第17話『作ることが好きなお祖父ちゃん』


RE滅鬼の刃 エッセーノベル    


17・『作ることが好きなお祖父ちゃん』    






 お祖父ちゃんは学校の先生をやっていましたが、わたしの勉強をうるさく言ったりはしませんでした。



 テストでいい点数がとれると「よかったね」とか「がんばったね」とか言ってくれましたが、悪い点をとっても「こんなこともあるさ」「また、がんばったらいい」と軽く優しく頭を撫でておしまいでした。


 テストの点数や学校の成績が人の将来に、それほど大きな影響がないことを良く知っていたんです。


 お祖父ちゃん自身、勉強が苦手で、高校を四年大学を五年かかって卒業しています。


 定期考査で爆睡してしまい、名前を書いただけでお終いになったことがあって、生まれて初めて0点をとってしまったことがありました。


 お祖父ちゃんの事ではなくてわたしの事です(^_^;)。


 この時も「これは記念に取っておこう!」と残してしまいました。


「俺の0点は捨ててしまったからなあ」とニコニコしていました。


 そんなお祖父ちゃんが、目の色を変えてわたしの宿題を取り上げ、自分でやってしまったものがあります。




 夏休みの工作の宿題です。




 なんでもいいから、自由な発想と工夫で作りましょう!


 そういう意味の事が宿題の一覧に書いてあって、工作の苦手なわたしは「あしたやろう」と言い訳して、とうとう来週から新学期という日になってため息をついていました。


「お、自由工作か!?」


 そう言うと、お祖父ちゃんはリビングのゴミ箱を漁って、薬の空き瓶やティッシュの空き箱を持ってきて作業を始めます。


「なにしてんの?」


「途中までやったげるから、仕上げは栞がやりな」


「おお、ラッキー(^▽^)/」


 甲斐甲斐しくお茶などを入れて、横で見ていると、あっという間にミッキーの貯金箱を作ってしまいました。


「……お祖父ちゃんの作品になっちゃったよ(^_^;)」


「あ……」


 けっきょく、塗装だけわたしがやって、辛うじてわたしの作品にして提出しました。




 とにかく、物を作ることが大好きなお祖父ちゃんです。


 プラモデルは完成品だけでも100ほどもあって、クローゼットの中には箱に入った未組み立てのが200ほどもあります。


 自分でも書いていましたが、還暦になって目覚めたペーパークラフト(紙模型とかカードモデルとかも言うらしいですが、わたしには区別がつきません(^_^;))


 近ごろ視力が落ちてきて、細かい作業がやりにくくなってきたとこぼしています。


 それでも紙模型やプラモデルの船の手すりや張線をやっているのを見ると、まだまだ大丈夫と孫娘としては嬉しく思います。手摺なんて、0.4ミリの真鍮線を3ミリの長さに切って1ミリを埋め込むなんて作業らしいです。


 いつまでも、元気でやってくださいね、お祖父ちゃん(o^―^o)。




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 Sのドクロブログ☠!




 ちょっと……パラノイアですわ(-_-;)


 同じ血が流れているのかと思うと、落ち込むことがあるぜ。


 前号で出してた紙の軍艦、信じられないけど、部品点数15000だよ。


 図面通りに作ると8000くらいらしいんだけども、あれこれ自作のパーツやら補強をやってると、それくらいになるらしい。


 こないだ、開きっぱのクローゼット見たら、未組み立ての紙模型が50冊(たいてい本の体裁になってる)ほどもある。


 他にもプラモとかいろいろあって、ほんと、どーすんだよ!?って感じ。


 プラモとかペ-パークラフトとかやる奴はキモオタだからね。エンガチョものなんだからね。


 クソジジイは「栞、たまには友だち連れておいでよ」って言うけど、とても人は呼べないよ。


 キモイもんが家中にあるんだからね。


 プラモって、軍艦とか戦車とか飛行機だって思うっしょ?


 ちがうんだよ。


 人体模型なんてのもある。


 クソジジイの部屋には、1/1サイズって人の首のプラモがある。皮は透明プラスチックなんだけど、その下に筋肉やら血管やら骨やら目玉とかもあって、もう、アブないんだ。


「いやいや、脳みそだってあるんだ」


 いや、開けなくていいから……。


「栞も、やってみりゃいいのに」


 奥から出してきたのは、スケールこそ1/5だけども、全身の人体模型のプラモ。


 それも女の体!


「これは、なかなか手に入らなくてなあ、中華製じゃなくてアメリカのキットでな……」


 中華でもアメリカでもキショク悪いから!


「ほら、お腹のパーツは二種類あって、なんと妊娠バージョンにも作れるんだ」


 か、勘弁してくれええええええええ!!


 

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