12組だから間違っていない。だが、ここでとあるマジックをする。まず、トランプケースに俺のトランプを3組いれて戻す。これをばれないようにした。そして元の位置に戻す。そして彼女にそれを教える。
「トランプケースみてみった」
「えーと。あれ?何枚か入っている」
「途中で枚数足りないの気づいたけどそれいったら反則かと思ってやってたんさ。だからいれは9組これをとっても京香ちゃんの勝ちだよ」
「え、私先輩に勝ったの?」
すごくうれしいのか涙を流し始めた。
「いやそこまで喜ばなくても」
ここまで喜んでくれたんだから何も悔いはない。というよりむしろここで負けて気持ちおとされるたらたっまたもんじゃない。
「2人ともできたからリビングきな」
タイミングが悪すぎる。この光景見られたら完全に俺が泣かせたみたいじゃないか。
「うん。わかった」
今日京香ちゃんのこの一言で、母さんはリビングにもどっていった。
「涙が覚めてから行こ」
「そうですね。私、実は神経衰弱誰かとやったの久しぶりなんです」
友達がいないと知っていたし大体察しはついていた。勝ったというのも一人でやっているから敗北はない。
「それで、記憶がなくなる前は全部覚えているわけでないんですが、誰かとやって26-0で負けたことあるんですよ」
なつかしいな。これ聞いておもいだしたのだが、神経衰弱やってきれいに全部外してたな妹は。それにしても容赦ねーよな小学生の時の俺。
「だからこんなに強い先輩に勝てたのならその人にもリベンジできますよね?」
「そうだね。勝ちは勝ちだから」
リベンジはもう達成している。ただ記憶がないだけ。つまり次やるときは俺がリベンジする番だな。
「行きましょ」
立ち上がれてはいるが少しふらついてる。初めて会ったときとかはなんともなかったのに頑張った分だけ疲れがたまるというのは何もしなければ蓄積されるのだろうか。そう考えればここ最近は今までの蓄積がなくったからと説明がつく。しかし非科学的すぎる。そんな都合のいい後遺症が存在するとも考えがたいことだ。
「へーかったんだ。よかったじゃん」
リビングに来て早々母さんに俺に勝てたことを話していた。
「今日の夕食は何?」
「カレーにしたよ」
カレーか。普通に誰もが好きなメニューだ。
「すいません少しの間お世話になってしまい」
一応社交辞令のようなことを言った。一応母さんでも客であることには変わりのないのだから。
「そんな硬くならなくていいよ。もし2人が結婚したら、こんな光景なんだなと考えてみてるから」
怖いこと言うなよ。京香ちゃん婚姻届け持ってるんだから。
「先輩がいいならいつでも書いてもらえるようにしてますから」
やっぱり食いついてきた。あの婚姻届けあの時の母さんの反応見た限り本物だろうし。とはいえ、兄妹なんだから結婚なんてしなくても血縁関係がある。さすがにこれ以上親密になるなら兄妹であることを教えないわけも行かないよな。
「マ、お母さんのカレーは甘いんですよ」
甘口系のカレーは久しぶりに食べるから少しワクワクしていた。しかし、一口を食べた瞬間にそのワクワクを消えた。それは普通に中辛のカレーだったからだ。
「京香ちゃんこれそんなに」
「おいしいですか?」
京香ちゃんのほうに顔を向けるとはちみつをまんべんなくかけていた。甘い理由絶対これのせいだろ。
「私が中辛好きだけどこの子は甘いのがいいらしいからはちみつ置いてるのよ」
母さんは自分を優先してるんだな。とはいえ食べれないのは困るからはちみつを置いて関係にも中和している。
「先輩もかけますか?」
「いらん」
カレーって家によって味が違うとよく言うが本当にそう思う。一緒に住んでいたころも食べていたはずなのになぜか新鮮な味だ。
夕食を食べ終わると、京香ちゃんお風呂に行った。
「あんたと出会う前はね。夕食を一緒に食べるってことはなかったの」
「それでも、仲いんだな」
「あの子が無理をしたのよ。多分いままでに自分が空けてしまった穴をうめるためにアニメを見だして。私とアニメの話題で仲を戻した」
2人もいろいろあったんだな。俺なんて親父が嫌いになってすぐに餌付けされたもんだ。毎週アニメグッズ買ってきたらきいやでも好きになってしまう。
「あいつ不器用だもんな」
自分を表現することすら苦手な人間だからな。他人と仲良くするために言葉でなくその人が好きなものをやって共通の趣味にするのも無理はない。
「また、あの子に怒られそうだから部屋いってな」
京香ちゃんが話すの拒んだ話はさすがに話してくれないか。いや、話そうと思ったから俺を遠ざけさせたのか。どっちでもいいが、言われた通り部屋に行った。
京香ちゃんの部屋に1人でいるのもなんかもぞかしいな。アニメグッズ見つけそうだし。本人が来るまでにどんなものが好きなのか気になっている自分もいるから困る。この本能のままにやったらタイミングよく京香ちゃんが現れて怒られるのがアニメの鉄則。やるの悪くないな。やってみるか。あれが本当に起こったらあの子も少しうれしいのかもしれないし。来ないことも信じつつもアニメみたいなことが起こっててほしいと思い押入れを開けてみた。がっつり漫画が並んでいる。うまく教科書で隠しているが、奥のほうにフィギュアも並んでいる。漫画を見た感じ少年漫画から少女漫画、ラノベなど多種多様なのが好きなようだ。普通にアニメオタクなんだな。
そんなアニメグッズが多い中1冊だけ俺が京香ちゃん経由で母さんもらった日記に似たものが置いてある。こっちが最近書いているほうなのか。
「セ、先輩」
待て、まだ数分しかたっていないのに後ろから妙に聞き覚えのある声が聞こえた。
おそるおそる後ろをむくとバスタオル1枚の京香ちゃんがいた。
「なんでおま」
「先輩こそ勝手に押入れ空けて。それより何で部屋にいるんですか!!」
「お前の母さんから部屋にいろって言われたから」
こんな展開見たことねー。なぜ押入れを開けられるよりインパクトあることをするんだこの子は。
「いいから出て行ってください。私着替えるので20分くらいお風呂行っててください!!」
「わ、わかった」
風呂は早めの俺からしたら20分は相当長いのだが。まー時間つぶししながら風呂にいるか。まさか京香ちゃんが風呂速いとは思ってなかったけど」
「大丈夫だよね。多分見られてないよね」
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