第17話 関係ないね!
昔、公園で遊んでいた友達Aが、私と何をやっても「意味ねー」と口癖のようにつぶやいていた。
私は、当時流行っていたキン消しやビックリマンチョコのシールを公園に持っていき仲間に自慢すると、Aは「何とも言えない」とぼやいていた。
語彙力の低い私は、Aの言う意味がよく分からなかった。
ある日、Aは、「君と遊ぶことは楽しいけど、意味が無いからもう遊ばないかも。」と言ってきた。
私は思わず、「関係ないね」と返答した。
危ない刑事の柴田恭兵の名台詞を使ってみたかった。
Aは、「その使い方、何とも言えない。」と手に持っていたエアガンをこちらに向けて笑い出した。
笑った反動でAは引き金を引き、bb弾が私の顔面に直撃した。
痛がる私を見て、Aは更に高笑いしていた。
神社の賽銭箱から、細い枝を使い50円様を助け出す共同作業を最後に、35年以上Aとは会っていない。
私は、あの賢いAはきっと科学者か哲学者になっているんじゃないかと勝手に想像している。
もしかしたら、どこかの大学教授になっているかもしれない。
宇宙飛行士になっていたらどうしよう。
人の名前をすぐ忘れる私は、残念ながら彼の名前を忘れた。
野口?星出?山中?若田??そんな感じだったか?
宇宙飛行士に引っ張られ過ぎ。
あだ名は、ヒロちゃん?タカちゃん?つよちゃん?
ちゃんだけはちゃんと記憶している。
私に、意味のある無い、何とも言える言えないの概念を教えてくれたAに再び会いたい。
今の私を見て何て言うだろう。
「何とも言えない人だね。意味無さそうな顔だね。」とか言いそうだ。
「関係ないね」とAの頭に、エアーガンでbb弾をぶちこみたい。
きっと笑顔で「何とも言えないね!」と言ってくれるだろう。
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