第2話 Mad
私はもうおかしくなりそう。
あなたに追い回されて。
考えたくなくてもあなたのことを考えてしまう。
断じて恋ではないけれど。
もしもあなたを好きならば、こんな幸せなことはない。
好きな人に追われるのだから。
世の中の恋人たちのように。
だけどあなたは悪い人。
私を困らせる悪い人。
あなたのせいで私が狂ったと、あなたは知らないかもしれない。
だけどこんな日々が続くなら、私はあなたに刃を向ける。
捕まりたくはないけれど、もう止められそうもない。
あなたも理解できるでしょ?
こんなに私を苦しめたのだから。
自業自得ってあるでしょ?
全てはあなたのせい。
もうすぐ私が行くからさ、楽しみにしててよ。
逃げ切れなかったと思わせて、わざとあなたに捕まって、ここぞというときに刺してやろう。
あなたはどんな顔をするだろう。
恐怖の顔が楽しみだ。
朝は人目が多いだろう。
昼は会社に行かねばならない。
やはりやるなら夜だろう。
あなたは追いかけてくるだろう。
早く捕まってやってもいいが、それでは面白くともなんともない。
疲れた顔をしながら、もうダメだという顔をしながら、白旗をあげよう。
あなたの前で。
あなたはニヤッと笑うだろう。
そしてゆっくり近づいてくるだろう。
嫌がっているような顔をしながら、私は待つ。
あなたが罠にかかるのを。
たくさんあなたを酔わせてさ、あなたを惑わせる。
私は酔ったふりをしながらさ、あなたのために牙を研ぎ続ける。
よだれが出ないか心配だ。
弱肉強食の世界でさ、もうすぐ私があなたを食うからさ。
これがあなたの為なのさ。
私は悪くないんだよ。
あなたがすべて悪いのさ。
あんなことをしたからさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます