第22話22・『わたしとラノベとお祖父ちゃんと』
RE滅鬼の刃 エッセーノベル
22・『わたしとラノベとお祖父ちゃんと』
わたしが所有する本は、教科書を除くと20冊ほどしかありません。
普通の高校生と比べても、ちょっと少ない部類になると自覚しています。
ときどき街の図書館に出かけて、表紙のイラストやタイトルの面白いのを借りて読むので、読書量は並の高校生よりは、やや多いという感じです。
お祖父ちゃんは2000冊ほど持っています。
大きいのは山川出版社の『国史辞典』とか『原色日本の美術』とか、鞘のようなケースに入った……辞典的な本。戯曲、時事問題とかの単行本。その他は、大方新書本と文庫本。
読みたい本を全部買っていたら家中本だらけになってしまうので、中年になってからは必要な本は図書館で借りるようにしているんだそうです。
わたしも、お祖父ちゃんの習慣が身について、子どものころから図書館を利用するようになりました。
そのお祖父ちゃんが、今でも買って読む本がライトノベルです。
わたしがもの心ついたころには、お祖父ちゃんの座卓の周囲にラノベが平積みになっていたので、それが普通だと思っていました。
満足に字が読めないころから、お祖父ちゃんのラノベをパラパラとめくっていました。
表紙が可愛くてきれいで、表紙をめくったところにイラストだけのページが2~4ページあります。たいてい登場人物の相関関係がキャラの説明といっしょに書かれていて、本の要所要所にもモノクロのイラストがふんだんにあります。
ラノベで見たキャラがテレビのアニメになっていると、ついつい見てしまいますが、たいてい深夜アニメなので全編通して見たことは、ほとんどありません。
「栞は、ラノベ以外の本を読んだ方がいいよ」
中学に入ったころに、お祖父ちゃんに言われました。
「え、なんで?」
「ラノベ以外にも、おもしろい本はあるからさ」
お祖父ちゃんは、そういう言い方をしましたが、どうも違うのです。
中学の図書室にもラノベは置いてありますが、うちにあるラノベは、ほとんど見かけません。
『冴えない彼女の育てかた』『エロマンガ先生』『中古でも恋がしたい』『可愛ければ変態でも好きになってくれますか?』などがありません。
クラスの図書委員に聞くと有害図書だとかで置いていないんだそうです。
わたしも、中二のころからは読まなくなりました。
進路のこともあったし、読書そのものから外れてきたという感じです。
「それでも、栞は読んでる方だよ」
お祖父ちゃんは言います。図書館で、年間で30冊くらい……人と比較したことが無いのでよく分かりません。
ただ、お祖父ちゃんが、ラノベを読む変なお爺さんなのだと言うことは分かります。
普通のお年寄りはラノベは読みませんよね(^_^;)。
お祖父ちゃんが、シャンソンのライブに連れて行ってくれたことがあります。
お客さんは、お年寄りがほとんどで、お祖父ちゃんの横にはお知り合いのシャンソン歌手が座っておられ、互いに挨拶をしたあと、読書の話になって「ラノベを読んでいます」という話になったのですが、その歌手のおばさんは、ラノベという言葉の意味がお分かりになっていませんでした。
「ラノベ?」
「ライトノベルです」
「ええと……」
という感じでした。
お祖父ちゃんの面白いところは、自分でもラノベを書くところです。
むろん商業ベースに乗るようなものではなく、四冊出した本以外は『なろう』とか『カクヨム』とかの投稿サイトに出しているものです。
わたしも、たまに読みますが、長い本だと連載200回を超えるものもあって、アクセスも二万を超えるものがあったりして、孫としては大したものだと思うのですが、どうでしょう?
まあ、お祖父ちゃんの元気の元なので、これからもがんばってくれたらと思います。
二日続いた雨も上がって日本晴れの日曜日、これからお布団を干します(^▽^)/
http://wwc:sumire:shiori○○//do.com
Sのドクロブログ☠!
どっちかって言うと、ラノベは嫌い。
そりゃ、子どものころは、それとは知らずにジジイのラノベ見て、見てたよ、字ぃ読めなかったから、それこそイラストとかを絵本代わりに見てた。
可愛いし、きれいだし、それに大きさがちょーどいい。
普通の絵本とかは、けっこうかさばるんだよ。A4サイズどころか、B4くらいの絵本、平気であるもんな。
子どもってさ、お気に入りのものって持ち歩くじゃん。
ガキンチョで、訳わかってないあたしは、そういうラノベをお母さんからもらった(憶えてないんだけど)ポシェットに入れて持ち歩くわけさ。
それが、お友だちとか、お友だちのお母さんとかに見られるわけよ。
反応は「アハハハ(^_^;)」だよ。
ガキを叱るわけにもいかないだろうけど、その「アハハハ(^_^;)」で分かっちゃうよ。
ああしはヤバイ物(ぶつ)持ってんだ……
そういうのには敏感な子だったから。
それで持ち歩かなくなって、長じて分かったよ、やばいラノベだって。
そんなもん、子どもの目につくとこに置いとくなよな!
他にも、ここでは書けないようなモノが、うちにはゴロゴロしている。
全部、クソジジイの持ち物!
あぶなくって、友だちなんて呼んだことが無いよ。
でも、ラノベ見ることから読書の習慣がついた。
読書家ってほどじゃないけど、月に二回くらいは街の図書館行って二三冊借りてくる。
ちょっと変わった小説が好きかな。
たとえば、こんなの。
中学生の女の子が目覚めたら、前後にドアがあるきりでの部屋に閉じ込められてんの。気が付くと、自分の同じくらいの制服着た女の子が居て、ドアには、こう書いてある『相手を殺さなければ外に出られない』ってさ。最初は躊躇するんだけど、食べ物も何にもないから、やがて、その子を殺しちゃう。殺しちゃって、その子の持ち物の水とか僅かの食べ物とか奪って、ドアを開ける。しばらくいくと、同じような部屋で、そこにも女の子が居て、今度はナイフとかが置いてある。やがて、その子も殺しちゃう。その子は、なんにも持ってないんで、その子のお腹を割いて胃の中のものを食べる。そういうことを繰り返して、殺し方や人の食べ方を克明に描写している。
タイトルはよしとくね。うる憶えだし、ネタバレするし。
そういう本て、表紙もタイトルも穏やか。普通の文学書みたく見える。中身はすごいんだけどね。
ためしに、学校の図書室に希望図書で出したら、あっさり買ってくれて、ショーケースの中に新刊図書としてディスプレーされてたよ。
でさ、図書の先生に「こんなに過激なんですよ~」って、見せたわけ。
その本は、近未来の日本でさ。忙しいとか、持てないとかの事情がある人間が、アンドロイドの異性とひと時を過ごすって話。
まあ、アンドロイド相手にってか相手をしてもらってセックスするんだよ。
そのプロセスが克明に書いてあって、もう、エロゲ真っ青ってしろもの。ラノベのパンチラなんて可愛いもんよ。
でもさ、先生は言うわけよ。
「これは文学、芸術だからね、大丈夫なんだよ(^_^;)」
おかしくね?
試しにさ、ラノベ読んでるクラスの男子に「どーよ」って見せたら、真っ赤な顔して鼻血流してましたよ。
瞬間、ほんの瞬間なんだけど、うちのジジイも間違ってないじゃんと思った。
でもさ、いい年して、ラノベもどき書くのはやめてほしいよ。
せめて、ペンネーム、あたしと同じ苗字にはしないでほしい。
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