第7話 パパを消す猫の魔力

コロナ禍休校中、我が家に猫がやってきた。


正確に言うと、不安定になった子供たちのために、アニマルカウンセリングの力を借りようと考えた。


保護猫を探し、譲渡していただいた。


雑種の野良猫である。


家族の一員として、子供たちは猫を大変可愛がり、休校中のギスギスした雰囲気が一変した。


いつもゲームやスマホ、動画から顔を離さなかった子供たちが、猫と語り合うようになった。


心を閉ざしがちだった次男も、家族と素直に話すようになった。


しかし、しばらくすると、4人の子供たちは、一匹の可愛い猫を奪い合うようになり、再びギスギスした雰囲気が生まれた。


猫に対する愛情が深くなり過ぎた子供たちに、私は少し驚いた。


私も動物はそれ程好きではないが、猫は可愛いなぁと思うようになってきた。


妻も猫にゾッコンになり、猫なで声で猫と話をしている。


最近、見たことのない姿である。


猫には、人間を狂わせる魔力があることを、この数か月で理解した。

次男が、「もう一匹いれば、ケンカにならないんじゃないの?」と言った。


飼っている猫は、次男に一番なついている。


さすがに、もう一匹増やすのは今は難しいと、私は子供たちに伝えた。


子供たちは不満そうな顔をした。


「分かったよ、じゃぁ、もしパパがいなくなったら、もう一匹飼えばいいんじゃないの。」

と私は殺し文句のつもりで言ってみた。


家族全員の頭の中で、


私と猫の天秤が、「グイッ」と猫側に下がった。


私は天秤からすっ飛んで消された。


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