第Ⅲ章 ture love
十一話 Love Letter
僕的には最悪の目覚めだった
今日は九月一日。そう、二学期最初の日だ。めんどくさすぎる。まったく、二学期に入ったらどうなるのやら
僕は起きて早々ため息をつく。何だか久しぶりに姉さんの朝食を朝早く起きて作る気がする(夏休みは朝食はなるべく各々で作るようにしていた)現在六時半。変な時間に起きてしまった。とりあえず弁当を作ろうと決めた。(朝食は十五分程度でできる)昼飯には肉を焼こうと考えた。……なんか、弁当のことをこんな考えたのは久しぶりである。新学期だから仕方ないか、と僕は片付ける。正直めんどくさいかもしれない…いや、前の地獄の連続お泊まり会よりはマシか…まぁそんなこと考えながら僕は弁当の肉を焼き、それを詰めるのだった。
「これで、始業式を終わります」
四分にわたる校長(お義父さん)の話を終え、諸連絡を伝えられた始業式は、今終わった。いや〜校長(お義父さん)の話は要約されてて短いし言いたいこと伝わるから良いな〜。そして、話もおもしろいので、よく生徒間から笑いが起きる。やはりお義父さんは素晴らしき校長だ… そのカリスマ性には惚れ惚れする。しかも人事も完璧って…マジで凄い人だよな…過去に何があったらこんな人間になれるのやら。僕でさえこんなクズ人間になったから、相当いい教育をされてきたのだろう。僕もいつか子供ができたら…そんな教育がしたいなあ。まぁ自分が妻ができるような人間では無いとは自覚してるけどね。あれ、おかしいな目から汗が…
とまぁそんなクソくだらないことを考えていると、
「高校一年生、教室に戻りなさい」
と、生徒会長からの指令がかけられた。全く朝会をしたアリーナから教室までどんだけ苦労すると思ってんのこの人達。なんて心の中で苦情を呟く。
下駄箱なう(なんとなくJK語使ってみた)僕はアリーナから上履きに履き替えるために下駄箱に居た。。僕は疲れたためため息をつき、下駄箱を開ける。
「……は?」
下駄箱開けたらなんかあるんですけど。紙入ってるんですけど。しかも二通。誰だよ空き巣でもきたん?てか展開早くない?朝会抜け出したやっおんの?え?いや怖すぎて震えるんだけど。周りからどんどん生徒が減っていく。予令が鳴る。本令が鳴る。それでも僕は硬直していた。中身を開きたくない。なんかハートで彩られてるし。怖すぎて草も生えんわ。
「…開けてみるか」
僕は恐る恐る開けてみることにした。一通は『昼休み、話があるので屋上へ来てください』と書いてあり、もう一通目は、『放課後、話があるので屋上に来てください』と書いてあった。あ〜ラブレターですか?二つともラブレターですか??僕モテないのだけど?てかなんか三章に入って急に展開早くね?(メタいメタい)マジ三章すぐ終わるんじゃねぇの???僕的には最早疲れたんだが。てか一番今日が疲れてるわ。なんでラブレターなんてあるんだよおかしいだろ。とまぁどうせ暇だし昼休みまで屋上で寝るか(ユキさんの授業あるけど…まいっか)今日位いいよね?一応成績全部3(最高は3です)だから別に授業なんて…まぁ雑念があると寝れない。これから三時間寝るのだから、無心になって寝よう。そうしよう。そして午後の授業は参加しよう。僕は一日のプランを決め、上履きに履き替えてとっとこ屋上へ歩き出した。屋上に着いた僕は、さっさと眠りにつくことにした。ああ、今日も朝日が綺麗だ…
「な〜に寝てんのよ」
誰かに額をツン、とつつかれ、僕は目が覚める。すると聞きなれた声が上から聞こえた。なんでこの人ここに居るのかな……周りを見渡すと、お昼を食べているカップルが発生していた(イチャイチャ目障りだから殺したい)まぁもう昼休み、ということなのだろう。今日は良く寝たなあ…いやそんなことよりも
「まさかあの手紙の書き主姉さん?」
僕は姉さんに確認をとった。そしたら姉さんは頷いて、無言の肯定を表していた。僕は頭を抱える。なぜ姉さんがあんなまどろっこしいことするんだ……ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙コイツコロシテヤル
「まぁNumber関連だから誰にもバレたくなかったのよ」
姉さんは珍しく僕に真面目な事を言った。いや、どんだけ重大な任務だっていうんだよ…
「…次の任務のこと?」
僕はため息をつきながら姉さんに聞いた。すると姉さんは僕の予想とは裏腹に、
「いや、圭のことについてよ。」
と、小鳥遊組総長の、小林圭(八話参照)のことについて話があるらしい。え待って圭になんかあったの?
「…圭が遂にNumberに入るとでも言うのか?」
僕はマジで頭が痛くなってきた。なんでですかねぇ…
「いや、圭の話っていうのは冗談」
こいつ殺そうかな。
「新しい任務なのね。結局」
僕は盛大なため息をついた。姉さんも肯定している様子だった。いやどうせ三章ではその任務しないんだし(メタいメタい)まぁ四章なのかそれとも裏でやるのか…とそんなこと思っていたが心配は無かった。なぜなら
「次の任務は…紅葉の時期よ」
そう、次の任務は何ヶ月か先なのである。しかも、
「……Dreamerとの、最終決戦と見たわ。」
僕は跳ね上がった。え?Dreamerとの最終決戦だと……?!僕は目を剥いた。そして硬直してる僕に姉さんは紙を突き出してきた。
「……何これ?」
またラブレターですか?まぁそんなはず無く、次の任務の話らしい。そしてその紙を開くと……
「……なに…これ……」
その紙に書いてあったことは、
''Dreamer is dying. K.A. February Tuto fall and Number''
と書いてあった。何これ……てか、
「…2月、つと、秋と、Number……どういうことだよ」
僕は頭を抱える。しかし、何故かこの紙の真相が少し見えた。姉さんはまた無言で紙を突き出してきた。
''Base Tokyo 五角形 近く building''
これはすぐ意味がわかった。多分拠点の住所だろう。そして姉さんはため息をつき、また紙を渡してきた。
''―・・・/・――・・・/ ―・―・・/―・・―― /・・――/・・――・・ /――――/―――・/――・―・― /・―・―・/――・―・・・/・――・''
なんだこれは……頭がおかしくなりそうだ…しかしモールス信号ってことだけは解った。まぁ、放課後まで考えてようかな…てか途中の意味わからん単語なり…くだらんミステリーも甚だしい。小説みたいな事するなよったく…あほらし
「ありがとう姉さん。とりあえず考えておくよ」
姉さんはため息をつき、
「まぁ、任せたわよ。」
と、ご飯を食べに教室に戻っていった。僕も立ち上がり、屋上を出た。何故かって?察しが悪いなあ。
「すみません、ユキさん。仕事の関係で今日は午後も授業に参加しません。」
僕は職員室にてユキさんに頭を下げていた。ちなみに事情は説明している。あんな紙見せられたらなあ…ユキさんも困惑していた。
「…なんか最近仕事多くない?」
ユキさんはそう聞いてきた。いや正直Dreamerとの最終決戦だから仕方ないんですが。Dreamerだぜ?もう倒すために学校休んでもいいくらいだ。
「…Dreamerとの闘いも大詰めなので」
僕は頭をポリポリ掻きながらそう答える。いやさ?Dreamerとの闘いは、第五階層の人達が頑張ってくれてるのよ。食い止めてくれてるのよ。凄いよねあの数に対抗するの(僕も偶に参戦していた)まぁこんな余談はいいんだよ。
「そう…くれぐれも身体には気をつけてね。もう行っていいわよ」
ユキさんは、そう言った。僕はお辞儀をし、その場を離れようとした。すると肩に手をかけられた。僕が後ろを向こうとする瞬間、後ろから
「死なないでね」
と、声が聞こえた。…ああ、死なないさ。たとえ
『僕が消えようとも』
「…本当にどういう事だよ…」
僕は頭を掻く。いや、モールス信号を調べながらでも意味がわからん。何がどうなってるんだ。一応モールス信号の方は解いたが、意味がわからない。…正直仮説は思いついてるのだが、確証は無いのだ。仕方ないんですよ。
「それに…一枚目のDreamer is dyingの価値が、ある必要性が感じられない…」
僕はますます混乱してきた。正直解ける気がしない。これは骨が折れそうだ。二枚目に関しては、解けた。
「…東京の五角形なんていったら、アレしかないよな…そして、その近くのビル…か」
僕はメモ帳にペンを走らせる。腕も痺れてきた。目の端では、空がオレンジ色に色づく様子が見えた。それでもまだわからない。いや、解りたくないのだろう。真実というのは、知らなくていいことだろうか…僕は頭が狂いそうだ。何故こんな事になったのだ…二枚目は段々検討がついてきた。
「…2月…という事は、如月か…」
如月という苗字を思いつき、僕はギョッと目を剥いた。実は如月というのはお義母さんの旧名だ。何故如月か、というのはすぐ解った。…わかりたくない事実ではあったが。わかったものは仕方ないのだ。僕は三枚目を解き始める。そんな時には、六時限目の終わりのチャイムが鳴った。放課後になった…ということは
「あのラブレターの持ち主が来る時間…か」
僕は正直そんなことには目もあててないわ。仕事の方が大事だ。きっぱり断ってやる。なんか可哀想だなそれはそれで()てか、誰が来るんだろうか。結構気になってたりする。かわい子ちゃんかな?(あれ、キャラ崩壊してね?)クールな女の子だろうか。それともホモだろうか。正直だれでもいいんだけど。僕は顔より中身を優先するんだよ(それでも可愛いというだけで優遇される姉さんって…)そういや余談だけど、この学校には僕と愁の他に入った男子の人数は、この学校は中高合わせて三十六クラス、各クラス二人だから、なんと七十二人も入ってきたことになる。凄い数だ。まぁカップル成立も起きているわけで…カッコイイ男はモテるんだよなあ…ああ世界は無情
こんなこと言いながら僕は恋愛にあまり興味無いんだよね。あれ?僕何言ってるんだろ。てかなんだろう。目から汗が…(本日二回目)まぁそんな茶番をやってるうちにドアが開いた。中からはイケメン男が出てきた。いや怖すぎて草。え?ホモ?と思ったが後ろから頬を赤らめた女子がやってきた。制服の襟章のマークと色は…男が中の緑…中二か。で女が赤…中一?部活の先輩後輩の関係か?(うちの学校は赤が中一と高一、緑が中二と高二、青が中三と高三である。)またカップルかよ。と思ったが、今まさに告白するという場面であるらしい。何か女が男に告げている。僕の地獄耳によると、「好きです、付き合ってください!」と言っているそうだ。うわぁベターすぎて笑う。他に言葉無いのかよ。と思った今度は男が女に何か言っている。え〜なになに「俺も好きだ。」と言っているらしい。なんだこのムカつくイケボ野郎は。てか僕が盗み聞きしてるの気づいてないの?この人達。アホ過ぎない?そして今二人の体格に注目すると、足が細く、背が高かった。…バレーボールか、バスケだろう。バスケ部にあんな奴いたか?まぁ僕は帰宅部だからそんなの知らないけど。僕も部活そろそろ入るか…適当にバレーボールで良いかな。中学の時やってたし。まぁ幽霊確定だけどなあ…あれおかしいな目から汗が(本日三回目)まぁ今耳を傾けてみると、「行くぞ、○○」と言っていた。(名前までは聞き取れないわ!!!)二人は手を繋いでいる。いやラブラブだなあ。そして途中一回キスをして、屋上から去っていった。正直僕はアホらしくなり、見なきゃ良かったと思う。後輩のあんなもん見せられたら精神壊れるわ。はぁ、しかも誰も来ねぇし…もう帰ろう。そう思い立った。すると次の瞬間、
「帰ろうとはいい度胸じゃない。」
と後ろから声が聞こえた。聞き慣れた、幼なじみの声が。僕はギョッと目を剥いて後ろを振り返る
「人の盗み聞きしてすぐ帰るなんて、私失望しちゃうわよ」
と目の前の女はつきながら、ニヤついた顔で言った。
「…ラブレターじゃなく、まさかお前からの手紙なんてな。」
僕はため息をつきながら目の前に居る彼方に向かって言った。
「…で、何の用でしょう」
僕は彼方に聞いてみた。すると、彼方は驚くべき発言をした。
「…その手紙は、ラブレターよ。」
彼方はそう言った。僕は驚く。なんだ、相手が違うのか?そう思い耳を傾けると、彼方は頬を赤らめながら、
「それは正真正銘、私からあんたへのラブレターよ」
と、僕に人差し指を指しながらそう言った
十二話 幕間〜Dreamerができるまでの物語〜
「なんなんだよ!!!」
俺は足踏みをする。イライラする…クソっ、クソクソクソクソ…なんで俺が左遷なんだよ…イライラする!!!俺は道の人目も気にせず近くのビルを殴る。…NumberからBlack Numberへの左遷が決まったのは四時間前。俺はNumberで密告によって左遷された。…無実の罪なのだ…俺は絶望した。二度とNumberには戻れない。Black Numberの男達は麻薬でもなんでもやる。Numberの管轄下では無いのだ。要するに
「用無しのクソ野郎が行くところ」
なのだ。イライラする。しかし、絶望に染まりまくる訳にはいかない。復讐だ。…復讐。Numberへの復讐。なんでもいい。時間がかかってもいい。Numberをぶっ壊す!!!そのためには内通者が必要だ。さらにBOSSの信任も得なければならない
「…めんどくせえ」
俺はBlack Numberのアジトへと足を運ぶのであった
「…てめぇが新入りか」
目の前のBOSSはそう聞いてくる。俺は首肯する。
「俺は如月真太(キサラギシンタ)、Black NumberのBOSSだ。」
目の前のBOSS、如月真太はそう言う。
「…俺は葉月翔真です」
俺は名前をBOSSに告げる。
「…葉月翔真…か…う〜んいい名前だ」
BOSSはうんうんと首を上下に動かしながらワインを飲む。なんて陽気な人だ…
「君は、目標はあるかね?」
BOSSはそう聞いてきた。俺は
「Numberをぶっ壊す事です」
と、答えた。BOSSはふ〜んと頷き、そしてニヤニヤしながら、
「それはBlack Number全体の目標だ。素晴らしい」
と答えた。俺は興奮して、
「ありがとうございます!」
と答えた。全身が熱くなる。仲間が居ること、それがどれ程嬉しいか、みんなわ
かるか?俺にはわかる。自分と同じ目標を掲げている組織に入れるということ。それは、生きる意味でもあった
「これからよろしく頼む」
BOSSが挨拶したので、俺は息を思いっきり吸い込んで、
「はい!!」
と答えた。
俺はBlack Numberに入ってから精一杯努力した。理不尽な先輩が居ても、辛い仕事でも頑張った。全てはBOSSの信任を得るため。Numberを潰すため。自分の目標に突っ走るため。 そうしていくうちに、BOSSの信任を得て、五年目、遂に幹部になった。
「ありがとうございます!」
俺はBOSSに頭を下げていた。
「いやいや、お前は素晴らしい人材だ。」
俺はBOSSに褒められ、俺はとても嬉しかった。全身が暑くなる気分だ。熱でもあるのかな
「…ありがとうございます。」
俺は言葉では反応しきれず、ありがとうございますと繰り返した。
「そこでだ。お前に1つ頼みたい」
BOSSは急にそう言ってきた。なんだ、頼みって
「…頼みとはなんでございましょう?」
俺が聞くと、BOSSは、
「お前に、この組織を独立させて貰いたい。」
BOSSは急にそう言った。…何故だろう。俺は全身に悪寒が走った。何故そんな事を、入って五年の俺に…
「…俺はそろそろ引退する」
BOSSはそう言った。何を言ってるのだ?この人は?何もわからなかった。いや、解りたく、なかったのだろう。俺は。でも、わからなくちゃいけない。
「…なんで、」
俺は目に涙を溜め込みながら、
「…なんで、Black Numberから離れるんですか?」
と聞いた。自分でわかるほど鼻声だった。
「…俺は死ぬんだ」
今、なんて言った。BOSSはなんて言った。俺は、今度こそ、ホントにわかりたくなかった。
「…なんで、どうして」
俺は耐えきれず涙を流した
「癌なんだよ。昔から。だから指示しか出さず、俺は何もしてこなかったのだ。」
背筋がこおる。背中に汗がツ----ッと走る。クソ…俺は嗚咽を漏らした。BOSSの前で、こんな醜態を晒したくなかったが、この時の俺は我を失っていた。
「だから組織をお前に託す」
BOSSは、俺に
「一番信頼できた、お前にな」
と言った。BOSSは、今まで本当に信頼できる仲間は居なかったと話してくれた。だから、俺を見つけて、息子を得たような気分だったらしい。俺は嬉しくてまた涙が出た。
「俺には息子ー如月敦斗ーがいる。俺が死んだら、ここに来るから、良くしてやってくれ」
BOSSは、それを言って、去っていった。俺は、目を潤ませながら、聞こえないであろう言葉を、大声で叫んだ
「絶対、貴方の夢ーいや、俺達の夢を叶えます!!!」
あれから一年経った。俺はBOSSになり、新たな仲間、如月敦斗を迎えてNumberに対して反乱を起こした。ちなみにこの時Number.2等は居なかったため、余裕でこちらの要求が呑まれた。この組織の代理はなく、もう即解雇となるらしい。それがいい、水無月王牙。お前には、その程度の方がいい。…でも、まだ夢は叶えられていない。
「…まだ、Numberは潰れてないのだ」
俺は、そう呟いた。そして、後ろにいる仲間達に向かって、
「…俺たちは、夢を見るもの。俺達はBlack Numberでは無い。俺たちは、新しく、Dreamerとなろうじゃないか!」
俺は堂々と宣言した。後ろからおぉー!と歓声があがる。
そうして、Dreamerという組織ができた。秘密結社のため、基本的にNumberと警察以外、俺達を知らない。でも、Dreamerは嘘の勧誘をしたりするので、構成員は一気に増えた。
「さて、復讐といこうじゃないか」
俺は、葉月翔真ーいや、もうそろそろ息子に座を譲るから、これからのBOSSは葉月優斗ーかな?とりあえず、あいつには俺の意志を継いでもらいたい。俺は、大声で、
「今度こそ、Numberをぶっ壊す!!!」
俺はそう叫んだ
十三話 Confession
「今…なんて?…ああ、冗談か」
僕は乾いた笑いを浮かべる。何故か上手く笑えなかった。彼方が僕に告白?へっ、そんな筈ない。どうせ罰ゲームかなんかだろう。僕よりも良い男なんてこの学校にクソほどいる。しかも僕は殺人者だ。なんで、そんなクソ野郎と…
僕が思案していると、彼方は純粋な笑みで、
「貴方何言ってんの?冗談なわけないじゃない」
と言ってきた。少し怒っている様子だ。てか怒ってる。絶対キレてる。地雷踏んだ覚えない件
「…なんで、僕に?こんな、殺人者の、僕に。もっと良い男が居る中で、僕に」
僕は純粋な質問を彼方にぶつけた。彼方は怒るかもしれない。でも、僕は、何故僕に彼方が告白するのかが全くわからなかった。いや、解りたくないのか?自分の気持ちが理解できない。そもそもの話、僕は彼方に何を聞きたいんだ?理由か?何故だろう。僕は全くわからなかった。また思案してると、
「…貴方ねぇ」
と顔を膨らませた彼方が、
「…なんで人が好きになってやったのに、理由なんているの?」
と言ってきた。僕は絶句した。マジの目だ。マジで言ってる、この人。
「…理由…ねぇ…僕は、他の男が居るだろってことをー」
「貴方以上に良い男なんて、私の中で居るもんですか!!!」
僕が地雷を踏んだのか、彼方はマジギレしてきた。僕はその圧力に足を引いてしまう。怖い、怖い。彼方にこんな威圧があるだろうか。
彼方は足を一歩進める。同時に僕は足を一歩引く。とにかく彼方が怖かった。…僕以上に良い男が居ないって…本気で言ってるのか?
とりあえず罰ゲームではないことを知り、僕は彼方の気持ちを聞きたくなってきた。しかし、彼方は聞かずとも言ってきた。その理由を。
「貴方は!」
彼方は一拍置き、
「貴方は!何度私を救ってきたと思ってんのよ!私が貴方にどう思ってると思ったのよ!!!」
と、涙声で、嗚咽を漏らしながら叫んだ。
――――――――――――――――――
〜西賀彼方の独白〜
なんなのよ、疾風。こいつは。なんで私の気持ちを理解できないのよ。てかラブコメじゃないのよ。舐めてんのかしらこいつ。マジで泣けるわ。嗚咽が漏れる。正直、恥じらいなんて無かった。自分の気持ちを伝えられたら、それで良い。私は、そう思っている。だから、今から、
「今から、貴方に、教えてやるわよ。私の気持ちを」
教えてやるわよ。疾風に。私の''本当の気持ち''を。私の発言に対し、疾風は、
「…聞かせて頂こうかな」
と、震えながら呟いた。
――――――――――――――――――
〜西賀彼方の回想〜
私は、疾風に何度も救われた。それは小学生の頃からだ。あいつは、いつも私のそばに居た。
「彼方に傷つけんなよ」
そう言って、私を傷つける人を倒した。私は、疾風に対して、この頃から恋心を抱いていたのかもしれない。しかし、疾風への恋心に気づいたのは、小学六年生だった。
「なあ彼方」
小学六年生に進級した時、疾風はそう言った。
「なぁに?」
私がそう答えると、疾風は、
「…春って、良いよな」
疾風は自分のクラス表を思いっきり握りしめながらそう言った。
「…ええ、良いわね」
暖かく、桜舞い散るこの春が、誰が嫌いなのだろう。少なくとも、私は好きだ。この日差しが心地いい
「なあ彼方」
疾風は、聞いてきた
「お前、僕に助けられるの、嬉しいか?」
疾風は、ガチトーンでそう聞いてきた。…疾風は、この時から自分がエゴイストと考えていて、救っても相手が傷ついてる可能性を考えていたのだろう。私は、
「もちろん。貴方が助けてくれるから、私は気持ちよく生きられるのよ」
と答えた。すると疾風は、
「…なら、僕は、お前を助け続けてやるよ。どこに居ても、いつでも。」
疾風は、そう言ってくれた。
「…貴方がそういうことをするとは思えないけどね」
私は微笑みながら疾風の額に人差し指を突きつけた。
「…なんだよ人が折角いいこと言ってやったのに」
疾風はそっぽを向いた。でも顔は赤かった。嬉しかったのだろう。同時に私も嬉しかった。全身が熱かった。その時に私は疾風に抱いている恋心に気づいた。ああ、私はこいつが好きだったんだな、と。理由なんてそれだけでいい。好きだから、好き。それだけ。そして、私は一つの夢を持った
(いつか、あの、桜が咲く、あの大空の下で、こいつに付き合え、と言いたいわ)
という、夢。私は、そこから、疾風に対する恋心を進めていった
でも、中学が別々と聞いた時、私は酷いショックを受けて、食事が喉を通らなかった。それほど悲しかった。寂しかった。疾風にとっては寂しいな、位なのだろうけど、私にとっては夢だ。夢が離れるんだ。悲しいのだ。そして私は学校の近くに引っ越した。そこから疾風に再開するまで私は楽しいながらも、不満を持っていた。神無月疾風の不在という、不満を。私は高校で再開して、家に帰ったら跳んで喜んだ。夢との再会。どこでもい。昔桜舞い散った、ーいや、今の時期だと、紅葉が舞い散るあの大空の下で、絶対告白する。付き合えと言う。その為の下準備だ。これから私は疾風に言う。
「紅葉公園に行くよ」
と。
――――――――――――――――――
〜再び視点は疾風に戻る〜
「…彼方…」
彼方は目を瞑っていた。過去の回想でもしてるのだろう。僕はそういう人間を幾度なく見てきた。そして何秒、何分が経った時、決心したのか彼方は、僕に、
「紅葉公園に行きましょう」
と言った。僕は、彼方の気持ちを聞くためなら、公園に行っても良かった。いや、その公園で聞きたかったのだろう。彼方の「本当の気持ち」を。彼方は、黙って着いてこい、というメッセージの表れなのか、くるりと身を翻し、屋上から出た。僕は彼方の背中を追う。何処までも。いつまでも。しかし、いつになっても、夕日は落ちなかった。今は九月。当たり前か。今は六時だ。そして、彼方は歩みを止めた。僕も歩みを止める。周りは、紅葉がちっていた。さらに、夕陽も差し込んでいた。僕は、その綺麗な景色に見入っていた。こんな綺麗な景色、''桜ヶ丘公園''以来だ。
「……私ね、思ったの」
彼方は急に話はじめた。
「私、いつか、貴方に、言いたかった。綺麗な景色で、晴れた時、こういう公園で。」
いつしか、雲が近づいてきた。夕陽が遮られる。夕立だろう。ザーザー一気に降り出した。全身濡れても、彼方はそんなこと気にせず話を続けた。
「私は、貴方への想いを抱いた。好き、という。それだけ。憧れである存在。」
彼方は、涙声になる。雨のせいで見えないが、彼方は泣いているのだろう。懐かしき昔、暗いけど、明るい過去を。僕たちと共に歩んだ過去を。
「…私は、この公園で告げるわ。貴方に。」
彼方は接近してくる。僕は、退かない。覚悟はできた。彼方が何が言いたいかわかった。全て理解した。
彼方は、僕の腰に手を回し、背伸びをしながら、
「神無月疾風━━私と、付き合ってくれませんか?」
その、一言を彼方は言い、彼方は僕の唇に唇を重ねてきた。
十四話 Love enemy
あぁ、昨日は黒歴史確定だ。
彼方の告白から一日が経ち、僕は頭がショートしかけている。マジで黒歴史だわ…姉さんにすらまだ話してない。僕は時計を見る。うわあボーっとしてたら既に七時半だよ…コンビニ行って買ってもらうか…やっちまったわ
しかも考え事はまだある。
「…あの紙よ…あの一枚目と、三枚目の…意味…」
一枚目は、何か人名が書いてある予感がする。如月なんちゃらだろう。問題は三枚目だ。三枚目のモールス信号は、
「○○○○○○が真実」と書いてあった。そこには人名が当てはまったのだが…多分、
「…彼処(あそこ)のDreamerアジトに行くしか…ないか」
僕は決心した。九月二十四日、アジトに突撃する。決死の思いだ。
「疾風〜?」
後ろから急に声がした。聞き慣れた声
「……姉さん?」
僕は振り返る。やはり姉さんだった。
「な〜にボーッとしてるのよ。弁当くらい買ってやるっつーの」
事情を察してくれたのか、姉さんは優しくそう言ってくれた。やっぱこの人には話した方がええんかな
「疾風君?」
姉さんはニコニコしながら、
「なにか私に隠し事してるでしょ」
の言ってきた。心臓が飛び跳ねる気分だ。いやバレたよ。そんな露骨だった?
「ちょっと……ね」
僕はお茶を濁すことにした。(詮索されたら終わりだけど)
「そう…まぁ元気出しなさいよ」
バンバンと、姉さんは背中を叩いてきた。笑いながら叩いてくるのはホント恐怖。怖いよぉ…
「…元気でしょ」
僕はめんどくさくなったので、
「ほら、コンビニ行くんだから、さっさと準備していくよ」
と、姉さんに告げた。姉さんは首肯して、自分の部屋に学校の支度をしに行った
「……いい姉さんだよな」
僕は、足音が消えたあと、本音を呟いた
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〜霞雨真理奈の独白〜
「あいつ何隠してんだよ…」
私はそう呟いた。あいつ、明らかに様子がおかしい…多分、あの紙の影響もあるのだろうが、確実に他に理由がある。女に告白されたのか?そういや前下駄箱に紙入れた時になんかあったよな…あれラブレターだったのか()疾風が混乱してるじゃねえかぜってえぶち○してやる。まあ、ラブレターなら、詮索するべきではないだろう。まず私はあいつに気は無いし、男は興味無いから…なんかトラウマだなあ。まあ話しておこう。
――――――――――――――――――
〜霞雨真理奈の回想〜
話をしよう。あれは四年前だったか……五年前だったか……まあそんな事はどうでもいい。
私は、疾風とは違う目に遭っていた。
あれは私のむねが膨らみ始めた時(というよりだいたいBカップくらいになった時かしら……まぁどうでもいいわね★胸なんてあれば同じなのよ。え?貧乳ロリはこそ至高だって?死にたいのかしら?)だったかしら。(キャラ崩壊してる雰囲気が否めない)
なんかね、あのクソ父親がなんかねぇ…胸触らせろとか言ってきたり腰に手を回してきたり…ま○こに手を突っ込んできたり風呂凸してきたり(自主規制
まぁこんな感じだったのよ。
「お前そろそろ俺に○させろよ」
って言われたのよ。いや自分の子供とヤるとか頭いかれてんのかしら。
で、
「あんた何言ってんの?散々私の○器触ってきたのに、今更…嫌に決まってんでしょ、訴えるわよ。近親相姦とかイカれてんの?犯罪よ?」
こうやって怒りが限界突破したか、断ったらどうなったと思う?
「拒否すんなよ。ガキが」
って殴ってきやがったのよ?清々しい程のクズよね。死ねばいいのに♪まぁ今は野垂れ死んでんか。まぁ今では思い出だわな。死ねばいいのに♪(本日二回目)
な〜んか短いわね。まあ思い出したくないのよ……察してくれないかしら……
全く、ただでさえ思い出したくないのにまだ思い出しちゃうわ……本能って怖いわね。もうなんも考えたくないわ…
――――――――――――――――
〜霞雨真理奈の独白〜
まあ過去なんて思い出すもんじゃないわ。そんな事より、疾風の気持ちくらい休ませてあげないとだわ…正直あいつは今まともにNumberで働けるとは思えない。戦場になるなんて無理だ。最悪捕まって殺される。私があいつの代わりになってやろう。私はそう決心した。仕方ない。あいつがあんな状態なら。弟は姉に守られるもの。私は、
「絶対、疾風を守り抜いてやるわ。それが、良い姉さんってやつだもの。」
――――――――――――――――――
〜視点は再び神無月疾風に戻る〜
「ふんふんふふ〜ん」
僕は気を紛らわす為に鼻歌を歌いながら、教室の席へと向かった。彼方も姉さんも一緒だ(今はそれぞれ席に向かったけど)さ〜て机の中に色々ブツをいれようか。そうして、教科書を取り出し
「うがぁぁぁぁぁ」
僕は机の中を除くと、発狂した。
「どうしたの?」
未だに隣の結衣が心配そうに聞いてくる
「机に…手紙が……怖いよぉ……」
僕は自分を抱き締めながら震える。今日の気温何度?(そんなに寒くないだろ)
「大丈夫?怖いわね……」
結衣は同調してくれた。心の奥底から心配してるようでは無い気がするが、まあ脳みその一番端に追い込んでやる!
「ちょっとあいつらのとこ行くわ……」
僕は結衣に暗い声と暗い顔でそう言った。
『手紙を持ちながら』
何故か結衣からの視線を感じた
「なんやこれ」
「僕の机の中に入ってたんだよ」
「「怖いわね」」
「いや怖……」
「愁読んでよ」
「はいよ」
僕は愁の所に来て、手紙を渡して、読んでもらっている(中身怖くて見たくないんだよ!!!)
姉さんも彼方も居る。ヤバい雰囲気なんだが。てか彼方と気まず過ぎて笑う……(笑えねえわ)
「何何…なんだよ、ラブレターか?」
ラブレターという言葉に、彼方と僕が凍りついた
「「「……ラブ、レター?」」」
僕と彼方と姉さんがハモってきく。いや、またラブレター?…勘弁してくれ。
またラブレター?二通目じゃねえか。
「なんか六時に屋上に来てください、話がありますだってさ。ラブレター確定じゃん」
「うわあ……」
僕は絶句した。何僕モテたの?僕女苦手なんだけど((()))そんなことよりなんか彼方がめっちゃ暗い顔なんですが。
「彼方、どうかした?」
心配だったのか、姉さんが彼方に聞いた。
「…なんでもないわ」
彼方は低いトーンそう突き放し、くるりとUターンしてから廊下に出た。
「大丈夫なのか……」
僕は一瞬背中を見せてるはずの彼方の顔が見えた。彼方は……
――――――――――――――――――
〜西賀彼方の独白〜
ラブレターですって?私が書いた次の日に?確実におかしいと思う。私は今、醜く歪んだ顔をしてるだろう。行き場の無い気持ちに追いやられた。私の恋は成就するのか?いや、無理かもしれない。
「……だって、相手は、あいつに今一番近い人間だものねえ…」
あいつは、学校では一番疾風と関わっている。しかも前一緒に話した時、疾風の話が出たのだ。おかしくない。多分私の仮説は合っている。まったく、主さんは、こんな事だけに私の枠を取って、大丈夫なのかしら。暇なのかしら。アホらしいなあ。まぁどうでもいいけど。私は、その手紙の書き主に、自分にしか聞こえない声で呟いた
「あんたは私の恋敵よ。絶対勝たせてもらうわよ?」
私は、拳を握りしめ、そう決意し、教室では無く、屋上へ向かった。何故か気分は清々しかった
――――――――――――――――――
〜神無月疾風視点〜
「なんで僕が…」
僕は明日のジョーの最終話の如く柵によっかかっていた。何処のかって?屋上に決まってんだろ。なんか視線感じるう((()))なんか怖い…てか今何時だよ。……五時半…あと三十分あんの?!よし寝よう。すぐ寝よう。僕はラブレターの事なんて忘れてグースカ寝るのであった
「ふぁぁ……」
起床。ただいま五時五十五分
「ギリギリで草」
六時前に起きれたことにホッとする。遅刻厳禁(これ当たり前!)
てか別にどうせたいしたことないし……なんかまた告白とかされるのはめんどくさいけど…こういう時って別になんもないんだよなw(中学の時何回そういうことがあったことか……)よし。寝よう。あと五分寝よう。おやすみ。
「あのぅ……」
寝ようと思って目を閉じた瞬間、優しい声音でそう言われた。なんだ?呼び主か?でも何故か聞き慣れている声だった。僕は推理する。多分困惑してるだろう女の子の前で。そして、僕は女の子の正体を理解した。
「結衣か。」
僕がボソッと呟くと、結衣は、
「う、うん」
と反応した。結衣確定だろう。僕は目を開ける。やはり結衣だった。
「まぁ予想はしてたけどね……」
僕はため息をつく。結衣は緊張している様子だ。今震えている。若干あれが……(罪悪感あるよね)
「あ、あの、疾風君……」
結衣は急に話しかけてきた。やべえめっちゃ緊張してる顔だ(((())))ガチガチじゃん。まあ良いか。お話とやらを聞くとしよう。
「どうした?」
僕は聞いた。柔らかい笑顔で。すると結衣は、
「……好きです、付き合ってください」
と言ってきた。僕はそれを予想していたので、もちろん答えも考えてある。
「考えておくよ」
そう、保留だ。二人に告白されたからこれが一番最適である。
「ほら、遅いし帰った帰った」
僕はまだ緊張がほぐれてない結衣の背中を押した。
「……答え、期待してるよ」
結衣は、赤く染まった頬を撫で、そう言った。そして、屋上から消えていった。
これで終わりなわけない。僕が先に結衣を帰したのはしっかり理由がある。僕は顔を強ばらせる。さあ、『視線』の主に会いに行こうじゃないか。
「さっきから見てるのはわかってんだよ、彼方」
僕は視線の主、彼方の名前を呼ぶ。するとすぐに笑い声と共に、
「流石疾風ね!私の事わかるなんて」
彼方は未だに高笑いしている様子だった。いや怖いって。まぁこれが彼方か……
「さっきからジロジロ見てたんだから当たり前だろ。まったく、人の行動監視しやがって……まだ恋人じゃないだろ?」
僕が呆れながら言うと、彼方はまた笑い声を上げながら、
「恋人じゃないって……w貴方面白い人ね、やっぱ」
彼方は意味不明な言葉を放った。彼方は今日一番の笑顔だった。多分、結衣の答えを保留にしてることに納得してるんだろう。てか喜んでるだろ。あはは、怖い子。
「遅い時間なんだからさっさと撤収するぞ」
僕はそう言うと、
「そうね、遅いから撤収しましょうか」
と彼方が言い、彼方は屋上のドアへ走っていった。
「…情緒不安定だな」
僕は少しにっこりした顔で、彼方の背中を追いかけながら屋上のドアまで全力疾走するのだった
――――――――――――――――――
〜新村結衣の独白〜
「…なんて言うか、あの人らしいわ。」
私はため息を零した。どうせ彼方さんが私たちの会話を見ていたのだろう。まぁあの人らしいわ。やりかねないわよね。私は前彼方さんに言われた言葉を脳内で復唱する。
「この恋、悪いけど勝たせてもらうわ」
ふふ……勝つのは私ですよ?彼方さん。
保留ってことはやはり彼方さんに告白の早さは負けたけど、私が負ける事は無いように振舞ってきた。あの人も私を思い出しただろう。…あの昔助けた少女だと。
「まぁ、黙っててもいいかもしれないわね」
私は、清々しい気分で、家路を辿るのだった。
十五話 疾風の選択
「恋愛ってめんどくさいのな」
僕は、台所にて愚痴っていた。黙々と料理を作るのもめんどくさい。なんか呟きながらの方がやりやすいってものだ。……てか今日土曜日だから別に学校無いけどね。姉さんのメシは僕が作るのよ。
「なんで二人から告白受けるかなあ……ったく……」
僕は目玉焼きを焼きながらそう呟く。気分は晴れていたが、やっぱりめんどくさいものはめんどくさいのだ。(この気持ちわかる?)だから若干暗い顔をしていると思う。僕は恋愛経験ゼロなのよ。死ねばいいと思う。僕を殺す気か?!
「彼方と結衣とか……どう選べばいいものか…」
僕が愚痴っていると、急に後ろに気配を感じた。背中に汗がツ---ッと流れる。まさか聞かれてた?あ、終わった
「…ねえ、さん……?」
僕は震えながら振り向いた。やはり姉さんが立っていた。怖い。姉さんの笑顔が怖い。何考えてるのこの人。僕は足を一歩引く……と、フライパンにぶち当たった。『柄じゃないところの』
「アヂィィィィィィ」
僕が死にそうな顔をしながら発狂する。くるくる踊るぜえええ!!!すると姉さんは高笑いした。最近見た中で1番大きい笑いである。いやこわ。
「疾風も恋に悩むのねぇww」
こいつ舐めてんのか?ぶち〇すぞ。なんか身体が熱くなってきたわ。恥ずかしさと怒りでもう何が何だか…てかやばいそんなことより尋問される気しかしないや。外が曇ってきた。ああ神様、どうか私の気持ちを晴らしてください……
「どんな感じなの?今」
姉さんはそう聞いてきた。姉さんは興味津々で、好物に飛びつく子供のように喜んでいた。怖。まぁ姉さんには愚痴ってもいいかな…姉さんだし。さあ、僕の話をしよう。
「はあ……まぁいいよ話すよ……」
僕は彼方の告白の話と、結衣の告白の話を一気にした。ちなみにファーストキスのことは全く話す気は無い。流石に二人の秘密だ。
話し始めてからなんと十五分経過して、やっと全貌を話せた。いや疲れたし恥ずかしいし泣きたいわ。こっちにはデメリットしてないんだねえ!腹が立つねえ^^ところで姉さん寝てないか?目を瞑ってるんだけど。シンキングタイムか?怖いなあ
「姉さん?」
僕は不安になったため、姉さんに話しかけたところ、姉さんはハット目を覚ませ、こう言いやがった
「ごめん聞いてなかった」
「死ね」
ぶちギレた僕は姉さんの腹に一撃ぶち込んだのだった。(ちなみに一時間は目覚めなかった)
「だからこういうことだっつーの」
僕は目を覚ました姉さんに先程と全く同じことを言った。(朝飯の用意をしながら……今九時なんだけど)
「へぇ〜」
姉さんは興味津々な顔を保っていた。怖い。僕は凍りついていた。先程よりは緊張はほぐれていたが。(僕ってこんな人間だっけ?)少し経つと、姉さんは僕に
「疾風も変わったわね」
と言ってきた。正直僕も変わったと自覚している。何故変わったのか?決まっている。彼方との再開だ。あの時に変わったんだろう。愁と共に一変した生活に、僕も変わっていったのだろう。
「疾風〜?手が止まってるわよ」
姉さんに指摘されるまで、僕は手を止めて考えてることに気がつかなかった
「ごめんごめん、すぐ用意する」
僕は慌てて準備を進めた。
朝飯を食べ終わり、読書をしている時だった。(現在10:30)
「ぴんぽーん」
急にチャイムが鳴った。なんだ?愁達か?
「ハイハイ今出ますよ〜」
僕は読書を進める手を止め、玄関に向かおうとしたが、姉さんが、
「サノ〇ァウィッチ」
と某エロゲの誤作動をそっくりそのままやってきたのでぶん殴ってから玄関に向かった。
「おっすおっす〜来てるよ〜」
ドアを開けると、やはり愁が居た。他に優斗、瞳(初登場かな?)と彼方が居た。
「由香里は?」
僕が聞くと、
「お姉ちゃんなら私情で今日居ないわよ」
と彼方が答えてくれた。なんだ〜……居ないのか。残念だわさ(((((わさ?!)))))
まぁいいかぁ……てか彼方が普段の調子なのが意外である。なんかもっとあわあわしてるかと思った。まあどうでもいいか★
「まぁ四人とも上がりなよ」
僕は彼方達に家に上がるよう促した。
「初めてだわ〜疾風の家」
「うん、僕もだわ」
優斗と瞳は僕の家に上がるのは初めてだだからはしゃいでいる。全くガキが……申し訳ございませんでした西園寺瞳様
「ったく、No.14という自覚を持てや、優斗。瞳もNo.52なんだから……」
僕はあいつらに聞こえないように嘆息する。あいつらは今洗面所にて手を洗っている。だから聞こえないだろう。僕は玄関からリビングに向かうのだった
「まさかお前達飯食うとか泊まるとかいうだけの理由でここ来たの?」
僕は先程作った昼飯(肉じゃが)をバクバク食う(姉さん含めた)五人に言った。この人たち食欲凄くない?僕こんな食べる自信ないよ。てか食費がやばいからやめて欲しい。まぁ仕方ないよな。僕は諦めたようにため息をつく。そんなことすら気にせずに(彼方除いた)四人はバクバク食う。どんどん肉じゃがが減っていく。これがNumberで鍛え抜かれた第七階層の男女の食欲か。凄いや。僕そんなに食欲ないんだよなぁ……ちなみに僕はさっき自分で作った肉じゃが以外に冷凍の小籠包を適当に食っていた。(一人で)一人飯は美味いか?皆は。僕は凄く美味しいと思う。清々しいね。
「いや、普通に暇だから来たのよ」
僕がクソみたいなことを考えていると、彼方が答えた。この人たち暇過ぎない?てかまだ食べるの?僕はため息をつく。まったく、やれやれだぜ
「朝飯食べてないのよ、私たち」
「俺も」
なんとあいつら(姉さんを除く三人)朝飯食べてないらしい(マジかよ)飯くらい食えよったく……((((()))))アホらしいなあ。迷惑極まりない((((()))))
「朝飯は食べなさい。Numberの決まりでしょ?」
僕は(姉さんを除く)三人にそう諭した。
すると瞳と優斗は
「「どうやって僕たちの家から飯食って二時間でここに来るの?」」
と言った。そう、瞳と優斗の家は僕達の家からクソ遠いのだ。それを僕は忘れていた。
「すみませんでした」
僕は土下座謝罪した。彼方と姉さんと愁がクスクス笑っている。殺していいかな
「まったく、疾風はしょうがねえなあ」
愁がおどけた口調で言う。
「そうだよ。疾風は仕方ないねえ」
「そうねぇ」
優斗と瞳もおどけた口調で言う。殺したろかカス
「すみませんね゙ぇ゙」
僕は半ギレしながらニコニコして言った。結構怖い顔だったでしょうねえ()
まあこの後もどんちゃん騒ぎしまくって、気づいたら空は暗くなっていた。
「随分と長い時間僕の家に居たんだね、君たち」
「そうね。だいたい八時間くらい貴方達居たわよ?」
僕と姉さんは呆れた口調でそういう。現在六時。いい時間である。優斗と瞳は飛ばしても二時間近くかかるんだから早く帰ればよかったものを……
「楽しかったのよ。仕方なく無言わよね〜優斗」
瞳はおどけた口調で、楽しそうにそう言った。瞳は、心の底から楽しそうな表情だった。
「まあ、お前達めっちゃ楽しそうにしてたからな」
愁が呆れたようにそう言った。でも、愁の顔も「あ〜楽しかった」という顔をしていた。知らんけど。
「うん。すげえ楽しかった。また来るぜ、疾風」
優斗も瞳と同じように、心の底から楽しそうに言った。まったく、
「やれやれだぜ」
僕は某オラオラ言ってる人の口調に真似てそう言った。瞳と優斗は、「また来るね〜!」と言ってバイクに乗って去っていった。僕と姉さんと愁と彼方は手を振って二人を見送った。
「さて、俺は帰るわ」
愁はニコニコしながら僕の家を去っていった。さて。残るは彼方だけだが、
「……」
彼方は帰る気配がない。
「彼方もそろそろ帰ったらどう?」
姉さんは若干怪訝そうな表情で彼方に言った。すると彼方は、
「疾風、ちょっと来てくれないかしら?」
と、僕に指をさしながらそう言った。真剣なマジ顔だった。やれやれだぜ、まったく……彼方は既に家から離れていた
「そんな訳だ。姉さん、先に家でゆっくりしてておいて」
僕は彼方の背中を追いかけるようにして家をはなれたのだった
――――――――――――――――――
〜霞雨真理奈の独白〜
「疾風もいいお年頃ねえ〜」
私は疾風の背中を目で追いながらそう呟いた。疾風も思春期なんだろう。可愛い弟だ。一生守ってやりたいわ〜
「彼方と結衣、貴方なら、どちらを選ぶかしら?」
私は、長い髪を靡かせながらクルリと回転し、とびきりの笑顔で、
「貴方なら、彼方を選ぶんじゃないかしら?」
そう、疾風と彼方に聞こえないように予言した。私を誰だと思ってんのよ。神無月疾風と一番長く一緒に居た相手よ?疾風のことなら何だってわかるわよ。疾風の好きな人とか、そういうのまで。疾風も私のことならなんでもわかる。これが、双子。双子でしかなし得られないもの。これが、絆。愛。兄弟愛とは、相手のことを真っ先に考え、自分は遠慮することでは無い。相手のことを考えるのは事実、兄弟愛ではあるが、本当の兄弟愛は、
「心から守ってやりたい、好きだと言える、人間として一番好きだと言える。夫婦とか、そういうのは関係なく、自分達でお互いに好きだと言えること。それが、」
兄弟愛ってやつよ。
「我ながらいいこと言ったわね〜」
一日一善という訳にはいかないが、今日はいいこと言っただろう。清々しい気分だった。
「今日は疾風のためにご馳走でも作ってあげようかな〜♪」
私は、自覚するほどのいつもと違う上機嫌で、玄関のドアを開け放つのだった
――――――――――――――――――
〜神無月疾風の選択〜
「この紅葉公園で何が言いたいんだい?彼方」
僕は紅葉公園で止まった彼方にそう言う。彼方は、僕を真摯な目で見つめてくる。真顔だった。僕も真顔だ。相手の気持ちに敬意を持って接する。それは、人間としての、性だ
「決まってんでしょ。貴方の返事を聞きたいのよ」
彼方はずんずん近づいて、僕の額に人差し指を立てた。怖い、怖いよ彼方さん
「まったく……結衣と彼方に告白されてから2人に告白されたって事でめんどくさいんだよ、返事も」
返事する側にもなって欲しいわ。まあこっちも返事される側になるべきだろうが。まあどうでもいいんだよそんなこと
「はあ、返事か。まぁ決めたことだし、今言ってあげるよ」
僕は覚悟を決めた。
「返事だけど、僕は…………」
時は月曜日。今登校している。(愁と姉さんと彼方と)
「めんどくせえなあ……」
愁がボヤく。同意だ。とてつもなくめんどくさい。なんでこうなるんだよお……正直今は秋だからもう寒くなってきたし、やっぱ登校するのがきつくなってきた。現在気温は12℃(あの頼りにならんニュースキャスターによると)。寒いよね。僕はどちらかと言うと寒がりなので手袋をしている。
「確かにねぇ……金曜日はブラックフライデーがあるけど月曜日は毎週ノーハッピーマンデーよ……」
姉さんがため息をつきながらそう言う。
「そんなになの?姉さんは。」
僕は呆れながら姉さんにそうきいた。すると姉さんは、
「当たり前でしょ……学校なんてめんどくさい……」
と、ため息なんてレベルでは無く、その場に倒れそうな苦しそうな顔をしながら言った。そんなにか?最早拒絶反応出てるじゃん
「私は理奈程ではないけど月曜日は嫌いねえ…やっぱ学校は辛いわあ……」
彼方も姉さんに同意していた。
「僕的には学校なんてクソほどどうでもいいんだけどねえ」
僕は学校はどうでもいいんのでそう答えた。てか普通に関係ないんだよなあ
「どうでもいいからめんどくさいんだよお……ああ……」
愁はその場にがっくり膝をつきそうな勢いで項垂れた。ほんとにNumberか?この人達は……
「貴方達ほんとにNumberなの?」
彼方が僕が思ったことをそっくりそのまま言ってくれた。ああ、ありがてえ……まさか僕コミュ障?
「「Numberだわ!」」
とNumber.0(笑)とNumber.8(笑)が大声で答えた。まったく、これだからこの2人は……一緒にいて楽しいんだけどね
「やれやれだぜ」
僕はそう言い残してスタスタ歩いた。
「ちょ、待ってよ!」
「俺たちを置いてくな!」
「私まで置いてかないでよ〜!」
後ろから三人の咆哮が聞こえたが、僕は無視してスタスタ歩くのだった。
「まったく、結衣は偉いよね」
僕は席に着いた瞬間、結衣にそう愚痴った。
「えっえっ?ど、どうしたの急に……」
結衣はおもっくそ慌ててた。
「家のさんばかは学校ヤダヤダ言ってんのにお前は文句言わないやん」
僕は本心を結衣に語った。(別に告白の件は関係ないです。ここ重要。)
「……グラッツェ」
結衣は僕に聞こえない声でボソボソ呟いている。顔を赤らめているが、どうしたのだろう?
「顔赤いけど大丈夫?」
僕が結衣に聞くと、結衣は、
「……知らない」
とぶっきらぼうに答えた。
そっから何分か、無言の時間が流れた。あれ、僕、結衣に用事あったよね?なんだっけ。僕は思考をめぐらせ、結衣に言いたいことを思い出した。
「そういえば、結衣」
僕は沈黙を破り、結衣に言った。
「今日放課後時間ある?ちょっとお話あるのよにぇー」
僕は結衣にそう聞いた。すると結衣は、ビックリした様子で、
「あ、空いてるけど……お話って何?」
結衣は聞いていたが、僕はニッコリした顔で、
「紅葉公園に来てくれたらわかるよ。」
そう言って僕はトイレのために立ち上がるのだった
「まあお話があるわけですよ」
結衣に面と向かって僕は言う。
「と言っても結衣には反応して貰いたく無いんだけどね」
僕は結衣に前置きして、自分の話をしようとする。結衣は黙っていた。よし、話す時だ。
「話をしよう。
これは君だけの話だ。
君は僕に告白をした。その返事を今返そう」
僕は、覚悟を決めて、彼方に告げた時のように、息を吸い込んで、こう、結衣に告げた
「謹んで、お断りさせていただきます」
結衣への返事は、「No」だった
皆は察してるだろう。僕は彼方に「Yes」と返したのだ。理由?一つだけだ。誰も傷つかず、いい関係を保てると思ったのは、
「結衣と友達で居て、彼方を選択すること……かもしれないな。」
結衣は傷つくかもしれない。しかし、だから僕はあいつと友達で居るのだ。
「これからも、友達として、宜しく出来ないかな?」
僕は、唇を噛む結衣に手を差し出す。数分時間が経ち、結衣は、
「……うん」
と、僕の手を思いっきり握りしめてきた。
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