第3話 Overturn

 朝が来てしまったわ。


 私は失敗してしまった。


 あんなに準備もしたのに。


 あなたを仕留めきれなかった。


 私は酔い過ぎてしまったわ。


 私が考えた作戦に。


 振り出しに戻ってしまったわ。


 次はあなたも警戒するはず。


 また私が逃げる番。


 今日はあなたに会いたくない。


 昨日の今日であるからさ。


 それでもあなたは来るだろう。


 私の考えなど気にもせず。


 名前も知らないあなたにさ、私の名前を呼ばれたくない。


 それだけで虫唾が走るから。


 お願い、声を出さないで。


 あれ、今日はなんだかいないみたい。


 珍しく羽を伸ばせそう。


 あなたを気にしない生活が、こんなにも幸せだなんて。


 まるでここは天国のよう。


 天使の羽で飛ぶからさ。


 だけどこの羽はもがれるのかな?


 あなたという悪魔にさ。


 そして地獄にいくのかな?


 あなたと手をつなぎながら。


 そんな地獄は嫌だから、いっそ自分でもごうかな。


 あなたにもがれてしまうならば。


 そんなことを考えるけど、痛そうだからできそうにない。


 こんなに私が弱いから、きっとあなたは好きなんだろう。


 あんなにあなたが嫌なのに、離れることは難しい。


 引っ越したりもしたけれど、それでもあなたは付いてくる。


 あんなに注意を払うのに、あなたの目はごまかせない。


 相談だってしたんだよ。


 しっかり覚えているよね?


 友達に注意されたことを。


 あなたは言ったはずだよね?


 もう私の前には現れないと。


 それでも懲りずにやってくる。


 ゴキブリ並みのメンタルか?


 誰か殺虫剤を買ってくれ。


 どんなに高くてもいいからさ。


 あいつが隠れていると思うとさ、どんな時でも楽しめない。


 だからそいつを当てるのさ。


 でもあなたが進化系だったらどうしよう。


 巷の漫画には進化したゴキブリがいるらしい。


 きっと私は一瞬で、羽をもぎとられてしまうだろう。


 何をされたかわからずに。












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