第32話 割らない流儀

約1年前から、ジムに通っている。


腹筋を割ろうとしているんじゃないかと下心を指摘されるが、


腹筋は割らない方針だ。


僕は、仁王像ではなく、布袋を目指している。


腹筋が割れていると笑わなくなる傾向がある。


正確に言うと、うまく笑えない硬い顔になる。


仁王像がそれだ。


二人は顔が怒っているので、阿吽の呼吸にはなっていないはずだ。


怒っている奴と呼吸を合わせるなんて難儀である。


「それはないでしょっ」と、仁王像の二体を見て呆れされる狙いがあるんじゃないか。


それが、魔除け・魔抜け効果。


わらないほうが、わらうという象徴に七福神がいる。


毘沙門天、弁財天以外は皆腹が緩んでいる。


表情も大分緩んでいる。


恵比寿、大黒天、布袋、寿老人、福禄寿、彼らは健康診断でメタボで引っかかる。


毘沙門天は魔除けタイプなので、仁王像同様、笑ってはいけないから仕方ない。


でも、多少、他の連中に感化され緩んでいると聞く。


腹囲86cmくらいだろう。


仁王像みたく、バリバリに割れた腹筋で笑ったら嘘くさくなるし、やばい感じだ。


腹筋が割れている芸人は笑うと顔がひきつる。


鶴瓶師匠の笑いは自然である。


腹筋を割らない流儀はそこにある。


世のため、人のため、自分のためだ。


必死こいて腹筋やっているくせに、割れてないじゃんと妻に指摘され、いじけて割らない流儀を貫いているということではないことを後付けしたい。








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