第3話
「走れ!」
背後で
「
「
「行け、
瞼を瞬かせて、歪む視界を必死で凝らした。最初に来た祠はもう目の前にあった。この世界にやって来て、最初に目にした場所だった。
ずっと後ろの方で破壊音が響いて、
――殺される。その前に逃げなければ。柵を、またいで、あの中へ。
どうしても後ろを振り向けなかった。もし振り向いた瞬間、
急げ、急げと身体が急かす。胸の中の音が耳まで響く。手足が震えて力が入らないのが余計に
祠の小さな扉を無理矢理こじ開けると、狭い空間に井戸のような穴の空いた岩があった。岩には苔が生え、祠の中は外からの光によって、塵と埃が煌めいて舞い散る。
「わたし、ここから来たんだわ」
“竜の眠る祠”――
取り込む風が一層強さを増した。主が鎌首をもたげたのだ、
「主よ!祠の竜!」
風が唸る。
「還ってきたわ、わたしを戻して」
何かが唸る。
「約束の眼よ」
次の瞬間、穴の奥が光り出す。
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