第4話 大王みたいな話④ ご気楽な人
てめーのために生きる人々
占いを気にする人は、他人の占いはどうでもいい。
嫌いな奴が、最下位であればそれでいいと思っている。
宝くじを買う人は、自分が当たることを祈っている。
後ろに並んでいる、野暮ったいおさっんが当たることは絶対望まない。
近所の交差点にある交通事故死亡者ゼロ記録を見て安心する。
毎日、世界中で15万人の人々が亡くなっているが、自分の身近な人でなければ、気にもしない。
死を怖がっている人は、本当は自分が死ぬことだけを恐れている。
自分が感染症に罹っていなければ、ことの重大さを理解しない。
パンデミックとは、よその国の出来事だと本気で考えている。
自分だけおいしいものが食べられればいいと思っている。
冷蔵庫に隠したケーキを、一人でこっそり食べても何も思わない。
自分だけいい思いをしても許されると疑わない。
苦労しているのは自分。
幸せになるのは自分。
疲れているのは自分。
自分にいいことがありますように。
SNSで承認欲求が満たせず、リアルな人生を棒に振ってしまう人。
自分に幸運が来るようにと、神頼みする都合のいい人達。
不幸な人がいなくなりますようにと、毎日神頼みしている人は嘘つきかもしれない。
人のために生きようと努力していると言ってみるが、
大量の空気を吸い、大量の水を浴び、大量のお菓子を食べ尽くす。
てめーに都合のいいことは止められない。
森林伐採を止めよと叫んでも、トイレットペーパーは使い続ける。
誰よりもたくさん、ティッシュで鼻をかむ。
紙に文字を書き間違えたら、グシャグシャに丸めてゴミ箱にポイッと捨てる。
「カラン」と入った瞬間、罪悪感より爽快感を得る。
エコライフを望んだところで、汚水や油は垂れ流し、冷暖房をガンガン使う。
心が寂しいと弱弱しさを演じてみても、ISS(宇宙ステーション)からはっきり見えるほどの明るい電力を使っている。
餓死する人がいても、飼い犬にはご馳走する。
凍え死ぬ人をニュースで見ながらが、こたつでミカンを食っている。
犬や猫は可愛いから一緒に生活するけど、豚や牛、鶏はおいしいから食べちゃう。
命ってなんだろう。
僕たちが勝手に命の価値を決めちゃっている。
てめーが生きるために、勝手に選んじゃっている。
地球で偉そうにしている自分は悪魔だ。
人間は全て地獄へ直行、間違いない。
くそやろう様は、僕にそう囁いた。
汗だか何だかで、布団が濡れていた。
AM5:30
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